私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(第一村人達候補はどう考えても訳ありです⑳)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は5/21(水)投稿予定です。
こうしちゃおれないとエルアルは早速取り掛かるため机に向かう。
ティリエス達などそっちのけで作業を始めたエルアルを頬をさすりながらティリエスは恨めしげに見つめた。
恨みほどではないが、さっきされた事は覚えておくからなと相手に念じつつも、彼がやる気を出したことは素直に喜んでいると、ふと視線を感じてみるとその場に立つレイとお茶と軽食を持ってきたティキがこちらを真顔でガン見しているのが見えたので若干ティリエスはビビる。
主人なので一体どうしたのかと聞けば、先ほどのやり取りをジッと見ていたのだそう。
それを言われて、いや、主人嫌がってたのわかるだろ?助けろよ?と思ったので「止めてくれれば良いのに・・・。」と不満を口にすれば、彼、彼女曰くーーー。
「普段見られないお嬢様の表情を記憶したくて・・・。」
「お嬢様の困り顔がとても可愛くてずっと見ていたくて・・・。」
まさかの脳内保存したくてそのまま見ていただけの行動に、いや、本当に私の好きだなっていうか自分の欲望に忠実だな君たち?!
そんなやりとりをしつつ、双子はこの時間お昼寝だし他に行く用事もないので、彼の作業をただ静かにみる事にした。エルアルは磨かれた魔法石を手に取り手際よく魔石に魔法付与するための魔法陣を書き出している。
周りが作業している彼の背後でしげしげと視線をよこしても彼の集中力は途切れなかった。
まぁそれでも何かするか、手伝えば早いだろうし!
ティリエスは彼の後ろで腕まくりをした。
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「エルアルさん、次の魔石。」
「・・・ん。」
「ありがとうございます、ではこちらに。」
無言で作業して数時間後ーーー。
黙々と女性の爪ぐらいの大きさの魔石を彫り、集中している彼に魔法付与ができると言う事を彼に伝え手伝いを申し出ると、生返事ながらも承諾した彼の許可を得たティリエスは彼の後ろでこっそり魔法に付与していた。
背後なので誰がやっているかなんて分からないだろう。大方ここに残っているレイかシナウスだと思っているんだろうなぁ。
時間が長引いたためグリップは作業場を見ていくと2時間前には出て行き、ティキはティキで軽食を彼の口に手際よく口に運び終えた後双子達の面倒を見てくると出ていってしまったため、ここにはエルアル卿含め私にレイそしてシナウスの4人しかいない。
・・・よし、これも認識阻害付与できたっと。
そう思っているとエルアルの手が止まり、大きく伸びをしたのが見えた。
「うーん・・・よし、後は魔法付与・・・おわっ!まだ居たのかよ?!」
まだ居たんですよねー・・・っていうかもしかして手伝っていたの知らない感じ?
さっき魔法付与って言ったよなと思っているとエルアルは何かに気がついてギョッとした。
そして直様私達が座っている机の上にある魔法石を手に取りかざす。
「嘘だろ・・・付与終わっている。しかも完璧だ。混じり気もない、ズレもない。」
「手伝う許可はもらっていましたけど、やっぱり気がついてなかったんですね。」
「なんか言われたなと思ってたけど・・・これもしかしてあんたが?」
エルアルはそう言いながら視線を寄越したのはティリエスの横に座っているレイだった。
レイは数秒真顔だったが何も言わずニコッと笑う。
あれ、きっと「私じゃないですよ。」っていう笑みなんだろうな。でもまぁ人の解釈なんて一人一人違うから・・・。
「やっぱりあんたなんだな!すげぇなお前!本当すげえよ!」
まぁこうなるよねとティリエスは1人ほくそ笑みながらシナウスが先程淹れてくれたお茶を飲んだ。
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