私が聖女候補なんて世も末である。(その行いは美徳だろうが己の意思がなければそれはただの苦行である。⑲)
予定より早めに書けたので投稿します。
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は2/5(月)投稿予定です。
「・・・さて、気持ちよく快諾されましたが、お嬢様はどうやって調べるおつもりで?」
それなんだよなー。
レイラの指摘された言葉にティリエスは唸る。
つい見栄を張ってオーガさんには聖女候補ですから!とドヤ顔見せちゃったけど、正直オーガさんとそうそう変わらないんだよねぇ、自由時間もまとまって無いに等しいし、今のこの状態でも長く見積って30分あるか無いかぐらいだよなぁ。
つい・・・と思わずレイラの方を見るティリエスに気がついたのか、ジッとこちらを見た後にっこりと綺麗な笑みを浮かべる。
「貴女を置いて、どこかへ行けるわけないでしょう?」
「で〜す〜よ〜ねぇ〜。」
周りの目を自分に注目させてその隙にレイラに動いてもらおうという案は本人の拒絶の言葉で却下される。
「まぁ、まだ始まったばかり。まだまだ時間はありますしね。「何がまだあるの?」・・・あぁ、エルパ様。おはようございます。」
トレイを持ってやってきたエルパに何事もないように笑顔で挨拶をする。今日もいつものように穏やかに笑みを浮かべたままのエルパもまた挨拶しながらティリエスの前に座った。
いつものようにお祈りをした後、エルパの目がティリエスのお皿に向く。
「今日も沢山召し上がっていただけて何よりですわ。ティリエス様も貴族の方ですから、食べ物を受け付けられなかったらどうしようかと思いましたが杞憂でしたね。」
貴族の出ですけど、別に私は何でも食べますよ?好き嫌いもありませんし。でも毒入りとわかってしまったらどうすればいいんでしょうね?
微笑んで嬉しげに話すエルパに対しティリエスは内心苦笑いでいる。と、ここでティリエスはふと思い立つ。
「エルパ様、実はお願いがございますの。」
「あら?何かしら?」
「実は女神様についての勉強を続けていくうちにもう少し深く調べてみたいと思いまして。どこかそういう資料などは置いていないのでしょうか?」
「あら・・・あらあらあら!」
微笑みを絶やすことなくエルパは口元に手を当てる。
「なんてティリエス様は信仰深いのでしょう!指導の方からティリエス様はとても理解が早い方だと聞いてはいましたが、まさかここまで思っていただけていたなんて!」
え?そこまで感激することか?
エルパの食いつきにティリエスも隣に居るレイラも若干引いていると、急にエルパは唸りながら顔を覆う。
エルパ特有の癖である考え始めたその仕草を見ていると、突然バッと顔を上げられる。
表情は先ほどよりも笑顔だ。
「思い出したわ!実はここにも少し狭いけど蔵書室はあるのよ。誰も利用したことはないけど貴重な資料や本もありますから定期的に手入れはしているわ。そこならもっとティリエス様のお眼鏡叶うものがあるかもしれないわね。」
「そうなんですね。読んでみたいですがでも、今の日程でしたら。お時間ないので難しいでしょうね。」
「そうね・・・なら、今度指導の方で少しお時間が融通できるのか私から話してみるわ、少し待っていただけるかしら。」
思ってもみない提案にティリエスは笑顔でエルパに頷く。
「でしたら是非、お願いしたいですわ。」
まぁ、本当にただ勉強するわけじゃないけどね。
でも時間ができるのはラッキーだ。
未だこちらをニコニコと笑って見ているエルパを見て、ティリエスは再度お礼を言った。
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