如何にして私はここにやってきたのか(本人だってよくわかっていない。)⑦
こ、今回初めて知りました。小説情報というものがあることを・・・。
そして、評価してもらえていることを。
更にはブックマークしていただいていることを!!
とても嬉しいです!ありがとうございます!
「お、お皿が宙に浮いてる?!」
ってやっぱり見えてないんかーい!
リリスの言葉に思わず突っ込みをする私。
どうやら彼らから見ると器だけが宙に浮いて見えるらしい。
驚いてこちらを見ている2人が何も思わずずっと私(正確にはお皿)を見ていることにいたたまれなくなりすーっとお皿を机代わりにしている場所にそっとおいた。
よし、これで見えない。そしてなかったことにでき「今のは・・・・リリス見たか?」なかった。
アドルフの言葉に、だらだらと汗が流れる。折角2人が落ち着いてきたというのに警戒してまたここから移動しようなんて言われたらどうするの私。もちろん心配だからついていくけど!
大体、オカズ装ったお皿がふわふわ浮いてるなんてどんなホラーだ、私は幽霊か!
なんだこの夢いつの間にホラーに転じた、最近ホラー映画なんて見てないぞ!
「・・・・・・・あ、あのっ。」
またもや頭を抱えていると、少ししてからか細い声が聞こえてきたので頭をあげる。
見ればリリスが恐る恐るお皿を置いた場所に声をかけているのが見える。どうやら私に声をかけているようだ。
だがしかし惜しい。リリスさん、私は今・・・・そこにいない。
お皿からだいぶ離れていた私は彼女にそう言いながら、何となく私は視界に入る場所まで移動する。
そして彼女を真っすぐ見た。
・・・・・ヤバイ、綺麗な子だ。
そしてお胸がとても、とても素晴らしい、・・・・・イイナー。
「あ、あの・・・・私たちを助けて下さった方ですか?」
もち!あたぼーですぜ!
胸を張って答えてみる。
だがもちろん聞こえるわけないので2人は困惑する。何か伝えられる・・・・あ。
思いついた私は空間収納から石を取り出し掌にのせて錬成する。光とともに現れたそこにはガラス製の小さなディナーベルがあった。
よし、今度は上手くいった、少しずつ錬金術も上達してる。
そう思いながら2人に目をやると、これを作り出す光景は見えていたようで2人は驚いてまじまじベルを見つめている。
ふふーんすごいだろう錬金術つかえるんだぞ私。
そして先ほどの彼女の問いに答えるために私はいざ振ろうとしたその時。
「何もない場所から物を創り出すなんてまるでおとぎ話・・・・っ!もしかして・・・・・貴方様は妖精様でしょうか?!」
ベルを振ろうとした手が止まる。
聞き間違いでなければ妖精・・・・・・って今、言わなかっただろうか?
妖精・・・・・・・まじか!
妖精・・・・・まじか!!
リリスの興奮して言われた斜め上の単語が出てきて思わず2回リリスに言う私。
いや、確かに夜会の夢の時に私妖精みたい!とかちょっと年甲斐もなくはしゃいじゃったけどね・・・・うん。
ていうか妖精もいるんだね、ファンタジー!
驚きはしたけどまぁ悪意のある者と認識されるよりはいいかもと考えを切り替えて私はベルをリン・・・と鳴らした。
「っっっ!ほ、本当に妖精様なんですね!」
リリスは頬を赤らめてそう口にすると輝いた瞳で私の持っているベルを見ている。
ヤバイ可愛い・・・・こんなん男ならイチコロですわな。
変態おっさん思考になりそうになり私は煩悩を振り払うようにもう一度彼女の言葉に答えるように強めにふってベルを鳴らした。
でもベルを鳴らしてから思ったんだけどー・・・・・。
ちらりともう一人の人物を見る。アドルフさんである。
もう一人はいかにも至極真っ当な思考を持ってそうなアドルフさん。
もしかしたら折角纏まりかけていたのに否定されでもしたら・・・・・・いや、普通だったら否定するよね。
ドキドキしながら沈黙している彼が何を言うのか見つめていると、彼が口を開いた。
ごくり・・・・と喉が鳴る。
「微かに何かの気配があるから遠くの獣かなにかと思っていたがまさか、伝承に伝わる妖精とは・・・・。」
ええぇー!!意外とあっさり信じてくれたーーーーー!!
どうやらアドルフも妖精の存在を信じてくれたようで私はまた斜め上をいった返答に驚いて大声をあげた。
というかすごいな妖精効果、2人とも大人と変わりないのに信用するほどおとぎ話の妖精は世界に浸透してるのか・・・・・・・いや、純粋だな君たち!
・・・・いや。そういえばエルフやら魔人と言ってたから信じられるのか?
でも伝承って一体なんのことだろう?
