私が聖女候補なんて世も末である。(真相を究明しようとすれば、きっと誰かは泣く羽目になる。㉑)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/27(木)投稿予定です。
オーガさんに彼、ロコスさんの帰還を聞かされたティリエスは彼に言われた通り食事を用意することにした。
オーガさんから直々のお願いをしてくるなんて、珍しいこともあるんもんだな・・・なんかあったのか?まさかねぇ?
ティリエスはふとそんな事を思いながら調理をしていたわけだが、その予感は当たっていた。
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「ほら、ロコス。栄養価の高いものを用意しましたよ?食べれますか?」
「待て待て待て。」
思わず年上なことも忘れて彼らの自室のベッドに眠るロコスの口元にパンをねじ込もうと手に持ったオーガにティリエスはストップをかける。
そんな彼女にオーガは不思議そうな顔をしてこちらを見た。
「いや、何でそんな不思議そうなんです?どう見てもロコスさん普通じゃ無いでしょう!?」
見れば、彼の顔隠れて見えないが身体はぐったりとしているし何より息が荒い。彼の腹部に巻かれた包帯を見て怪我をしているのは見て明らかだ。
怪我の程度はわからないがきっと怪我のせいで熱が出ているのだろう、荒い息遣いだけで何の返事もないということは意識も朦朧としているはず、そんな彼に何食べさせようとしているのか。
「大丈夫ですよ、このぐらいの傷なら普通のご飯を食べれば大概良くなりますよ?」
「何ですかその強靭な肉体話し!?普通そんな事できるわけないでしょう?!」
「え?・・・私がそうでしたけど?」
「それは貴方も規格外なだけですよ?!」
「本当ですよねぇ、お嬢様。それだけで良くなるなら医者なんていらないでしょうに。」
「いやですねぇ?言っておきますけど貴方も私側でしょうが。」
「とにかく!解熱塗布薬!私が診てみますから、レイラ!お水と清潔な布!」
埒が開かないと判断したティリエスがテキパキと指示を出す。
それを聞いたレイラは空間収納から解熱作用のある塗り薬を取り出す。
「ロコスさんごめんなさい、包帯外しますよ。」
そう言いながら、レイラに支持し彼の肌が傷つかないように切って外してもらう。
ある程度回復薬は使って傷は辛うじて塞がっているがそれでも熱を持っているのかジクジクと膿んでいる。
「村の偵察に行っていた際、知り合いに切られたそうですよ。彼がまだ意識のある時にそう聞いてます。まぁ喉をやられているのでひどい擦り声でしたが、確かに彼はそう言ってました。」
「ひどい・・・何でそんな事を?」
躊躇が見られない綺麗な切り口にティリエスは逆に眉を顰める。
「さぁ?ただ幸いなことに、力が入らない状況だったのか素人のお陰か傷の深さはまだ浅い方なのでマシです。現にこうして彼が生きているのが証拠です。」
オーガは持っていたパンを食べ終えると、ティリエスの手元をじっと見やる。
「塗れば痛むのでは?」
「鎮痛の効果もありますから徐々にマシになるはずです。それに飲み薬より皮膚科からの吸収してもらったほうが効果が早いんです。」
「なるほど。」
そう言って私がするとそう言ってオーガはティリエスから薬を奪うと彼の傷口に塗り込んでいく。
「ここは私がします、ティリエス嬢は彼にあった食事をもう一度用意してもらえますか?」
「え?えぇ・・・分かりました。」
黙々と塗るオーガを見て、もしかしたら彼も内心焦っていたのかもしれない・・・まぁ正直ちょっと突拍子も無いけど。
そう思いながらティリエスは彼には大きめに切ったスープの具材を食べやすく細かくしてこようと踵を返した。
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