私が聖女候補なんて世も末である。(真相を究明しようとすれば、きっと誰かは泣く羽目になる。⑬)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/9(日)投稿予定です。
「え・・・死んだって、まさか。」
「あぁ、違いますよ。ここでは死んでいません。死んでいたのを発見した場所はここから見える例の村周辺です。丁度商談と重なり尾行出来なかった日があったんですよ。いつもなら2,3人は監視目的かそれとも義務の為か部屋に居ましたけど、その日は妙に静かだと不思議に思いましてねぇ。明け方に採取エリアに近い村付近まで調べ、見つけました。死後状態を見て大まかですが死後1日経っていました。死体の数もしっかり数えはしませんでしたが、概ねここにいた助祭達の数と一致しますし、私の勘が彼らは皆死んでいると言っています。」
勘・・・ある人の居場所がなんとなく何処にいるのか分かるというアレか。
ティリエスは前に言われたことを思い出しながらだからここの階の住人は私以外居ないのだとオーガの言葉を聞いていた。。
成る程、それでこんなにも人気がないのかとティリエスは理解したと同時に首を傾げる。
「それでは毒の件は片付いたのでは無いのでしょうか?」
「いいえ、彼等が採取出来なくなったところで替えはいます。ここの修道女達は本当にいい労働力ですよ。私にもその人材を分けて欲しいです。」
「・・・彼等はどうして死んでいたんでしょうか?もしかして殺されてしまったんでしょうか?」
「そうだと思いますよ、でも殺された原因は分からないんですよねぇ。」
「分からない?」
はっきりしない物言いにティリエスは眉を顰める。
「獣に食われたのか損傷が激しくて分からないんですよ。でも顔の表情を見ると恐れの表情はなく寝顔がだったので殺された後かそれとも寝ているところで襲われたのか。彼らを殺った相手の存在が見えないんですよ。彼等から恐怖心で逃げようとした痕跡が見つからないので。」
「されるがままだったって事ですか?」
自分が殺されるされないの瀬戸際で?まるで自殺願望者だな。
「なら、ここに人が来ないのであれば、お嬢様。私達の部屋もこちらに移りませんか?部屋はございますし。」
ティリエスはゾッとオカンを感じながら両腕を摩っているとレイラがそう提案をするが、オーガが首を横に振った。
「ダメですよぉ。せーっかく監視の目が無くなったのに、貴女達がくるとここが注目されるでしょう?」
「え?でも、助祭達が居ないとなると誰かかここにくるのではないでしょうか?」
「いいえ、彼女達は教会のルールに則った行動をしていますから、女人禁制のここには来ないでしょう。」
「そうでしょうか?助祭達全てがいなくなった事が分かれば普通ならおかしいと思うでしょうし。」
「おかしいと思える普通が彼女達にはないのでしょうね。その証拠にここには誰1人やってきませんでしたよ。あまりにここは閉鎖すぎていますから、幸不幸云々ではなく彼女達の世界はここが全てで絶対なんでしょう。まぁ、ともかく、こうなってくると村の方も気になりますから今探らせています。それを待ちましょう。」
「もしかして、それでロコスさんは今不在なんですか?」
オーガの言い放った言葉と彼の不在からティリエスはそう尋ねると、オーガはにっこり笑う。
「えぇ、彼はここら一帯をご存知なんです。それで彼を雇ったんですから。」
まぁそれだけじゃありませんけどとそう付け足してまたケーキに手を伸ばすオーガに対し2人は首を傾げた。
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