まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。㉖)
上手く誤魔化せたかな・・・・?
急に3歳児が夜食のお願いしたあの時のギリアの顔は正直変な子と思っている顔に違いない。
さりげなく、本当さりげな~くあるメイド達の言っていた「夜食は大人の特権。」とか「背徳感がある。」と耳にしていたことがあったから、「アンがいない時にちょっと悪い事してみたい!」っと子供の好奇心を装ったので次に見た顔は、子供がおませになりたい可愛いお願いとして思われた微笑む表情、だったように思えたが・・・実際どう思われたのかは本人しか分からない。
まぁともあれ、「ちゃんと歯磨きしてくださいね。」という言葉と一緒に夜食を作ってくれたギリアは良い人だと思う。
さてさてここで良いかな?
ことり、とギリアの作った夜食を枕の上に乗せる。
夜食を置いて私は部屋の窓から空を見上げる。
日中は雪が降り続いていたが、今は空は晴れ星の輝きと月の形が窓からくっきりわかる程見える。
今日は半月つまり上弦の月にあたる日である。
正直今夜が晴れるかどうか不安になるほどの雪の降り方だったので晴れたことに逆に驚く。
晴れた夜空に今夜、決着をつけろと天のお声が告げているように思えた。
・・・よし、腹をくくるかぁ!
こういう後回しにしてきたことは勢いが大切!うむっ!
私は願をかけるように夜食にパンっと小さく音を立てながら手を合わせた。
勿論食べる為・・・ではない、これは供物を見立てたものである。
そう、私はずっと見て見ぬふりをしてきた幽霊と対峙してやろうとこうしてお供え物という名の夜食を用意してもらったのだ。
勿論、幽霊の怪奇現象を知らない両親や大人達には内緒である。
私は夜食の横に置いた袋を開けてその中身を取り出す。
自分の拳位の大きさの白い石と細長い小瓶の中には液体が入っている、それを右手に白い石、左手に試験管のような小瓶を手に持つ。
ふふん、幽霊には塩と聖水とお供え物って相場が決まっているもんねー。
白い石もとい岩塩と小瓶にはこの世界では聖水といわれる月下草といわれる薬草の朝露のみを集めた液体が中に入っているのだ。
まぁ、朝寒いから葉っぱの上で凍っていた氷の粒を集めたので本当にこれが朝露なのか疑問もあるが沢山集めた中にきっと朝露といわれるものがきっと含まれているに違いない。
因みに私の計画はこうだ。
まず、取り敢えずお供え物を捧げて成仏してもらう。因みに夜食は硬いパンと本日絶賛されていたクリームシチューである。きっとあまりの美味しさにきっと成仏してくれることだろう。
でももし、これが駄目だったら?・・・仕方ない、次の計画へ移行する。
第1計画が失敗した場合次はこの聖水を幽霊にかける。よく幽霊は魔属性といわれるし聖属性に弱いはずだ。ちょっと・・・いや、大分苦しんでの浄化という名の成仏になるだろうがいい加減現世に未練を残してはいけない。私みたく来世へ向かうべきだ。
でもでももし、この計画も駄目だったら?・・・仕方ない、次の計画へ移行する。
第2計画が失敗した場合最後の手段だ。この右手に持っている岩塩を幽霊に投げつける。
大丈夫、幽霊の浄化道具の1つお塩ならきっと物理攻撃が出来るに違いない。
幽霊にたたきつけるように投げて痛みで悶えている隙をついて・・・部屋から逃げる!
「完璧ですね。」
誰に言うわけでもなく私は独り言ちる。これだけしっかりした計画を立てたのだきっと上手くいくはず・・・でもやっぱり怖いからベッドの下で待機しておこう。
ベッドスタンドの明かりをそのままに私は2つのアイテムと厚手の毛布を持ってベッドの下へ潜り込み、何時ものように火の属性魔力を体にほんのり纏いその時を待つことにした。
大体怪奇現象が起きるのは深夜前、あと20分もすればいつも幽霊が現れる。
この世界に産まれ落ちてから早3年、よくもまぁ目を瞑って耐えてきたもんだなと待ちながら今までのことを振り返る。
怖さが勝って一度も目を開けることは出来なかったからすすり泣く声にくすくす笑う小さな声を聞いただけで見たことないな・・・そういえば、今更思ったんだけど。
幽霊って・・・人の形なんだろうか?