感激している2人に首を傾げながらも、気を取り直しつつ私はとりあえずやっぱり腹ごしらえだろうと切り替えもう一つの器をとりに行ったのだった。
私から器を受け取ると、2人はようやく互いに安心したようで徐々に食事に手をつけた。
最初は遠慮がちに食べていたが、よほど空腹だったのか2人とも美味しそうに手を止めることもなく何度もお代わりをして食べてくれた。
リリスは食べながら「貴族ならではの食事作法でいえばこのようにがっついての食事なんて絶対怒られますね。」とアドルフに問いかけ、彼は「美味いのだから仕方ない。それに妖精殿がつくった食事だ。感謝して食べるのが一番だ。」と答える。
作った者としてこれ以上嬉しい言葉はない。満足した私はベルを何度もリンっと鳴らした。
十分に食べることができた2人は、先にアドルフが持っていたスプーンを置くとベルの方、つまり私を見る。
続いてリリスも同じように私の方に体を向けた。
「改めて、妖精殿。私たちを助けていただき感謝します。リリスはともかく私の受けた傷は私自身助かるかどうかもわからなかったので。」
そう一旦アドルフは言葉を一度切る。彼は自分の治療された胸元にそっと右手を置いてそして今度は頭を下げた。
「私が死ねば今リリスが生き残ることが出来ても、この先の悪意に彼女自身も飲み込まれることになれば、私は死んでからも自分を呪い悔やんでいたでしょう。だから愛しい彼女のそばに居られるこの幸福を、守ることができる機会を与えて頂いたことに何度お礼を言っても感謝しきれません。」
リリスも隣で同じように頭を下げる。
うんうん本当によかっ・・・・・・・ん?
彼の言葉に私はちょっと待てと思う。
もう一度、彼の言葉をもう一度思いだしながら考える。
つまり、彼の話しを要約すれば。
今は命からがら助かってよかったという段階で。
今後一歩外に出れば危険が隣り合わせの状態になるかもしれない。
しかも愛している女性つまり彼女に悲惨な人生を強いようと何かしらの圧力がかかるかもしれない。
それを食い止めることができるのが自分くらいの権力がないと難しいということだ。
そういえば前の夢の時彼女は男爵っていわれてたっけ?たしか貴族階級では低い身分だったか・・・・・・。
え、でも彼は公爵だよね?公爵より強いって・・・・え?王家なの??
王家にやられてるの??
今までどうして彼らが追われているのか知ろうとしなかったが、ここでなんか重いものに触れてしまったようだ。
と、ようやくあることに気が付く。
結界やら治療やら料理やらで忙しくまわっていたから気が付かなかったけど、前回より少し彼らは大人の顔つきで体躯もより男性らしくより女性らしくなっていた。
ということは2人は最初に見たあの夢からこの夢は大分月日が経っているのではないだろうか。
・・・・・・・・まさか、2人とも今回みたいな危ないことにちょくちょく巻き込まれてるの?
聞こえないのに私は思わず2人に質問する。
その質問に返事が来るわけではないが2人の佇まいというか空気がなんというかほんの少しぴりぴり張りつめているような気がする。
アドルフは彼女の手をとり彼女を見つめる。
「リリスもすまない、婚約のこともそうだ。父が承認してくれたら今回の事は起こらなかった・・・・・不甲斐ない男ですまない。でも、それでも俺はリリスと供に生きる人生を諦めたくない。」
彼女は何も言わないが涙を浮かべながら微笑んで頷く。
決意は固い2人に私は思わずじっと見る。
たった2度しか会ったことのない夢の住人にここまで熱を入れるのもおかしな気もするが、今の私は彼らが哀れでどうにかしたい。
想い合う2人の仲が引き裂かれるなんて、そんな悲恋私は好きではないのだ。
どうすればこの状況を打破できるのか、何か彼らに出来ることはないのだろうか・・・・・と、考えた時、私はあることに閃く。
もし、私の錬金術で作ったものの効果が期待できるなら・・・・少しはましになるかもしれない。
私はその考えを纏めながら空間収納に手を突っ込んでいた。
読んでいただきありがとございます。
今週は遠出に行く予定で日曜日の投稿が難しいかもしれません。なるべく投稿できるようにしたいと思います。
裏設定:今回からちょくちょく出てくるであろう空間収納。実はいれたらごちゃごちゃしているのではなくジャンルによって整理整頓されてます。あと2重に魔法を展開してます。それが可能になったのは彼女のゲームでよく見るアイテム一覧を想像しながら作り出した魔法だからです。故に時間停止状態にできる空間と時間経過の調節ができる空間とあります。時間が進めばワインが年代物に。時間停止状態なら熱々の料理 冷え冷えのデザートも食べ放題。・・・・なんて便利、さすがチートです。




