私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(村人候補達から村人達へとなった彼らは私達には無いものを持っていました、それは技術です。㉜)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は9/15(月)投稿予定です。
家族に無理を言って貴族学園へ進学、その後の家の為の金銭面援助ーーー、ここまで理不尽な事に耐えて来た彼女達にとってそれは死の宣告に等しい事だっただろう。
身分というだけでその人を見ない上司って本当無能だなと思っていると、いつの間にか父が後ろに立っていた。
ティリエスは父アドルフと目が合う、数秒間見つめ合うと同時にうむ、と黙って頷き合うと他の使用人に慰められている彼女達を背にティリエスとアドルフは左右分かれて颯爽と歩き出した。
それぞれの自室へいく為である。
ティリエスは2通の手紙を、アドルフに至っては4通書簡をその日のうちに早馬で王都に送り出した。
それからさらに3週間、ちょうど彼女達がここに来て1ヶ月経った頃。
アドルフは仕事中の4人を集めソファに座らせると、王都へ戻りたいかと質問した。
く、クビですか?!
いつも気弱な男性が声を裏返しながら大声で尋ねる、緊張した面持ちと悲壮感が混じり始める中、アドルフはそうではないとキッパリ伝えたあと、4人の前にある机の上にある羊皮紙を広げて見せた。4通あったそれは彼女達が勤めいていた部署の再度移動命令の内容だった。
4人は呆然とその紙に目を通す。
事前にアドルフは何が書かれているのか目を通していた。
そこには、業務の支障が出て仕事が回らない事、彼らの家の金銭事情を持ち出し強制的に戻るようにという心無い言葉の数々、部下を部下とも思っていないその内容に静かに怒る。
この時ティリエスはエルアル卿に呼び出され居なかったが、後で父から何ともずさんで読む価値のない内容だったと後で聞いたそれーーーその内容を見ていた4人の息が次第に荒くなる。
尋常じゃない汗に顔色が悪くなっていく4人に対し、アドルフはもう一度声をかける。
たった2週間の仕事の付き合いしかないが、仕事ぶりから君達はとても優秀だ。それは誇れる、誰からも蔑まれる謂れのない培ってきたものだ。だからこ何処でも君達はやっていける力があるし、その書状の言うとおりにする必要は何処にもない、どんな選択を選んでも君達の事は私が責任を持つ。何より君達は選ぶ権利があるんだよ。だからもう一度聞こう、それを見てこれから君達はどうしたい?
このまますんなりこの書状の様に戻るのか?
・・・嫌です。
いつも寡黙であまり話さないガタイの良い男性が声を上げる。
私は・・・彼らの、奴隷じゃない。
彼の言葉に他3人も王都に戻る事に口々に嫌だと拒絶する。
そうですよ・・・何であんたらの都合に私達が合わせなくちゃならないわけ?!あのハゲ親父もげろ!!
最後にヒステリックに叫んだ女性の声を最後に徐々に怒りが込み上げてきた4人はその場で書状を破り捨てた。それを見てアドルフは新たに4枚の羊皮紙を渡す。
それはここルーザッファ家の文官としての契約書だった。4人は慎重に契約書内容を読み、納得した顔でそれにサインをした。
アドルフはもう一度念の為他の道も提示したが彼女達の意思は変わらず、この領地として4人は本契約を果たしたのである。
さて、じゃぁ直ぐに大仕事にかかろうか。
そう言ってアドルフは4人にそういうとまた違う羊皮紙を取り出す。
その内容を見た途端、彼らはギョッとしたがアドルフは涼しい顔をして茶を一口飲み喉を潤す。
まずは君達の今までの仕事分、きっちり給料は払ってもらわないとね。
そう言ってアドルフは裁判申請書の文字を目で追い、一度も見た事のない彼らの上司達を思い浮かべていた。
いつも読んでいただきありがとうございます。