私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(何故彼らがここにいるのか順を追って説明しよう!⑤)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は1/24(金)投稿予定です。
「えぇ〜!じゃぁ本当に当分王城にも来れないって事?!」
アステリアの至極残念そうな声が部屋中に響き渡る。果実水をティキに渡しながら自分が悪いわけでもないのだがアステリアへ謝罪する。
それでも納得しないのか、ポテチを頬張りながらアステリアは難しい顔をした。
「まぁ・・・ホイホイとなかなか来れないけど、アステリアの誕生日パーティーの時とかイベントには行けるからそれで我慢してくれる?」
「うーん・・・ホイホイ・・・気兼ねなく行ける方法・・・あ。いやいや!それはダメそれはダメだわ!」
何か閃いた顔を一瞬だけ見せたアステリアだったが、すぐにその考えを打ち消すかのように首を横に振る彼女を見て、ティキとティリエスは2人して不思議そうに彼女を見た。
「アステリア、何か良い案が浮かんだの?」
「えっ!?い、いや〜・・・そのぉ〜。」
「・・・何か聞かれると困るのか焦っているような感じにも見えますが。」
ティキの鋭い指摘にアステリアはビクッと肩が跳ね、2人の視線が耐えられなかったのか観念したかのように肩を落とした。
「最近聞かされた内容でさっき一応方法は一瞬!一瞬だけ浮かんだんだけど、絶対ダメだなっと思って言うの辞めたの!本当!これは本当に!」
「?アステリア誰に言い訳してるの?」
「お嬢様、私は大体想像できましたよ。」
「?・・・うーんまぁ、それで?一体何を聞いて何を思いついたわけ?」
ティキが何に理解したのかも急に弁解するようなアステリアの態度にも困惑しながらもティリエスは話しを続けるように彼女を促した。
少し、言おうかどうか迷っていた彼女だったが、存外彼女の根も真っ直ぐで親友である私には内緒にできないタチである。なので口が重いと思われた彼女の口は思ったより早く口が開いた。
「お、お兄様がね言っていたの・・・。」
「お兄様?・・・王太子殿下が?」
はて?なんでそこでアステリアのお兄さんが出てくるんだ?
「実は、この前の件の後、お兄様が公爵様にティリエスを婚約者としてどうかって言っているの聞いちゃって・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」
思いがけない事実にティリエスは間たっぷり使ってドスの効いた低い声で返事をする。
私が?あの何を考えているのか得体の知れないあいつと?
・・・・・・普通に嫌だな、それ。
「も、勿論!公爵様は断っていたわよ!だから貴女を私の兄と婚約することは今のところないんだけど。でも、もし、仮にさ。お兄様の婚約者だったら気兼ねなく王城に行けるんじゃないかなーってそんなことを思ってしまったわけで・・・。」
ガシャーン!!
アステリアの言葉を掻き消すように外で何かが割れる大きな音が聞こえ、アステリアは「ひっ!」と小さく悲鳴をあげ、ティキはティキで溜め息を吐いていた。
「?なんか割れた音?」
「ちょっ!レンレーン!おまっ何やっての?!花瓶割ってんじゃん?!寧ろ粉砕っ?!えっ何事?!」
あの声はグリップ卿?じゃぁ割ったのってレイ?珍しい事もあるな花瓶を割るなんて・・・花瓶か。
「まだ花瓶は安いものだったから傷は浅いか。」
「えっ?!そう言う問題!と言うか、貴女ちゃんと言ったんだから助けなさいよ!?」
「え?助けるって」
何を?と言いかけたその時だった。
静かにノック音が聞こえた。
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