私が聖女候補なんて世も末である。(同調しているモノは異分子を感じ取る事にピカイチである。そして即座に敵とみなされる。)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は3/20(水)投稿予定です。
前回ここでつぶやいていましたが、そろそろ別の小説を書こうと思っています。ただ、いつかお話ししたと思いますがこの物語の数百年後を舞台にしたある男女達の恋物語なので、結構この物語のネタバレが見え隠れすると思います。なのでなるべく恋物語でこちらの物語のネタバレを防ぎたいとは思っていますのでまずは週一ペースで様子を見ながら書いていこうと考えてます。(と言っても序盤からティリエス達がどのように未来で語り継がれているのか、そういった描写は出てきますのでその辺りご理解の上で読んで頂ければ幸いです。)予定は4月初めと考えていますので、決まり次第告知させていただきます。
そんなしょっぱい気持ちから気を取り直してティリエスは当初の予定をお願いする。
といっても既に自分はここの礼儀作法はほぼ完璧だと言えるぐらい頭にも叩き込んだし、練習もした。
あとは問題が無いかだけ確認してくれれば良い。
そんな軽い気持ちでティリエスは最後の仕上げとして覚えた作法姿を見せた・・・のが間違いだった。
ピシッ!
「あいたっ!・・・え?!この手順も違うんですの?!」
思わずティリエスは動作を止め後ろを振り返る。
そこには無表情のまま細い棒を持ったクリメンスの姿があった。
クリメンスの隣にいるバルバラに目線を送り何かを伝えるとバルバラが代わりに答える。
「はい、そこは手を挙げる前に一度手をお腹の辺りまで下げてから両手を上げる手順です。」
「えぇ・・・そうなのですか?」
ティリエスは思わずげんなりした声を出すと、クリメンスがスッと目を細める。
「いや、クリメンスさん。そんな目で見なくても良いじゃないですか。」
慌てて弁解したティリエスは「それにしても」と話しを続ける。
「私が日中に教わった作法とクリメンスさんから教わっている作法、殆ど同じですけど些細な事や順番が若干違いますわね?何ででしょう??」
首を傾げて居ると急にクリメンスが立ち上がり歩き出したので一体何だとそちらを見やるとこの部屋にも置いてある本棚から2冊本を抜き取り戻ってきた。
スッ
「え?私にですか?」
差し出された本にティリエスが困惑しながら受け取る。
「この一冊は私も見たことがありますわ、ここの作法が乗っている書物ですね。下にあるもう一冊は随分年季が入ってますわね。あら?これも作法に関する書物ですわ。」
年季の入っている方を何気にパラパラとめくりあることに気が付く。
「こちらの書物の作法はクリメンスさんが教えてくれた内容ですわね。・・・あれ?でも同じ教会なのだからこういうのは共通していないとおかしいですわよね?」
するとクリメンスがバルバラに何かコントタクトをする。
「えっと・・・はばつ・・・問題のせい?クリメンスちゃん、はばつって何?」
バルバラは教会の内情に詳しくないのか言葉の意味が分からず首を傾げる。
そんな彼女を無視しクリメンスは自分の言葉を伝えるように促されたので、バルバラは渋々口を開いた。
「少なくとも20年前からここは独自手法で信仰を広めているからそのせいだろう・・・だそうですティリエスさん。」
「へぇ、それほど前から穏健派と過激派は対立しているですかぁ。良くまぁ今の今までいがみ合いだけで済みましたねぇ。」
レイラの呟きにクリメンスの小さい口が動く。
「ここが特別だから。」
「え?」
バルバラが代わりに言った言葉にどう言う意味かティリエスは聞き返そうとしたが、徐にクリメンスは自分のバスケットを持つ。ハッとして時計を見ればとっくに深夜は過ぎている時間だった。
「お嬢様、流石にこの時間はまずいです、ここらでお開きですねぇ。」
「そうね、明日寝坊する訳にもいきませんし。どうもありがとございます。お二人のおかげで明日恥をかかなくてすみそうだわ。」
「いえっそんな・・・あ、クリメンス待って!」
そう言ったティリエスの顔をチラリと見たクリメンスは小さく会釈し部屋から出ていった。
最初も思ってたけど、えらいマイペースだな、彼女。
彼女の行動にバルバラが咎めていたがクリメンスが止まらないので、彼女に早く帰るように言ったティリエスの言葉に、バルバラは挨拶と謝罪を済ませ一緒に彼女も出て行く。
2人残されたティリエスとレイラは彼女達が出て行った出口を暫く見ていたが、明日も早いというレイラの言葉でティリエス達も部屋へ戻ったのだった。