私が聖女候補なんて世も末である。(真相を究明しようとすれば、きっと誰かは泣く羽目になる。㉒)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/30(日)投稿予定です。
「・・・段々熱が下がって来てますね。気分は大丈夫そうですか?」
彼の容態に合わせて薬を使って暫くして、彼はベッドからなんとか起き上がっても大丈夫にまで落ち着き、そのまま食べやすいように病人食に変えたスープのはいったものを食べさせた。熱も下がり腹も満たされたお陰か、布を巻いているため顔色は分からないが目が力強くなっているので良くなっているのだと理解する。こくりと小さく頷く彼見て、微笑みながら食べ終わった皿を下げた。
本当はあの顔を隠している布を取った方が良いんだけど・・・まぁ、本人が嫌がっているなら無理に取ってもらうように言わないほうが良いよねぇ。
「お嬢様に看病・・・。」
「恨めしく見ていても貴方には無縁ですよねぇ?」
・・・うんまぁ、後ろの会話は気にしない気にしない。それにしてもタイミングが良かった、フラスが薬を作ってくれたからロコスさんも悪化する事はないし本当、彼女を召喚して良かった。
自分ではなく彼女の作った薬のお陰で快方に向かったロコスを見てティリエスは内心ホッとする。
「まだ休んだ方が良いのは分かっているので長居はしません、ですがロコスさんがどうして怪我を負う羽目になったのか聞いても良いですか?」
「・・・聞かせてください。それに、彼女には情報共有しておかないと我々が困ります。」
そう言うと、ロコスは戸惑った様子を見せたがオーガの言葉で彼は徐ろにサイドテーブルに置かれていた羊皮紙と羽ペンを持つと静かに事の詳細を書き始めた。
助祭に変装した村人達の死を不審に思ったオーガはロコスに村の中を調べてくるように命令していた。
それでロコスは別ルートから村の様子を探っていたら、偶然鉢合わせになった知り合いであった村人の男が襲いかかって来たのだという。
“迂闊でした、まさか採掘跡地に潜んでいるとは思っていませんでした。"
「採掘跡地?」
「ここは昔、豊富な鉱山が取れた地域だったんですよ。まぁ、それも10年も前に閉鎖したらしいですけどねぇ。」
「オーガさん詳しいですね?」
「よく商会で教会を行き来してますからねぇ、色々耳に入ってくるんですよ。」
「と言うことは、ここの鉱山は教会が管理していたという事ですか?」
その質問にロコスは声無く頷く。そして羊皮紙にはただ閉鎖されてからは教会の人間が来なくなり、今の司祭達がやって来たと彼は書いていく。
村人は元々信心深い方の人間が多く、特に何の抵抗もなく彼らを歓迎しそしてだんだんと今の教会へと変わっていたと、ロコスは淡々と記していった。
「それより、肝心の村はどうだったんです?まさか傷を負わされただけで何も調べられなかったってことは無いでしょう?」
“村の様子なんですがーーー“
ロコスの次の言葉に皆見下ろしながら誰もが目を丸くさせた。
「え?・・・“村の中には村人が1人もいなかった”・・・これは本当ですか?ロコスさん。」
ティリエスの言葉に彼ははっきりと頷いた。
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