私が聖女候補なんて世も末である。(真相を究明しようとすれば、きっと誰かは泣く羽目になる。㊴)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は8/9(金)投稿予定です。
それから次次回ですが、お盆は時間が取れませんので来週1週間お休みになります。次次回は8/18(日)投稿予定をしております。ご了承ください。
水筒よーし!
お夜食よーし!
常備薬よーし!
あとは・・・。
「お嬢様、おやつもここに入れておきましょうねぇ。」
「レイラ、なんで私の思っている事が分かるんです?」
「それはもちろん愛の力でしょうかねぇ。」
・・・頭の中で考えていただけなのに、どうして今その事を考えているって分かるんだろう・・・筒抜けじゃん、私。
ずるずるとお菓子を次々空間収納へと入れていくレイラにティリエスは疑問を持ったが気を取り直して目の前の用紙を見返した後、しっかりそれを細長くに折りたたむ。
「それよりレイラ、これもお願い。」
「あぁ・・・お手紙ですね、承知しました。」
そう言って彼はポケットにしまうとガチャリと拠点の扉が開いた。
オーガにバルバラ、そしてロコスがそこから出てくる。
「皆さん、準備できましたか?」
「えぇ、問題なく。」
「ロコスさんもお身体は大丈夫ですか?」
ロコスに声をかけると彼はフードを被ったままこくりと頷く。
思ったより早く回復できたのは見送りのためにここまで出てきたフラスのお陰だろう。
「フラスもありがとう、早くに回復できたのは貴女のお陰だわ。」
「いいえ、私だけでなくバルバラちゃんに手伝ってくれたお陰だわ。」
「わ、私はそんな・・・でもロコスさんが早く良くなってくれてよかったです。」
急に話しを振られてバルバラはあたふたと答えたが、すぐに落ち込んだように静かになる。
無理もないなとティリエスは悟る。結局あれから数日経ってもクレメンスは一度も目を覚さないままである。
思ったより彼女の回復に時間がかかっていることに、近くにいながら彼女の衰弱を気を付けてあげられなかったとバルバラは後悔し涙を流しながら、彼女の看病を勤しんでいた姿を思い出す。
そんな彼女を思ってか、ロコスが彼女の背をポンポンと優しく叩く。
まるで励ましているその仕草にバルバラも少しだけだが表情を明るくさせた。
「ではティリエス様、私はこのままクリメンスさんの容体を診ておりますわ。」
「えぇ、お願いします。ホルアクティにも頼んでいますので何かあったら彼に伝えてください。」
昨夜、快く承諾した彼を思い出しながらそう伝えると「頼りにしてます」と返事を返された。
「そろそろ皆さんいきましょうかぁ。何せ夜明けまでには帰ってきませんと。」
オーガの言葉に誰もが頷き、部屋を後にした。
「・・・・やはり見張りや巡回はしていませんねぇ。」
先導として前にいるレイラが気を配りながら呟く。
その呟きはティリエスも聞こえたので同意する。
「そうですね・・・でも、今気にしても何もわかりませんし先へ進みましょう。」
その言葉通り黙々と歩き進める一向だったが、ふと何かを思い出すようにオーガが口を開く。
「そういえば、今回どうやって外に出る予定なんです?私達のように危険な場所から行く訳にもいかないですし、かといってまさか正面からではないでしょう?」
その言葉にそういえばそうだとティリエスもレイラの方を見る。
オーガ達は身体能力の高さから暗がりの中2階から飛び降りたと聞いているし、今1階まできている。
彼に任せたけど一体どこまで・・・ん?
と、ティリエスは見覚えのある場所に来ていたことを知る。
あれ?ここって・・・。
思っている間に、レイラは一部の壁を押して階段を出現させた。
そう、例の地下に続いているように見えるあの怪しい隠し階段だ。
「レイラ・・・ここどこに繋がっているのかしら?」
「調べましたら実はここ、外へ続いているんですよねぇ、おそらく何かあった時のための脱出用出口でしょうか。」
「・・・・・・・・・・・。」
レイ・・・貴方。知ってて私に何も言わなかったな。
「好奇心に負けてしまいまして。」
いや、読むなよ私の思考。
心の中でティリエスは突っ込みを入れた。
いつも読んでいただきありがとうございます。