私が聖女候補なんて世も末である。(見えない神より親子の絆の方が強い所を、とくとご覧あれ㊻)
いつも読んでいただきありがとうございます。今年最後の投稿です。心残りといえば、今年中にこの章を終わらせられなかったって事ですね。だってこの章書いて1年経つんですよ?長すぎじゃないですか?書いてるの私ですけど今年を振り返ってそう思いました。あと1、2話でこの章は完結しますが、いや、本当に長い。あともう一つ書いている小説間に合わなかったことも申し訳ありません。忙しかったものそうなんですが書いていたのがごっそり消えてしまったのが一番の原因です。本当に申し訳ありませんでした。もう一つの小説は次回1/4に投稿しますので応援よろしくお願いします。毎度ながらこっそりと誤字脱字を教えてくださった名もなき妖精様、ありがとうございます。次回は1/6(月)投稿予定です。
最後に、皆様良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いします。 ちゃらまる
・・・よっし!気が削がれた!
カリファの言葉を聞きながらティリエスは内心ガッツポーズをする。
いやー、どうにか私に聖女させようとしている魂胆が丸見えだったからどうにか穏便に諦めてもらえない何かないかなーなんて思っていたんだよねー。よかったーバルバラ連れて来て・・・じゃないと。
ティリエスはチラリと作業をしている騎士達の方へ彼らには分からないように見る。
そこには、作業はしつつもこちらを伺う騎士の目が冷たく法王カリファ達に注がれている事を確認する。
彼女が自分を聖女に迎えたいと言った瞬間なんてもっと彼らのは冷たく鋭かったのをティリエスは思い出し、己の身が震え上がるのを感じた。
あのまま自分が彼女の言葉をのらりくらりと躱わさなければどうなっていたことか・・・お父様、ガチに怒るとめっちゃ怖いんだよ?知ってる?
なにわともあれ、バルバラの存在によってそれは避けることが出来たのでティリエスは胸を撫で下ろし、それにと心の中で呟く。
バルバラはきっと教会の庇護が必要だ。彼女がどんな場所でどんな事をしていても・・・ただ、彼女はきっと聖女になろうとするだろう。人の為に祈りを捧げる事が出来る彼女であれば。
私は敵となった人物に祈りを捧げる気持ちにならないしあんな風な事出来ないなー・・・なんて思っていると、自分の呼ぶ声がしたのでそちらへ振り向くとバルバラと彼女の家族であるクリメンスと父親であるロコスがこちらへやって来ていた。
「見ていました。バルバラがここに来ないといけないと思ったのはこの為だったんですね。」
ティリエスの言葉に、バルバラはこくりと頷く。
「でも、最初はわからなかった。それにここに来るまで、色んなことを思い出してたの・・・教会にいる時なんて最悪な記憶しかない、今でも怨みは消えていない・・・でも。いざ、壊れた教会を見た時、私ここで死んだ人達に祈らなきゃって思ったの。恨みも自分の気持ちその時だけ不思議と消えて・・・ティリエスさん。」
バルバラは改ってティリエスを見る。
「私、このまま教会の人達について行こうと思う。さっきお父さんとお兄ちゃんと話して決めた。」
「良いのですか?あんな事があったのに・・・何なら、私の領地に来てもらって良いんですよ?私達は歓迎しますわ。」
最後の選択をティリエスは彼女に与える。法王である彼女にはああは言ったがバルバラは友人だ。友人が決めた選択のために自分は動くつもりでいるとバルバラは寂しく笑って首を横に振る。
「ありがとう・・・、きっとティリエスさんの領地に行けば幸せに暮らせるなんだろうって思えるし私の気持ちも色々まだ考えること整理することはある・・・けど。私が帰る場所はここだと思っているから、だから私、逃げないでついて行く。自分の為に。」
「・・・・そうですか。」
彼女の目に暗いものはないことを確認したティリエスは、彼女の言葉に素直に頷き、ティリエスは彼女を抱きしめる。彼女もティリエスを抱きしめ返す。
「もし辛くなったら・・・いえ、息抜きでもいいですわ、私の領地に遊びに来てくださいね。貴女は私の友人ですもの。」
「・・・ありがとう。まだ分からないけど・・・私、もし教会で偉くなれたら、教会をもっと良い場所に変えてみせる。人の信仰が歪まないように、小さな幸せを守れるようなそんな場所にしてみるわ。お兄ちゃんと一緒に。」
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ーーーー教会の歴史に、偉大な聖女として名を刻んだ者がいた。
名をバルバラ。
彼女は、教会に身を置き聖女でありながら変わり者でも有名だった。
清廉潔白であれと言われる教会で、彼女は貴族からお金の援助を口にするような人物だったと関係者は口を揃えてそう言っていた。
中には俗物を欲しがるなどとと陰口をいう人間も少なからずいたと言うが、彼女は気にせずこう言ったのだという。
「確かに私は神の教えを説き、神の近しい場所にいます。ですが、私は人です。神ではありません。そして教会は人が造った人の拠り所だと私は思います。この先の人達が今のようにここを拠り所として維持できるように、未来の人達がこの景色が見られるようにしたい。だから私はそう言います、それに貧しさが美徳ではありませんし私だって少しだけご褒美が欲しいですもの、頑張っている教会の皆と子供達と美味しいご飯いっぱい食べれるようなそんな幸せを。だから私は聖女を頑張れるんですから・・・まぁでも。」
それ言って教えてくれたの、私の友人でその子の言葉でもあるんですけどね。
そう言って、誰かを思い浮かべて彼女は笑って言っていたのだという。
誰からも好かれ、聖女としてさまざまな偉業も成し遂げた彼女だったが、聖女の後継として周りから子を設けるように願われた。教会のために何でもしてきた彼女ではあったが、それだけは首を縦に振ることはなく子を設けず独身を貫いたという。
彼女を常に守る見目麗しい男の存在を噂されたが、彼と彼女の間にはそのような記録はない。男もまた独身を貫いたと記録されていたーーー。
数十年聖女として役割を全うし、彼女の友人達が亡くなり聖女も代替えを終え、静かな余生を過ごしていたある日、彼女はお気に入りの小さな庭園の庭のベンチで静かに息を引き取ったという。
誰もが彼女の死に嘆き悲しみながら、ふと彼女の手が何かを掴んでいるのが見えたので開いてみると、彼女の手には小さな黒い丸石がそこにあった。その黒い石を見た聖女は彼女にとってとても大切なものだと理解し保存をという声を押し切り彼女と一緒に埋葬した。
彼女が亡くなってすぐ、誰もが彼女のそばにいた男の存在を思い出し走った。いつも片時も離れなかった男を皆探し回ったが、彼の姿はそれ以降見る事はなく行方をくらましたとのだという。
いつも読んでいただきありがとうございます。