私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(何故彼らがここにいるのか順を追って説明しよう!③)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は1/20(月)投稿予定です。
今から約3年前ーーー。
「ティリエス、君は当分外出は駄目だ。」
カシャンと、いつもなら優雅なテーブルマナーを見せているティリエスにとって、音を出すという初期のようなマナー違反は非常に珍しいことだったが、それ以上にティリエスは父親の言葉の方が衝撃だった。
例の教会騒動から解放されて1ヶ月、9月特有の夏景色から秋模様な領地の景色へ日々変化していっている事にティリエスは心穏やかな毎日を過ごしていた。そして、先送りとなっていた自分の誕生日パーティーを開かれる日まで指折り数えてまっていた。
そんな時、夕食の場で父は開口一番にそう言ってきたのである。
「お、お父様・・・あの、外出禁止というのは・・・?」
おかしいな、今朝はいつも通りだったのになんで急にそんなことを?
チラリと側に立つレイの方に視線を送るが、彼は別段何の反応も見せない。
「言葉の通りだ、当分は領地の散策も遠い場所は駄目だということだ。」
な、な、何ですとーーー?!!
ピシャーンとまるで頭上から雷が落ちてきたような衝撃が走る。
私、領地外ならともかく遠い場所は駄目?!なんか悪いことしましたっけ?!
「あなた、そんな風に言ってはティリーもびっくりしますわ。」
母であるリリスの言葉にそちらを見ると、一歳になったばかりの双子にご飯を食べされているところであった。
2人の口元を優しく拭き取りながらティリエスの方を見る。
「実はね、私とお父様でずっと話し合っていたんだけど。ティリーは最近忙しかったでしょう?だから、ちょっと屋敷で休んで欲しいと思ったの。」
だから、ティリーが何か悪いことをしたからとか、そういうことじゃないのと付け加えて説明される。
「で、でも。領地でしたら護衛をつけて行きますし、遠くの村まで行っても・・・。」
「うーん・・・それもそうなんだけれどねぇ。」
チラリとリリスはアドルフの顔を見ると、アドルフは軽く頷く。
「それなんだが、実は各村の道に道路を作る事になった。」
え?あのガタガタだった道を?
馬車での行き帰りを思い出し、思わず父親をじっと見る。
「あぁ、今まで領地の人達に不便を強いていたからな。家の修繕なども含めて長期にわたる工事を行う事にしたんだ。それでその工事なんだが他領の人間を雇ってという事になる。」
あぁ・・・確かに。
言われてティリエスは気がつく。土地は広大だが人は少ない。ましてや大規模な工事や建築ができる人なんか正直数えるほどしかいない。
まぁ、呪われた地の近くに住んでいるっていう昔の悪いデマのせいで人もこなけりゃ、他領で建築技術とか学べなかったっていうせいもあるんだけど、ここの人達はほぼ独学で身につけてくれたから何とかできたわけで・・・。
「領民ではない者が来て、工事の間は騎士達も駆り出す事になるからティリエスの護衛までは難しくなるかもしれない。すまないが少しの間我慢してくれるか?」
「そういう事ですか・・・わかりました!私は大丈夫ですわ!」
つまりはその人達の中に悪いやつが紛れ込んでいるかもしれない!って事ですわよね?
両親がなぜそう言ったのか意図がわかりティリエスは行儀良く頷いた。
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