私が聖女候補なんて世も末である。(その行いは美徳だろうが己の意思がなければそれはただの苦行である。㉚)
いつも読んでいただきありがとうございます。急な休み度々すみませんでした。どうやらあれから悪化して喘息を患ってしまったようで病院通いつつゼイゼイ言う毎日ですが、今現在身体自体は元気になってきているのでゆっくりと治していきます。無理しないように投稿していくつもりなので投稿予定日を変更するかも知れません、そのあたりご了承お願いいたします。次回は3/11(月)投稿予定です。
結構ショッキングな事もあったが気を取り直して3人にある程度の手解きをしてもらう。
レイラに洗脳魔法で従順になった3人からはやはり長年ここで過ごしている、その的確な教え方に洗脳状態の彼女達が反応することはないだろうがティリエスは3人に拍手を送った。
それだけ綺麗な所作だったのだ、流石任される事だけはあると感心する。
そうやって感動してただ見ていただけのティリエスに、真上からのレイラの冷たい視線を肌で感じたティリエスは、これはマズイと慌てて拍手をやめ、彼女達を見ながら真面目に取り組んだのだった。
元々此方を優先にするよう言付かってはいたので、時折休憩を挟みながら朝から夕方まで3人から学びーーー。
陽が沈む頃にはほぼ完璧な所作を身に着けたティリエスは、もうこれ以上教わると拙い演技が出来なくなるので学ぶのを辞めた。
洗脳を解く前にティリエスは3人が覚えていることは無いだろうと思いつつも礼を述べた。
その行動にレイラには首を傾げられたがこういうのは気持ちの問題だとティリエスは気にしない。
魔法が解けた3人は一瞬ここが何処なのか分からない様子であったが、夕陽の空を見て何か悟ったのか、それとも夢でも見ていたのか3人はさも今まで教えていたのだというように。
「ある程度理解して頂けたので明日は大丈夫でしょう。」
「さぁ、日も暮れてきました。」
「お食事に行きましょう。」
想像斜め上の急な言葉に脳が追いつかなかったティリエスを置いて彼女達はそのままティリエス達の自室から出ていってしまった。
夕食の時間に遅れまいとしているのかスタスタと廊下を早歩きで出ていくその時間徹底ぶりな行動にティリエスはただだんだん小さくなっていく彼女達を見つめた。
彼女達が突き当たりの廊下を曲がり見えなくなると、放心状態のまま思わずレイラに説明を求めると彼は興味なさげな顔をしていた。
「まぁ、彼女達の勝手な妄想が時間を認識した事で錯覚を起こしたのではありませんか?」
「・・・・・・・・・・。」
そんな事ある??
こうして彼女達とは唐突に別れ、夕食でオーガとある程度の情報交換し、ティリエスは約束の時間まで時間を潰したのだった。
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「お嬢様ぁ?もう別に頼まなくても良いんじゃありませんか?もう既にある程度の礼儀作法は身につけたんでしょう?」
夜、とっぷりと暗い廊下を心許ない灯りでティリエスとレイラは進んでいく。
消灯時間はとっくに過ぎて殆ど人が出歩かないことは調べ済みではあるが、それでも巡回する修道女達一定数はいるので彼女達の存在に気をつけながら2人は約束の場所へと向かう。
向かう先はティリエスが以前エルパに頼んでいた例の図書室だった。因みにまだ彼女からは使用許可は得ていない。
「確かにそれも考えましたけど、でも一度約束しましたし。何より今日は全くバルバラに会えませんからお断り出来てませんし。それにちゃんと夜食も作ったんですから。」
「そういうものですかねぇ。」
いや、言わずのドタキャンなんて一番最悪じゃないか、その辺りレイは疎いというか俺様気質なんだよなぁ。
そんな事を思っていると、約束の場所へと着く。
えっと確か・・・建物構造からでいうと一番奥にあって誰も通う様子もないしなんなら死角になっている部屋だっていうことは聞いていたからまぁある程度想像はしていたけど・・・でもねぇ。
「なんか、ぼろ過ぎじゃありませんか?ここ。」
ボロボロの扉を前にして、ティリエスはそうつぶやいた。
いつも読んでいただきありがとうございます。