私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(村人候補達から村人達へとなった彼らは私達には無いものを持っていました、それは技術です。⑰)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は8/4(月)投稿予定です。
「取り込んでいるというわけではないですが、カイジさんはどうされたんです?それにその資料・・・。」
カイジの持っている両腕いっぱいの羊皮紙の紙の束にティリエスは目をやると、訪問者の持っているものにエルアルが反応する。
「あ、悪い、もう出来たのか?」
「これはエルアル卿が頼んだんですか?」
「あぁ、さっき言ってた工房の内装についてだ。」
一体何を頼んだのか気にはなったが聞けずにいると、思いの外すんなりエルアルは教えてくれた。
因みに皇族である彼にこのようなタメ口は本来なら不敬罪にあたるだろうが、スパイを退けたとはいえまだ油断できないので安全な隠れ蓑ができるまで彼は普通の平民を装ってもらい、私達もそれに倣っていた。
「壁の付着剤や材質のせいで素材や工程でダメになる事もある。だからカイジさんには一からの設計相談してんだ。」
「あ、そうなんですね。」
材質から決める何て大分凝ってるな・・・その分出費が加算したんだろうけど・・・。
何故彼の懐が寂しくなったしまったのか理解したティリエスはそりゃお金を稼ぎたいと思うよねと納得した。
「何かいいものはありました?」
「久しぶりにいい素材や試したい建築方法、皆張り切っているよ。正直私も諦めていた夢が今叶って胸が躍っている。」
「夢ですか?」
「あぁ、継承権がなければ私は建築の仕事に触れたかったのだ。結局は政の一つの知識として培っただけだったが。しかし、良いのかい?私がいて。何か話していたんだろう?」
案に部外者の自分がここにいるのは駄目ではないか?と言っているんだろうけど・・・正直そんなに秘密でもないんだよなぁ。
それはここにいる他の皆も思っていたので、逆に何でそんな事を言うんだと遠まわしに言った言葉に首を傾げていた。
「別に秘密にしていませんし構いませんけど?」
「え?そ、そうなのか・・・?」
「というか何でそう思うのかの方が不思議ですけど?建築依頼だってしてますしここに住んでるもの同士じゃないですか?」
「いや、え?・・・俺がおかしいのか?普通なら新しい人間になんでもこうおおっぴらにはしないというか、できないじゃないか?確かに我々は貴女方に危害は加える気とも企てる事もしないが、でも信頼などまだ築けてもいないのに逆に心配になるが・・・。」
「確かに普通はそう思うんだけどなぁ。」
「え?エルアル卿そうなの?一緒の領地に住んでるのに?というか貴方前にも似たような事をモガッ!」
不意に口を塞がれたティリエスは変な声を出したがエルアルが若干怖い顔して言うなという無言の圧力を感じそのまま黙る。
そんなティリエスの態度にエルアルは溜息を吐いた。
「見ただろう、ここの人間はこんなんだ。平和すぎなんだよここ。俺もアンタも次第にこうなっていく可能性はあるぞ。」
「・・・どうやらそうらしい、肝に命じておくよ。」
2人に間に何か通じ合うものを感じたようで2人は互いに頷き合う。と、カイジが何かに気が付く。
「あれ?あれはもしかして、爆弾玉じゃないか?」
ん?爆弾玉?
彼の視線の先には例のスライムの残骸を捕らえていた。
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