私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(村人候補達から村人達へとなった彼らは私達には無いものを持っていました、それは技術です。➉)
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実は前々から思っていた代物はあるーーーと、ティリエスは心の中で呟く。
今だに誰もそれに対して関心度は低く、それでいてまだこの世界には売られていない物。
でも正直この代物についてはもう少し伏せておきたかったとティリエスは若干渋い顔を作る。
本当は醤油とか味噌とかを先に開発したかったんだよなー。
しかし、残念なことにオーガを使って探してもらっているが国のあらゆる場所で材料である大豆をまだ探せていない。
というかこの国には存在していないのだ、似たような物はあったが他の料理には使えてもティリエスが思う調味料の開発には不向きだったのである。
鑑定したのだから間違いない。それだけに落胆は大きかったがーーー、そういえば米もないんだよなぁ・・・はぁ。
「お嬢様、食材は何を用意すれば良いのでしょう?」
1人悶々と考え込んでいると、嬉々とした声でギリアに呼ばれはっとする。
見れば、子供のようにめをキラキラさせてこちらをみている彼と目が合うと、ティリエスは数秒間を置いた後、ニコッと笑みを浮かべた。
「今はここにはありませんわ。」
「・・・はい?」
キッパリと告げられた言葉にギリアの顔は固まる。
そんなギリアにティリエスはだから無いんですよともう一度言うとギリアが膝から崩れ落ちる。
「いや、そんなに落ち込まないでくださいよ。」
自分の部屋はカーペットを敷いてあるので痛みはないだろうが、念の為ギリアに大丈夫か確認するとギリアは崩れ落ちたままゆっくりと首を横に振った。
え?まさか痛めたの?
「お嬢様、心が・・・心が痛いです。」
「・・・え?そんなにショックだったの?」
必要な食材が揃えられない、教わる機会が先延ばしになってしまう事実に直面したギリアにティリエスは困惑する。
心臓がある胸を抑えるギリアを見て、なんだか悪いことしたなと反省していると、ガバッとギリアが起き上がりびくつく。
「ーーーてきます。」
「え?」
「ですから、探してきますその食材。何処に・・・何処に行けばありますか?」
血走った目で蘇ったゾンビのようににじり寄ってくるギリアにティリエスがヒッと情けない声が出そうになったところ、ゴンッ!!っと音が響き渡った。
「ギリアさん、いくら貴方でも少々見境がないでは?」
レイである。
ギリアに拳で脳天を突き地に伏せさせていた。
突然のことに追いつけないでいたが大の大人をのしてしまう程の拳骨にティリエスが引き攣る、だがこのままでは埒があかないとティリエスは地に伏しているギリアの傍に寄る。
「ギリアさん、お忘れかもしれませんが私いまは屋敷の敷地内から出られませんの。ですから必要な物が用意できていないんです。」
でも確かにギリアの言う通り、他の人に探すのを手伝ってもらえれば早い段階で作れるかもしれない。
「ですから、もしギリアが無理がない範囲で探してもらえるならお願いしたいのですが・・・大丈夫ですか?」
そう聞くや否やギリアはむくりと起き上がる。先ほどまで目が血走っていたが今は普段の彼に落ち着いていた、どうやら我に返ったらしい。
そして彼女の前でしゃがみ込む。
「はい、勿論です。」
・・・先ほどと打って変わって礼儀正しくなったけど、頭の打ちどころが悪かったんじゃぁ・・・。
静かに神妙に頷くギリアを見たティリエスはちょっとだけ心配したのだった。
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