私が聖女候補なんて世も末である。(同調しているモノは異分子を感じ取る事にピカイチである。そして即座に敵とみなされる。②)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は3/23(土)投稿予定です。
「うーん・・・。」
「まだ寝ないんですかぁお嬢様。」
「いやぁ・・・うん、レイの言う通りもう寝るつもりなんですけど・・・ちょっと気になったというか・・・いや、気になったんだよねぇ。」
明日はいつもより早く起きなければならないので念のため拠点ではなく割り当てられた自分達の部屋にある薄く硬いベッドに入って眠ることを決めた。
だがベッドに入り込んでから暫く経ってもランプの火を消す様子のないティリエスにレイは横なったまま顔を向けてティリエスに尋ねる。
彼の声にティリエスがちらりとそちらを見る。
コンタクトレンズを外したためレイラから元のレイの姿に見えるようになっていた。
レイの姿を見てティリエスはここへ来た最初の頃を思い出す。
就寝の際は何も着ない履かない裸族派なレイを見たティリエスは勿論その姿で寝ることに拒否を示した。
『そんな・・・お嬢様、今はまだそんなことしませんよ私?』
珍しく困惑顔で反論したレイだったがティリエスにとって前世から免疫がない異性の裸体に動じないという訳が無い。聞く耳持たず破廉恥を連呼し今だけ裸で寝ることを我慢するか私と別室で寝るか剣幕顔で彼に迫り今に至る。
まぁ・・・私のお願い、いや、普通相部屋なのに真っ裸になるのがどうかと思うけど・・・でもねぇ。
「・・・まさかのネグリジェ。」
「これしかなかったんですから仕方ないでしょう。」
白いネグリジェ姿でこちらをにっこり良い笑顔で見るレイにティリエスはひくりと顔を引き攣らせたが咳で誤魔化した。
「まぁ、私の姿は兎も角。先ほどあの子が寄越したその書物の何がそんなに気になったんです?」
「え?あぁ、最後に言っていたここは特別と言う言葉が気になったんです。だから、この2冊を比べていたんですよ。1つは教会創設頃の書物、もう1つは恐らく30、40年前ぐらい。恐らくここの教会ができた頃でしょう。」
「どうしてここがそのぐらいだと?」
「私自分の儀式の時メヴィウス伯爵領の教会にお世話になった際、教会を見てまわる時間があったんです。その時の見た教会は古い建物なので所々その時の老朽化の修繕されているのが印象に残っていたんです。ここはそれがなかったので建物の鑑定したら教会の歴史から考えて新しい年代でしたの。」
「でしたら、教会の歴史でいえば随分新しい教会、その割には変に有名ですねぇ。」
「有名なのはここにお金があるからかもしれませんが、聖女選定の際ここに滞在する決まりだからでしょうね。でも、それだけじゃない理由がここにあるのかもしれない・・・。」
「・・・まぁ、お嬢様の場合気になると調べたい欲求に駆られるんでしょうが、そろそろ寝ないとまずいと思いますよ?」
「え?・・・ゲ。そうだった・・・明日早かった。」
今頃思い出しティリエスは書物を閉じて机に置く。
「明日は寝不足かぁ・・・。」
「では、明日は私特製のお茶をご用意しましょう。」
「・・・お願い。」
今度こそ、ティリエスは明日のため目を閉じたのだった。
いつも読んでいただきありがとうございます。