私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(第一村人達候補はどう考えても訳ありです②)
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「まぁ、起こってしまった事を今更とやかく言っても時空魔法を使うしか変えられないのですから、考えても仕方ないことでは?」
レイの言葉に顔を上げると、楽しげに手持ちのナイフの手入れをしていた。
彼が人前で武器の手入れをするなんて、珍しいものを見たなと思いつつ言われた時空魔法の言葉にそういえばそういう魔法もあったなと思い出していると、カラカラと笑う声が聞こえた。
「いやいやいや、時空魔法って禁術の域じゃん。しかも大昔何百人という魔法師を使ってやったら大失敗した魔法でしょ?」
「グリップ先輩は詳しいんですね。」
「まぁ、そこそこ勉強してないとサボれないし。歴史は面白かったからね。」
「そこで行なったのはプラメイト領と魔人領の境目、魔人領マグニーズで行なったって言われてますよね?失敗場所は地面が抉られたように割れ、マグマ一帯になったと。」
「そうそう、今ではなんでもゴミ捨て場。燃えないものは魔人領までって。あそこも高いよね料金。しかも世界のゴミが集結しているらしくってあそこは匂うらしいよ。」
「へぇ、ある意味恩恵をもらったけど、別問題が起こって大変ですね。新たに場所を設ければ匂いは改善しそうですけどまぁ昔のそんな禁術おいそれと扱えないですし、ねぇお嬢様。」
「・・・え?うんまぁ・・・そうだね。」
ティキの言葉に何処か歯切れ悪く頷いたティリエスを見て、ハタッとティキは考える。
彼女がなんだかよそよそしい態度に、まさかと思ったが一つの可能性を考える。
「もしかしてお嬢様・・・時空魔法使えるんですか?」
「はぁ?」
ティキの言葉にグリップは何を言ったのか分からない顔を見せたが、ティリエスの顔を見てグリップももしかしてと思い始めた。
「え?え?・・・ティリエスちゃんマジなの?」
「え?うんまぁ・・・使える・・・と思いますわ。」
ここでしたことありませんけど、とつけ加えてそう言うとティキとグリップは驚いて顔を見合わせた。
「マジか!!!・・・・いや、なんであんたらは平然なんだよ?」
自分はこんなにも驚いているのに対し、しれっとしたままのレイに、いつものようにニコニコと笑みを浮かべているシナウスに思わずグリップは突っ込む。
「お嬢様であればそれくらいできるでしょう。」
「お姉様ならそれくらい問題ありませんよ。」
「いやいやいや、何処からそんな自信?」
グリップの言葉を無視し、手入れを終えたレイはティリエスににっこりとほほ笑む。
「で。お嬢様、まさに今その時空魔法を試し、時間を遡るというのはどうでしょう?そうすれば、今の憂いを解決できるかもしれません。それにあともう一つのことも。」
「いや〜・・・ってレイ、あの・・・もしかして武器手入れしたのって・・・。」
遡って秘密裏に処理しようとかいうつもりでナイフ手入れしたわけじゃないよね?
彼の物騒な思惑の可能性をよぎり、ティリエスは思わずじっと彼を見つめたが彼はただただにっこりと微笑んでいるだけなので提案してきた理由は分からないままだ。
「いや、例えできたとしてもしませんよそんな事。それに理論上可能といっても、実際どうなるのか分かりませんし魔人領のようにマグマ作りたくありませんし。」
「そうですか・・・残念ですね。」
全く残念そうに見えないレイはナイフを仕舞い込む。
「でも、そうなると目下一番の心配事をどうにかしないといけませんねぇ。」
「心配事?」
はて?なんだろうと思っているとレイはクスリと笑う。
「あの双子、どうやって宥めるおつもりで?」
「え?・・・あ!」
すっかりピクニックどころではなくなり、先に帰った双子の事を思い出しティリエスは思わず頭を抱えた。
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