私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(村人候補達から村人達へとなった彼らは私達には無いものを持っていました、それは技術です。⑳)
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そうして、様々な実験を行った結果ーーー。
ティリエスの見立て通り、火属性によっての爆発を起こす事を突き止め安全性を確保出来たティリエスは改めてエルアルに要請すると、渋々ながらも請け負った。
結局は彼も途中から面白がって実験を一緒にしていたので研究者としての火がついたのだろうと思う。
だって渋々言ってたけど目が爛々だったしね。
変態さんが多くて困っちゃうなと呟いていると、「類は友を呼ぶんですよ?」とレイに言われたがティリエスは聞かなかった事にした。
火属性による爆発の量の規定が体内にある火属性では爆発は程遠いと分かり、且つ毒素排出の可能性がわかった事で、母の薬学関係もまた巻き込みつつーーー。
ティリエスは久々に外出をしていた。と言っても家の近場である城下町に、である。
「失礼しますわ、イーチャ司祭にブジョラ司祭、ご無沙汰ですわ。」
「おぉ、ティリエス嬢よくぞ来てくれた。」
「今日はお祈りか何かで?」
出会うや否や快く歓迎する2人を見ると、周りには子供達が座っていた。
どうやら、何か読み聞かせをしている途中だったらしい。
「お邪魔だったかしら?」
「とんでもない、今ちょうど聖書の読み聞かせをしていたのじゃが・・・。」
「良い子守唄になった、と。」
こくりこくりと頭が波打っている子供達に苦笑してイーチャはパタンと分厚い聖書閉じた。
まぁ、子供達にとっては退屈だろうね・・・それにしても。
「どうやら、問題なく仲良くできているみたいで良かった。」
帝国から逃げてきた子と村に住む子供達が一緒くたになって眠りこけている様子に安堵していると、それを見ていたイーチャ達もこくりと頷いた。
「えぇ、住む土地、種族、価値観も違う子供達がこう仲良くできたのは互いに尊重し、何よりここの土地に馴染もうとするこの子達の心が領地の子供達の心を動かしたんでしょうね。」
「・・・そうですか。」
「それはそうと今日はどうしてこちらに?確かティリエス嬢は今は外出を控えていると聞いていたんですが?」
「確かにそうですが、今日は息抜き兼ねて少しだけ外出を。それに、何か困ってないか聞きにですわ。」
先日は随分助けられましたしと、続けるとイーチャとブジョラは首を横に振る。
「人を助けるのは教会に籍を置くものとして、それは当たり前の事です。それに領民達も領主様にもよくしてもらってます。」
そっと彼らの視線の先に目をやると食料や新調した長椅子などがある。どうやら自分が知らないところで誰かが彼らに感謝を込めた贈り物を渡しているのを知り、彼らも受け入れられている事実に嬉しく思う。
でも、だからって私は何も返してないし、感謝しているからこそ私だって何かをしたい。
だからしつこくでは無いが、少し粘って聞き出すと一つ思うことがあったようで彼らはある事を口にした。
「出来れば、ミサを行う日を設けたい・・・けれど、誰もが人が来れるようなそんなミサにしたいのだが何か知恵はないかのぉ?」
え?ミサ?
思いがけない願いにティリエスは首を傾げた。
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