私が聖女候補なんて世も末である。(同調しているモノは異分子を感じ取る事にピカイチである。そして即座に敵とみなされる。⑯)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は4/24(水)投稿予定です。
女神様の子。
何もなかった星が四柱の神々が現れ結ばれたことで多くの地、多くの生命を育み女神は幸福の中にいた。
女神はより見通せる眼を持っていたが、次第に多くのことに触れてみたいと考え、ある時自らの胎で己の分身達を造った。
様々な形のそれらを己の子とし、女神は自分の代わりに子らを世に落とした。
様々な場所で世に触れるなか、人の女の形をした1人の子がある男に出会った。
女は男から様々な事に触れていくうちに女神さえも思っていなかった事が起こった。
女の形をしたその子に男に対しての愛情が芽生えたのである。
子は女神に請い願った。
彼を神の世へ連れて行きたいと。
しかし、女神は子の願いに対し首を横に振った。
神の世に男の身体が耐えられない、故に連れてはいけぬ。
全てのモノに慈愛を持ち合わせていた女神だったが、それだけは許すことが出来なかった。
それだけ、神の世に渦巻くものは濃く多量で、ただの人間である男に耐えられないと分かっていたからだった。
でも子も神の世に戻らねば普通の人間のように衰えていきやがて消える。
離れたくない他の子らは女の姿の子を説得したが女は首を縦に振らなかった。
それだけ、その男を愛していたからである。
女は兄弟や姉妹達と別れることより男と別れる方が辛かったのだ。
女は決心する。
人の世で暮らし男と一緒になると。
その決意に揺らぎはなく、女神は頷き女に別れを告げ女は男の元へと渡っていった。
そうして、女は男と共に暮らし自分の子を設けたという。
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確か昔の童話って教訓だったけ。
翌朝、童話の内容を掻い摘んでではあるがあらかた読めたティリエスは、具の少ないスープを口に運びながらぼんやりとそんなことを思っていた。
正直子供に読み聞かせるには少々過激で怖い内容だった。
まぁ、男女の営み辺りはレイラに項を捲られて読めなかったけど、他にも兄弟達が女を諦めさせようと男を食い殺そうと画策していたり他の女を宛てがったりと、本当にこれ童話なんだよね?と疑った。
でも確かに中世の童話とかこんな内容だった気がする。
前の世界の童話といえばかけ離れているが童話といえば確かに童話である。
ただ・・・バルバラはこれを面白いって言ってたんだけど・・・本当にかバルバラさん、ちょっと鬼畜じゃないか?
あのほんわかした子がこんな内容を好むのか疑問に思っていると頭上で声をかけられたので頭を上げる。
「あれ?オーガさんおはようございます。」
目の前にはオーガがおり、オーガはティリエスの前の席に座った。
勿論、少量の食事を置いてだ。
と、ティリエスはすぐにいつもと違う事に気がつく。
「えっと・・・どちら様ですか?」
彼の後ろに立っている覆面をした男にティリエスは遠慮がちに声をかけた。
いつも読んでいただきありがとうございます。