私が聖女候補なんて世も末である。(同調しているモノは異分子を感じ取る事にピカイチである。そして即座に敵とみなされる。⑭)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は4/19(金)投稿予定です。
こうして、大人3人に囲まれて逃げる事が出来るはずも無く、その日ティリエスはみっちり勉強を受けた。
しかも頼んだ本人は私に教える訳でもなく早々にイーチャ司祭に頼み部屋を出て行く後ろ姿を見た瞬間、殺意が生まれたのは言うまでもない。
ただよかった点と言えばイーチャ司祭の教えは上手く退屈とは思わず講義を楽しく受けれたという点だ。
流石年の功とでもいうのだろうか、以前から牧師に教わってはいたがひどく退屈で億劫だと思っていたのでこれにティリエスは感謝した。
まぁそれでも、内容は濃くみっちりとなので結局疲れる点は一緒なのだが・・・。
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「ーーーーという事がありまして。そのお陰でたった1週間で聖典1冊目が読破できましたの。」
「凄いですティリエスさん!」
「流石お嬢様です!」
「・・・・・・・・・。」
右からバルバラ、レイラ、そしてクリメンスがティリエスに対し拍手を送る。
といっても深夜近い時間でましてや他の目を盗んでの例の図書室での集まりなのでとても小さい拍手である。
それでも、3人の賞賛の拍手にティリエスは満足げな顔を見せていた。
「そうでしょう、私すごく頑張りましたの。でも・・・それなのにイーチャ司祭1冊目より分厚い2冊目の渡してきたのよ!信じられます?!」
「あぁ・・・確かに1冊目は最初のさわりしか記されていないと言ってましたから2冊目は・・・確かに。」
ヨヨヨと泣き真似をしているティリエスに、バルバラは微妙な顔を見せた。
「そう、しかもこれを今度も1週間で読破するように言われたのよ!倍近い量なのに!」
「仕方ないじゃないですか。それもこれもお嬢様の要領の良さが招いた結果ですよ。」
そう、イーチャ司祭の教え方が上手すぎてついあれこれ色々聞いてしまった事で1冊目の内容を知らず知らずの内に終わらせたのが原因だった。
どうりで始終ニコニコしてるなと思っていたんだと悪態をついたが後の祭りである。
「まぁ・・・ほどほどに聞きますわ。そうじゃないと身が持ちませんもの。」
「お嬢様。」
ヒソっと言われたレイラの言葉にハッとする。
そうだった、愚痴を言うためにここに彼女達2人を呼んだわけじゃなかった。
「まぁ、私の事は置いておいて。今日呼んだのはこの前のお礼がしたかったの。」
そう言って、レイラに合図を送りあるものを取り出す。
今回お菓子とパンである。
「この前のおかげで式は上手くいきましたから、どうか受け取って。」
「あ、ありがとうございます。」
今回は拒否はせず、だが遠慮がちにお礼を言って受け取るバルバラに対しコクっと少しだけ会釈してサッと受け取るクリメンスを見て本当に対極な2人だとティリエスは思う。
普通友人ならどこかしら考え方や仕草や自分とどこか似ている人が集まるので何一つ似ていると事がない対極な2人が友人関係という事が不思議だ。
まぁ、稀にそういう友人関係の人もいるしね。
「でも、大丈夫ですか?これどう見てもティリエスさんが持ち込んできた食べ物ですよね?なくなってはいませんか?」
「大丈夫です、余分に持ってきたのもありますし、何より聖女様からも少しばかり頂いてますから。」
逆に腐らせないか心配。後で2人に時々でもいいから食べてもらうように約束しよう。
そんな事を思いながらティリエスは人の良い顔を2人に見せた。
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