私が聖女候補なんて世も末である。(同調しているモノは異分子を感じ取る事にピカイチである。そして即座に敵とみなされる。⑳)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は5/4(土)投稿予定です。
突然の隠し階段の出現とその隣でニコニコ笑っているレイラを交互に見てティリエスは天を仰ぐ。
・・・いつの間にかこんなモノ見つけているし、この人。
自分の知る限り、彼が別行動なんてとっている記憶はないしほぼほぼ共に行動していたはずだ。
「で、どうしますかぁお嬢様?」
なんなら別行動で記憶しているのは入浴と就寝間際の数分ぐらいであったはずだと今までの行動の記憶を思い出しているとレイラに声をかけられティリエスはのっそりと顔をレイラの方へ向ける。
どうするか?・・・この階段降りて下に行くかどうかってことだよね??
投げかけられた質問の意図にティリエスはすぐに行動に移した。
そんなの決まっている・・・勿論。
ティリエスはすぐ様レイラの方へ向かい、そして階段の扉をすぐ様閉めた。
パタン・・・と小さく閉まるその音に耳を傾けながら2人はその場から動くことなく立ちすくむ。
彼女の行動はレイラも予想していなかったのか、小さく驚いていたが笑みは相変わらず浮かべたままだった。
「何閉めているんですか?」
「いやー・・・だって。」
扉を閉め、壁と一体化している場所を見つめながらティリエスは言葉を濁す。
「普通ならここで下に行こうとか思うでしょう?」
「いや思うか。」
「おかしいですね?こういう時は普通好奇心に負けて前に進もうとしますよね?」
いやいや、貴方の普通って小説の中の話だよね?しかも好奇心でってなんだ?好奇心って。
・・・絶対今ホラーもの読んでるなこいつ。だからいかにも危なそうな場所を見て好奇心で行ってみようっていう発想になるんだよ。
というかそういうの普通に死亡フラグ立ってるだろ?それ。
「行くわけないでしょ?向こうにどんな危険があるのかどのぐらい続いているのか全然分かっていないのに。そんなヒョイっと行けるわけないでしょう。」
最もな正論を胡乱な目のまま彼にぶつけるとレイラは残念そうに小さくため息を吐く。
「折角面白いシチュエーションだと思ったんですけどねぇ。」
「・・・・・・・・。」
さっきまで私のためだとか抜かしていたけど・・・絶対ただ貴方が気になっただけだよね?
「・・・大人ってこんな風になるんだっけ?私、子供がのままでいたい・・・。」
「それは私が困りますから冗談で言うのもやめてくださいねぇ。」
目がマジだ。
「・・・兎に角、準備もしていない、このような状態で行くのは得策ではありませんわ。もう少し調べましょう。」
「・・・かしこまりました、お嬢様。」
どこか腑に落ちていないレイラだったが素直に従う様子にティリエスは内心ホッとする。
そうしていると誰かの気配を感じ取りティリエスはレイラから奥に続く廊下に目をやる。
最近絡んでくる信号色の紙の修道女達だった。
まっすぐこちらを見ていることから、私たちに用があるらしいというのは明白だった。
まぁ今周りに誰もいないからだけど。
3人はティリエスの前に止まる。
「聖女候補様、司祭様がお呼びですので私達とこちらにいらしてください。」
・・・・げ、行きたくない。
淡々に告げられた言葉にティリエスは悪態をついた。
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