私が聖女候補なんて世も末である。(同調しているモノは異分子を感じ取る事にピカイチである。そして即座に敵とみなされる。⑱)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は4/30(火)投稿予定です。
「・・・ちょ、ちょちょちょむぐっ!」
「お嬢様〜、何か言いたいことがあると思いますがちょーっとここでは黙っていましょうかぁ。」
何か言おうとしたティリエスの口を後ろからレイラが手で塞ぎ耳打ちをする。
突然口を塞がれて少しだけムッとしたが、確かにレイラの言うとおりここで何かを言うのは得策ではないと判断し、ティリエスはゆっくり頷いた。
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「で、急に向けられるようになったあれらの視線・・・もう、ティリエス嬢一体何をしたんです?」
「待ってください、何も心当たりはないですよ??」
食堂から人気のない場所に移動したティリエス達一行のメンバーの1人であるオーガは開口一番にティリエスに問いただす。
「というか彼女達が見ていたのはそもそも私なんですか?オーガさんという線も否定できないですよね?さっき一緒にいましたし。」
「残念ながらそうではないでしょうねぇ。私が1人の時はあんな風に見られることはなかったんですよ?十中八九貴女が絡んでますよ。」
え?嘘・・・なんで急に?
そこまで言われてティリエスはここ最近何か変わったことはないか考え込む。
食堂での食事や起床時間、祈祷時間など別段普段通りだし。
唯一変わったことといえば清掃時間は免除され聖女との勉強時間が増えたことくらい・・・まさか。
「掃除サボっていると思われている?」
「そんなわけないでしょう。急にお馬鹿さんになるのはやめてくださいよ。」
「お馬鹿・・・。」
「いや、あながち間違いでもないですよ。」
オーガに言われしょっぱい顔をしていたがレイラの方を見る。
逆にオーガは不審な目でレイラの方を見やる。
「そんなまさか・・・貴方までティリエス嬢と同じ考えだというんです?サボっていたからあんなに注目を?」
おいこら、サボってないわ!ちゃんと許可とっての事だっての!・・・勉強の事は強制でそうなったけど!不本意だけど!
「お嬢様がサボっていたからという話しではありませんよ。お嬢様が同じ行動をしなくなったからです。」
レイラは断言して言った言葉にオーガは首を傾げる。
「あの女達はお嬢様が自分達の意に沿わない行動をし始めてかなり時間が経った。ですから無関心から徐々に注目し始めたんですよ。」
「意に沿わない行動?」
「聖女との時間ですよ。」
「ますます理解できないですねぇ?聖女といえば彼女達の憧れじゃなですか?」
「そうではない・・・と言う事ですよ。お嬢様なら私の言葉が理解できると思いますが。」
レイラにそう言われ、以前聖女としての本来の役割を聞かされたティリエスはその事を思い出す。
待てよ・・・・それって筒抜けってことか?それってマルフェさん達やばくないか?
レイラとティリエスの様子を見ていたオーガは何か考え込むといつものようににっこりと笑った。
「分かりました、それなら私は彼と少し周りのことを調べてみましょうかねぇ。」
オーガの言葉にティリエスはずっと黙り込んでいたロコスを見ると、彼は頭を下げる。
「でも、危なくないですか?2人だけで。」
「彼も一緒に調べたいこともありましたし、ちょうど良いです。それにもし危ないと思うならティリエス嬢はそのままで居てください。」
「ん?そのままって?」
「そのまま彼女達の目を向けるようにしてください。そうしたら私の方は危険が低くなりますからねぇ。」
・・・囮になれってか!
オーガの思惑に思わず白い目で見返した。
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