私が聖女候補なんて世も末である。(その行いは美徳だろうが己の意思がなければそれはただの苦行である。⑫)
いつも読んでいただきありがとうございます。申し訳ありませんが次回は金曜日投稿は難しそうなので1/20(土)夕方〜夜ごろ投稿予定です。ご了承ください。
「え?何で?」
それを聞いてティリエスは普通に驚く。
教会の象徴として聖女の存在は知っているが教会関係者以外誰も聖女を見たことはない。この国の国王でさえだ。
何でも聖女は公の場に姿を現すことはなく総本山の祈りの間で祈り続けているのだとか。
なのでここへ来るという情報に信じられないといった顔でレイラを見ると、ナイフを引き抜いたレイラは事実だと述べた。
「でも、それって機密事項だと思うんだけどどうしてそんな事がわかったの?」
「実はですねぇーーー。」
そう言ってレイラが話してくれたのは、ここの修道女達の事だった。
元々この教会は男子禁制なルールのある教会なので例え司祭だとしても男性の入退室に厳しい。その監視の目がある上に目上の人間の使う部屋の警備も厳重なので今だに侵入を許されていない。
そこで目をつけたのは修道女の人間。
彼女達は名前ではなく番号で言い合っている、一桁またはそれに近い番号の彼女達は何かしら役割を与えられるほど優秀で信頼が厚い。そこに絞り、レイラは彼女らの部屋へ侵入に調べたのだ。
「それで彼女達の部屋を漁って見たところ当たりだった、という訳です。」
「確かに、それでしたら情報も得やすいですわね。」
「はい、彼女達は皆整理整頓がお好きなようで、大事な書類はこの机の引き出しの同じ位置に保管されておりました。なので探す手間も省け随分と楽な捜査で面白みに欠けましたが。」
え?皆一緒の位置に置いているの?マジで?
思わず幼稚園かよと呟きそうになったが、ここが宗教の集団生活の場の事を思い出し口を閉ざす。
理由はどうであれ情報を得られたのだからラッキーだと思うべきだ。
「ただ、どうして聖女様が来るんでしょうね?」
ティリエスの言葉にレイラが一瞬だけ妙な顔をしため息を吐いたので、ティリエスは首を傾げる。
「そんなもの、十中八九お嬢様でしょう。」
「私?」
「聖女まで出してきて外堀を埋めたいんでしょうねぇ。」
「外堀を埋めようにも、私聖女みたいな能力ないように振る舞ってますよね?」
何せチート能力は色々備わっているのでそういう風にこちらから見せることは出来るだろうが、自分は逆の道を装ってきたのだ。
そんな事をしても無駄だろうという顔で見ているとレイラにため息を吐かれた。
「お嬢様の言う振る舞いに対して疑問に思いますがねぇ、まぁ、そこは置いて。彼らは私達の思った以上にそれだけ貴女に執着して利用しようとしているという事。だから、少しは警戒してくださいねぇ?」
わざわざ此処へ連れて来られたからそういう事に警戒していたつもりだったが、確かに用心しといたほうが良いか・・・。
その言葉はしっくりきたのでティリエスは嫌だなぁと思いつつもレイラの忠告を素直に聞き頷いた。
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