私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(何故彼らがここにいるのか順を追って説明しよう!㉘)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は3/26(水)投稿予定です。
ここら一帯声が聞こえるように言い切りティリエスは満足げな顔をする。
「お、お嬢様大丈夫ですか?相手はわからない相手なんですよ?」
「ティリエスちゃん随分思い切ったことしたねぇ。」
不安げなティキに能天気に返しながらも周囲を警戒し剣の柄から手を離さないグリップを見て、ティリエスは笑顔を見せる。
「確かに見たことのない相手ですけど、多分大丈夫ですよ。」
「それは相手の罠を分析してという事ですか?」
シナウスの問いかけにティリエスは頷く。
「シナウスも言っていたじゃない、悪いことはしてるけど悪人ではないって。罠の一件もそうですし総合的に考えて一般人がいるということ。そして彼らは無闇に害をなそうとしていない。」
「だからって大声で話しかけるとはねぇ・・・まぁいいですけど。」
レイにも呆れた様子で言われたがティリエスは気にしない。と、持っていたポシェットがモゾモゾ動く。
「・・・なんや?えらい大きぃ声出して。」
「そのまま息の根を止めれば眠れるぞ?鶏。」
「おはようホルアクティ。ごめんね起こした?」
レイに物騒な事を言われて慣れたのか特に反応することもなくホルアクティは器用に自分の羽根で目を擦る。眠そうなホルアクティにティリエスが謝罪すると彼は別にええよーと間の伸びた声を出して、ティリエスの左肩にのる。
「ほんでどないしたん?」
「ほら、ここに来る前に話した例の人達。事情がわからないけどとりあえずあってみようと思いまして。声をかけたんですの。」
「そやのー?あ、ホンマや何か来よるわ。」
そうこう言っている間に正面から草がガサガサ揺れるのが見え、誰もがそちらを見ているとひょこっと男が2人出てきた。
キョロキョロと周囲を見渡しているその2人は見すぼらしい服装でひどく顔色も悪い。
・・・・顔色悪いな、大丈夫か?
「なぁ、こっちで女の子の声が聞こえたんだけど誰もいないよな?」
え?・・・・・あ!
目の前の男の言葉にティリエスは思い出す。
・・・そういえば認識阻害の魔法を施していたわ。いっけねー・・・どうする今ここで魔法解いちゃう?
「とりあえず、報告した方がいいんじゃないか?」
「そうだな、とりあえず一度カンジさんに言って指示を仰ごう。」
お!もしかしてこれは・・・。
「どうやら、チャンスみたいですねぇ。いっその事根城まで案内してもらいましょうか。」
小声で言ったレイの言葉に皆賛同しその2人についていった。
彼らは相変わらず周りを必要以上に警戒し、まるで何かを恐れるようにして進んでいく様に怪しいというよりなんだが逆に心配になる。
それにしても本当この人達、なんでこんなに怖がっているんだろう?
ついて行くこと15分ほどだろうか、ぽっかりと縦向きに空いた大きな穴が見えた。
あそこに仲間がいるんだろうか?
さらについて行こうとしたがシナウスに止められた。
「数が思ったより多いです。ここから様子を伺いましょう。」
彼らの行く道から外れ穴の近くの岩場から覗き込むと思っていた光景ではないその場所にティリエスは息を呑んだ。
「な、・・・なんだこれ?」
「まさかそんな・・・女性・・・それに子供もいます。」
困惑したままグリップもティキも口々に呟く。
そこには酷く痩せた人々が辛うじて集めた草の上で眠っていた。岩肌の壁を背に座り込んでいる人も見えるがここから見える彼らの表情は誰も生気を感じられない。
「息は・・・辛うじてしてますが・・・これは。」
シナウスも流石に困惑していると洞窟から誰かがやってくるのが見えた。
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