私が聖女候補なんて世も末である。(見えない神より親子の絆の方が強い所を、とくとご覧あれ⑪)
いつも読んでいただきありがとうございます。こっそり誤字脱字を教えてくださった名もなき妖精様ありがとうございます。あとすみませんが気候の変化で体調を崩してしまったので次回は11/1(金)投稿予定とさせていただきます。ご了承ください。
カラカラと小石が落ちていく様を見届けた4人は、思わず互いの顔を見合わせる。
え・・・敵?嘘でしょ??
でもさっき全滅させたましたよねぇ?
でもじゃぁなんでこんなにここからでも振動を感じるの?
徐々に何かか迫ってくる気配を感じ取ったティリエスは少し考えてあることを思い出す。
「もしかして援軍でしょうか?」
レイ以外の今迫り来る存在の疑問にティリエスはある可能性を言ってみる。
大勢の人間が移動する様を考えて、援軍の到着が一番可能性の高いと思ったティリエスだったが即座にレイに首を横に振られる。
「残念ですが、まだ援軍が到着するまでに時間は要しますねぇ。何せもう夜の時間でしょうし夜の移動は障害があり過ぎでしょう。ですので今のこれに当てはめるのには少々無理があります。」
あっさりと否定されティリエスが何も言えずにいると、マルフェは持っていた剣を鞘から抜こうとしたがオーガに止められる。
「やめた方がいい、細剣は単体なら有効ですが複数には不向きです。それよりもう少し下へ行けば広い場所があります、そこまでとりあえず進みましょう。ここでは何もかも我々は不利だ。」
「・・・そうだね、でも謎だよ。一体これ程の人数の足音・・・どこに隠れていたんだろうね。」
「大方、ここの地下には他にも道や部屋があったんでしょう。死人を隠すには腐敗しないこういう場所が適任だ。」
階段を降りながら壁をコツコツ叩いているレイは淡々と話す。
「ここにいる修道女の番号はここにいる人数だ。礼拝堂にいた人数やそれまでに遭遇した奴らだけでは到底数は満たない。」
「じゃぁ・・・もしかしてまだ半数以上どこかにいるって事?!そうか、だからあの人数の食料を用意しろってブジョラは僕にそう言ってきたのか。」
あの時言われた本当の意味を今更気がついたマルフェに、うんまぁそれだけで分かればすごいよねとティリエスは心の中で呟く。
開けたところまで降りて来た一行はすぐに迎え撃つ準備を始める。
ティリエスは邪魔しない彼らの後ろに大人しくいた。
「無尽蔵ではないと分かるだけ少しは楽ですけどねぇ。ただ、今まで隠れていた理由はこれと言って腑に落ちないんですよねぇ。」
「うーん・・・もしかして、夜が関係してるかも?」
「ティリエス嬢、それはどういう事?」
「先ほどマルフェ司祭が水属性の体質なゆえにこの冷気が辛いって言ってましたよね?なら彼女達もまた今の状態が一番活発しやすい時間になったのではないでしょうか?」
「それは闇属性という事でしょうか?」
「可能性ですけど、でもこの日が沈んだ後に動き出すということが証拠だと思います。」
「なら、先ほどよりも強いかもしれない・・・ということですか。」
状況を整理したその時だ。また小石が落ちて来たので誰もが頭上を見やる。
「げ・・・なんだぁあれ。」
嫌なものを見たようにレイが呟く。
「まさか・・・あの女はどこまで非道な事を。」
「司祭、あれがなんなのか分かります?流石にあんな気持ち悪いもの初めて見ましたけど。」
「・・・・・・・・。」
前の世界で空想のものとしては知っている。・・・けど、実際こんなものを作り出した人間の気が知れない。
「神話でも出て来たことがあります、幾重の生物を織りかさね殺戮を厭わない存在を作り悪しき者どもを退けた存在として書かれていました。名を・・・合成獣。」
マルフェがその名で呼ぶ彼女達を見上げる。
腕は動物ような腕を持ち下半身から下は蜘蛛のような姿で上半身から頭は人間の女の姿をしている。
そこには到底人ではない姿の彼女達が壁にへばり付き逆さまになってこちらを見下ろしていた。
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