私が聖女候補なんて世も末である。(見えない神より親子の絆の方が強い所を、とくとご覧あれ㉜)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は12/23(月)投稿予定です。
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「見えてきました!教会です!」
すぐに準備を整え、出発したティリエス達は途中の残党や魔物に注意しながら進み、辺りが白み始めてきた頃教会へ着いた。
あんなに立派な教会が・・・。
教会へ目をやると、もうそこにはただの瓦礫の山でしかなかった。
「あれだけ派手にやればそりゃ壊れますか。」
ポツリとこぼしたオーガだったが、隣に立っていたティリエスに屈んで耳打ちをする。
「例の拠点はどうなるんです?」
「鍵は元の所有者の元に戻ってきますから、心配いりません。」
「なるほど・・・あれほど快適な空間はそうそうありませんからなくすのは惜しいと思いましたが・・・なるほどねぇ。」
・・・・そんな目で私を見てもあげないからね。私も気に入っているし。
彼の頭の中が透けて見えたので少しだけ距離を置こうとしたが、思いとどまりオーガに耳打ちをする。
「あげることは出来ませんけど。お貸しはできますよ?」
「ほほぅ・・・では貸し出し料のお話しを後日しましょうか。」
互いにニヤリと悪い顔になる。
ラッキーお小遣いゲット!
「・・・・・・・・何をそんな至近距離でお話しを?」
ぎくっ!
背後から急にレイの声が聞こえたのでティリエスは肩を震わせた後後ろをゆっくりと振り返る。
じぃっと見下ろすレイにティリエスは思わずオーガと距離をとる。
「ちょっとした商談です。ですよね?オーガさん。」
「そうですねぇ、利害が一致したのでそのお話しをしただけですよ?」
「・・・・・・・・・・ふーん・・・まぁ良いでしょう。」
少し間はあったが納得したレイを見て内心ほっとしていると、父の大きな声が聞こえてくる。
どうやら怪我人や生き埋めはいないかの確認をしているらしい。
私も何か手伝うべきかと思い辺りを見ると1人駆け寄ってくる人物にバァっと笑顔になる。
「フラス!」
「マスター!」
2人で抱き合い再会に喜ぶ。
「マスターお怪我はないですか?あぁ、こんなに濡れて・・・風邪を召してしまいます!」
「私は大丈夫!フラスは?怪我はしてない?」
「はい、私は戦えませんので邪魔になると思い、ホルアクティ様と別れて身を潜めていたんです。そしたらちょうどその時マスターを助けに来た騎士の方や仲間に幸運にも会うことができ、私は怪我人の治療を診ておりました。」
彼女が後ろに視線を送ったので振り返るとブルーとレッドが手を振っていた。
お父様達が地下に来る迄に会えていたのか。
ホルアクティが危ない場所に彼女を置いていくことなんてしないと思ってはいたが、顔を見れてようやく安堵する。
「それで逃げ遅れた人は?」
「仲間では1人もなく、怪我人もある程度でましたがほとんど軽傷です。」
「そっか・・・よかったですわ。」
抱きしめあっていた腕を解くと、ちょうど誰かがこちらへ来るのでティリエスは顔を見る。
「マルフェさん?」
・・・じゃない?
マルフェと同じ顔を持つその人の女性特有の膨らみに気がつくとフラスも振りかえる。
「彼方の方は教会の現法王カリファ様です。」
思ってもみなかった大物の名前にティリエスは驚いた。
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