私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(村人候補達から村人達へとなった彼らは私達には無いものを持っていました、それは技術です。⑯)
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「でもまぁ、ギリアの言う事も事実ですわね。」
「え?!マジで俺にさせるつもりか?!」
心のどこかで冗談と思っていたエルアルはティリエスの返答に驚愕し、ティリエスはティリエスでまぁそうなるよねとティリエスは彼の反応を見ても驚かない。
何故ならこの世界で変わった水を作ろうとする人間なんてこの世にはいないだろうしエルアルの反応は殆どの人が皆そうだろうと納得する態度だ。
けれど、当然の反応だとは思っている反面、意欲的ではないエルアルの姿に内心しょんぼりしているとティリエスの前にズイッと前に出てくるギリアの背中を見つめていると、彼は至近距離までエルアルに詰め寄る。
当然驚いたエルアルは下がって距離を取ろうとしたがギリアがそうさせなかった。
「な、何だよ。」
「お嬢様のする事に不満があるのか?」
思ったよりも低い声で言うギリアにティリエスは驚く。まさかギリアが怒ると思っていなかったのはティリエスだけでなくエルアルもそうだったようでたじろいでいた。
「ふ、不満っていうか「じゃぁさっきから何だその態度は、先ほどからのお嬢様に対してその態度はあまりにも目に余るぞ。」」
ギリアの言葉にエルアルは何も言えずに黙り込む。2人を見てオロオロとしていたティリエスにレイは黙って見守るように耳打ちをされたのでティリエスも事の成り行きを見守る。
「確かにお嬢様は貴族らしかなぬ態度に我々には親しい。私達が年上だからといって敬語も使おうとする。けどな、だからといって私達はそれに甘えてはいけない。お嬢様はそこには疎い、だから私達がしっかりとしないといけないんだ。ここまで言えば分かるな?」
ギリアの言葉にエルアルはハッとしてティリエスの方を一度だけ見て、そして眉間に皺を寄せながらも神妙に頷いた。
「・・・そうだな。あんたの言うとおりだ。」
ティリエスはチラリとギリアの後ろ姿を見やる。
きっとギリアは彼だけではなく私にも忠告としてこの場で言ったのだろう。
貴族としてもう少し自覚を持てと言うことか・・・。
「ティリエス嬢、悪・・・いや、すまなかった。」
「いいえ、口調もそのままでいいですから。それに、エルアル卿の予定まで把握していなかった私達の落ち度もありますから。」
「まぁ、それもそうですね。」
ギリアの同意の声に場の空気の張り詰めていたものがなくなったので、ティリエスは内心ホッとする。
「しかし、渋ったのは忙しいからなのか?」
「忙しいと言うのが理由じゃない、正直作っても儲けられないだろう?」
あれ?意外と下卑た理由?
エルアルの言葉にティリエスは思わずそう思う。
「正直言って俺は今金がない!」
「はっきりと言うなぁ。」
「今俺の工房兼住まいを建ててもらっているが錬金術という特殊な作業だ、妥協なし作りを頼んだら今までの金が吹っ飛んだ。」
「王都のしかも魔塔で働いていたお金が無くなる程の金額・・・。」
「食うのにも寝るのにも困らないが、俺は金を稼がないといけないんだ。だから儲けられないものの案件は後回しになる。それでもよかったら時間を作って取り掛かるがどうする?」
どうするって言われてもなとティリエスがそう思っているとふとギリアと目が合う。
いや、大の大人がそんな顔をしないでよ・・・。
まるで捨てられた子犬のような目でこちらを見る彼にティリエスの顔は引き攣る。
でも、そう言われたらどうすべきかと思っている不意に扉が開いたのでそちらを見やる。
「あ、すまない取り込み中だったか?」
入ってきた人物、カイジはバツの悪そうな顔をしてそう聞いてきた。
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