私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(第一村人達候補はどう考えても訳ありです⑤)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は4/16(水)投稿予定です。
「いや、お前だけじゃないし。ここの領地の人間おかしい。」
心配されているのかと思ったが今度は市井の皆がおかしいと言ってきたのでティリエスはあれ?やっぱり心配してもらってない?と首を傾げつつもスープを一口スプーンで頬張る。
「あんた、本当に分かってないだろう。」
断言していうエルアルに彼が何を言いたいのか分からないティリエスは「はぁ・・・」と生返事をすると何故か睨まれた。
「えーと・・・まぁ何を言いたいかの原因はなんとなくなら。」
彼が急にここにやってきたのはおそらくだが、昨日保護した彼らの事の件だろうと察する。
というかもう村の人にバレたのか・・・早いなぁ、田舎だけに。
いや、人口が少ないからかと少しだけしょんぼりしていると、エルアルが大きくため息をした。
「こういう領主だからここには疑う奴がいないのか・・・あのなティリエス嬢。俺は正直幼少期は真っ当な出自じゃねぇし、汚いことをしてこなかったら俺は生きてこれなかった。だから分かるんだよそういうの。底辺な生き方の人間がどんな人間が多いのか。」
言い聞かせるようにいうエルアルの言葉に耳を傾けながらティリエスは行儀良く食事を続ける。
「今回の奴らは正直厄介者だ。今は弱そうな顔をしていてもいつかはこちらに害をなそうとするかも知れない。そうなったら、ここの人間が傷つくかも知れないんだぞ?受け入れたことは無しにできない、でもこれからどう動くか分からない、なら奪う前に奪われないように今から対策しないと。」
ティリエスは最後の一口のパンを食べ終え、ご馳走様と小さく呟く。
そして目の前にいるエルアルの目を見つめた。
凄みのある顔をしているがその目は憂いを帯びているのが分かり、ティリエスはニコッと笑う。
「そうでしたか・・・エルアル卿は心配になって朝早くにこうして来たんですね。」
「言っとくけど俺だけじゃない。弟達も同じ意見だ。王都はここより治安は悪い場所があったからな。」
成程、つまりは代表で来たと。
「心配ありがとうございます。確かに成り行きで昨日は助けましたし、領民の皆も基本朗らかでお人好しです。エルアル卿には私達がお人好しで騙されそうに見えても仕方ないでしょう。でも、そうならないように私達、ルーザッファが見ていますから。」
ジッと見つめて言い切る彼女の気配からただ単に言っているわけではないという事を気配で察知したエルアルは静かに驚く。
「お母様はどんな人でも目の前に患者がいれば助けます、その人にどんな罪があっても。でもそれまでです。その後こちらに害をなそうとすれば容赦はありません。母もそれは理解していますし、理解した上で助けてますわ。お父様なんて本来であればとても厳しいんですよ。」
黒い噂が絶えないこの地に、ここで生きる事を決め残った領民を守るために我が家は容赦しない。
それはこの家の教えでもあり、ここで生きている人達の恩返しだと思っている。
何よりそれを一番に父は誇りに思っている。
「正直、何かしら事情を抱えた人達なのは見て理解していますから。でも、まだ事情はわかりません、ですから母は治療しています。たとえ彼らの想い、死にたいと彼らが願っていてもね。」
「え?死にたい?なんだそれ?」
初耳だったのかエルアルが聞き返すので、昨日のことを話そうとしたがある事に閃く。
「そうですわ、エルアル卿少しお願いしたいんですけど。」
ティリエスはそう言って言葉を続けた。
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