ここでふとその疑問がじわりと浮上する。
もし、目を開けたら異形なるなんか怖いモノだった・・・なんてオチにならないよね?
「しまった・・・幽霊とすっかり思い込んでいたから人のなりをしていると思い込んてた。」
あと、足が透けてるとか?
コンコン。
「っ!!!」
急にドアのノックが聞こえ、思わず私はビクッと体を震わせた。
だ、誰だこんな時間に・・・。
すっかりビビッて弱気になった私は首をすくませノックの音を耳にする。
もしかして・・・ギリアかな。
一定の時間に音が聞こえるノック音に私はもしかしてギリアではないかと思った。彼は動きにムラっ気が無いからノックも規則的なのだ。
もしかして、歯を磨いているのか確認しに来たのだろうか・・・?
「・・・ギリア?」
少し気が緩んだ時だった、私はギリアと名を呼んだ途端、私はある事に気が付いた・・・気が付いてしまった。
ノック音・・・ドアのない壁の方から・・・した?
さぁっと頭の血が下がる感覚、血の気が引くとはこのことを言うのだろう。
私は瞬時に身体が固まり、一瞬にして口の中が渇いた。
ノックした相手は私の声が聞こえたのかさっきまで規則的にノックしていたのに、し・・・んと間が出来た。
ガチャリ。
え、え、は、入ってきた!
ギィ・・・と少し建付けの悪い扉の音がしてコツ・・・と中へ入ってきた気配がした。
や、ヤバイどうしよう!
もう既に恐怖で混乱している私は、ベッドの下でジッとしている他なかった。
甘ちゃんだった・・・料理で事が上手くいったから、これもすんなりいくんじゃないかとか変に楽観視したからだ・・・ど、どどどうしよう!誤魔化せない!!
何時ものように寝たふりは出来ない。
ベッドの下にいるなんてどう考えたって存在知っているよね、って言っているようなものだ。
コツリ・・・と近づいていた足音がベッドの前で止まる。
思わず手で口で押えて悲鳴を上げないようにする。
ちらりと横目でベッドの隙間から外を見れば、ほんのりとした灯のお陰で黒い靴がちらりと見えた。
脚が・・・ある?・・・ん?
と、何か自分の周りの空気が変わったのを肌で感じ取った。
これは・・・風の魔力?!
何かが分かった途端自分の身体がふわりと動きベッドの外へと向かう。
ちょちょちょ!!
不味いと思った時にはベッドの下からふわりと舞い上がりぽすんっと誰かに抱きしめられた。
誰か、なんて分かり切っている。例の幽霊だ。
だが、ここで可笑しいことに気が付いた、幽霊なのに暖かく感じそして上等なスーツの感触がしたのだ。
ふわんっとコロンだろうか、シトラス系のすっきりした香りが鼻を掠める。
手を口に当てたまま私は、声を上げることも出来ず恐る恐る上を見上げた。
徐々に上を見れば、その幽霊の姿が見えてくる。
・・・・・ん?
その幽霊の顔を見た途端、私は何も言えずじぃっと幽霊を食い入るように見つめた。
私を抱きかかえるのは、恐ろしい化け物でも足のない生気が見慣れない幽霊でもない。
そこにはさらりとした桃色の髪と同じ桃色の瞳を持った優し気な青年がそこにいた。
・・・・思ってたのと違う!
全く想像していなかった相手に戸惑いながら私がじっとみていると、その青年は嬉し気に微笑んで口を開いた。
「ようやく、ようやく会えました・・・姉様。」
「・・・はぁ?!」
姉さま?・・・・姉さまってなんぞ??!!
思いがけない言葉に私はようやく初めて声を出せたのだった。
いつも読んで頂きありがとうございます。
次回出来たら土曜日、もし無理なら日曜日に投稿予定です。




