私が聖女候補なんて世も末である。(その行いは美徳だろうが己の意思がなければそれはただの苦行である。㉛)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は3/14(木)投稿予定です。
見るからに誰も掃除していないであろう周りには埃まみれ汚れまくれの本が無造作に積まれ放置されーーー。
明らかに立て付けが悪くなって半開きになっている扉。
しまいにはなんだか何処からやってきたのかネズミが走っていくのが見えた。
思わず足元を確認していると、スタスタとレイラが扉の前に立ち半開きになっている方の扉を動かすと、取れそうになりながらも扉が更に開き中の様子が見れた。
「前の見た目ほど・・・中は以外と綺麗に片付けられているんですね。」
「どうやらそのようですねぇ。」
ヒョコッと2人とも扉から頭だけ出して図書室と言われる部屋を見渡す。
暗がりで見えない部分は多々あるが本は綺麗に棚に仕舞われていて床に散らばっているとか積み上げられている形跡もない。
図書室って言われてるけど随分広いし本もたくさん有りそう。ふんふん・・・、この匂いからして誰かがちゃんと管理しているんだろうか?
書物の用紙とインク特有の匂いはするが本にカビが生えたような匂いが漂わない事から誰かが定期的に整理しているらしい。
「えぇっとバルバラさんは・・・・・きっ!?むぐっ!?」
思ったより状態が良さそうだと思いながらティリエスは小さな灯りを照らしていると急にぬっと何かが目の前に現れて思わずティリエスは悲鳴を出しそうになった寸での所で背後にいたレイラに口を塞がれた。
びっくりした反動でゆらゆらカンテラが揺れると目の前に出てきた正体に僅かながらも火の光が当たる。
バルバラだった。
思わず文句を言いたくなったティリエスがふごふごと何かを言うと、バルバラはそれに何やら焦り、ティリエスに黙ってもらうように人差し指を口に当てたのでティリエスも何かを言うのをやめて落ちつきを取り戻した。
落ち着いたところでレイラも手を当てるのを止める。
「す、すみませんティリエスさん。大きな声を立てると巡回の方が来ちゃうので。」
「ごめんなさいバルバラ。まさか私バルバラが前にいるとは思わずなくて。」
大きな声を出しそうになったティリエスは素直に謝るとバルバラもブンブンと手を横に振り「いえ、私こそごめんなさい!」と小さな声ですぐ様謝る。
「私の方こそ灯りを使わずに前に来ちゃったから、びっくりされて同然ですし、本当にごめんなさい。」
「バルバラはこんな暗がりでも大丈夫なの?」
「はい、私夜目なんで灯りなしでも動けるからつい癖で・・・。」
へぇ〜、この暗さで歩けるって逆にすごいな、なんだか猫みたいだ。
感心しているとバルバラがハッとし身体を少しずらす。
「時間もありませんから、こっちです。」
彼女の案内で奥の方へ案内されるまま、2人は両方棚が並ぶ間を歩いていく。
棚から机と椅子が置いてある場所へ進んだ更に奥。奥には小さな扉があった。
バルバラが控えめにノックした後、ノブを捻るとそこは簡単に開いた。
警戒もなく入っていったバルバラを見てティリエス達も中へ入っていく。
そこも暗い部屋で見えなかい。
・・・誰かいる。
気配で部屋の向こうに誰からいるのが分かりティリエスがじっとそちらを見ているとバルバラがテキパキとなれた手つきで扉を締め、そばにあったランプに火をつけた。
そしてそのままその火を元にそれぞれに元から置いてあるのだろう蝋燭に順番に火をつけていくと、周りの部屋が見えるようになったところで、ティリエスは目の前にいる人物に目を見張る。。
銀色の長い髪に黄金の瞳に透き通った白い肌。
バルバラより大人びた女の子が本に囲まれながらそこに座りじっと私達を見ていた。
「私のお友達で、クリメンスです。」
クリメンスと言われた少女はまるで綺麗なお人形な顔をし、そのまま小さくお辞儀をした。
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