私が聖女候補なんて世も末である。(真相を究明しようとすれば、きっと誰かは泣く羽目になる。㊿と9)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は10/2(水)投稿予定です。
「・・・と、遊んでいるだけではダメですよねぇ流石に。行きましょうか。」
え?まぁ・・・行かないといけないよねぇ・・・うん。
オーガの気になっている女性についてちょっとだけ気になったが、至極真っ当な事を言って走り出したオーガを見て、ティリエスは聞きたい衝動でウズウズする口をキュッと閉じてレイに抱えられたまま大人しくした。
「・・・やっぱりここですか。」
刺客からの攻撃を避け沈めて走り続け、3人はようやく礼拝堂の扉の前に到着した。
「変ですね?いつもならここは開放状態なのに。」
レイに降ろされ、いつもの開けっ放しの出入り口が閉じられていることにティリエスは指摘する。
「中から鍵をかけてまで・・・それだけ中の人物を逃したくないんでしょう。」
レイはそう言ってそっと扉に手をやる。
ティリエスはオーガの顔を見やると、彼は彼で能力を使っているのかしきりに目だけ動かしている。
「何か分かりますか?」
「中に1人反応はっきりとしてますね。もう1人はここには居ない・・・けれど、気配を感じますからもう1人もこの近くに居るはずです。恐らく2人は逸れてしまったんでしょうねぇ。」
「どちらなのかは分かりませんか?」
「残念ながら、私の能力では人物の特定まではいたらないようですねぇ・・・、多数調べてしまうとマルフェ司祭なのかイーチャ司祭なのか分かりません。でも、わかる事もありますねぇ。」
「?何ですそれは。」
「地図のようにぽつんとあるようには見えず、リアルタイムで移動した位置で捉える事ができてますねぇ。」
「へぇ・・・それはすごいですね。と言うことはどこかに隠れても位置特定しちゃうから分かってしまうんですね。それだと、オーガさんと隠れん坊しても勝ち目ないですね。」
したくないなぁ・・・オーガさんと隠れん坊しても勝ち目ないじゃん。
今後彼と隠れんぼすることはまず無いだろうが、思わず想像したティリエスはポロリと言葉を漏らす。
「流石に大人になってまで隠れん坊はしませんねぇ。」
「そうですよ「でも、まぁ追いかけっこはするかもしれないですけどねぇ、よく逃げられるんですよ・・・フフッ」・・・・・・。」
誰を想像してそんな風に笑ったのか、聞いてはいけないような気がする。
追いかけるというワードが出た瞬間ティリエスは彼に追いかけられる人に心の中で手を合わせていると、未だオーガの赤い目が執拗に動いているのが見えた。
「・・・オーガさん、どうしてそんなに目を動かしているんです?何だかまるで・・・」
動き回っている人の動きを目でおっているような・・・・・・あ。
そこまで思って中の人物の状態理解したティリエスは、どうしようか焦った顔を見せる。
「どれだけ敵がいるかですよねぇ・・・正面突破は避けたいですけど。」
「そんな面倒な事するわけないだろ。」
そうレイが答えるや否や止める間もなくレイラ姿まま扉を蹴り破壊した。
粉塵が立ち込める中3人は中の様子を伺う。
すると、そこに居たのは敵に礼拝堂の隅に追いやられているボロボロになって抵抗しているマルフェの姿だった。
「遅い!!!」
「ごめんなさい!!」
切羽詰まった彼の怒声にティリエスは脊髄反射の如く謝った。
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