私が聖女候補なんて世も末である。(その行いは美徳だろうが己の意思がなければそれはただの苦行である。⑦)
いつも読んでいただきありがとうございます。これを書き始めて早3年、ようやく全体の三分の一まで終わらせた事ができたことに正直ホッとしております。来年もコツコツと地道に投稿と出来れば小話も一緒に書ければと思っています。誤字脱字多い小説ではありますが、来年も生暖かい目で見ていただけたら幸いです。皆様今年も読んでいただきありがとうございました、良いお年をお迎えください。 次回はお伝えしてました1/5(金)投稿予定です。
殺風景な教会の宿舎部屋から打って変わり、真っ先に見せたリビングはシンプルなグレーの壁色に木目を見せた床、机や椅子は木製の物で統一され、見るからに柔らかそうな高級そうなソファまであった。
奥の方を見ればキッチン、2階へ上がる階段まであるのを確認したレイラはここの空間の広さにただただ信じられない顔をした。
今回もいつもの飄々した態度かと思っていたティリエスだったが予想に反した様子の彼に、内心彼でも驚くことがあるのかとそう思った。
「きちんと入れますわね。前の北欧風インテリアのままでしたからそのままになってますわね。」
「ホクオウとは?」
「まぁざっくり言うと前の世界にはそういう国があってその国の特徴を取り入れたお部屋のインテリアなのよ。」
ティリエスはソファに座り立ったままのレイラにソファを勧める。レイラはふわっとした肌触りの良い感触を肌で感じながら、辺りを見渡した。
「これはお嬢様の魔法の一つですか?」
「魔法ではなく魔法道具ですね、この家の鍵の所有者にならないと出入りはできませんの。」
で、これが目印と先ほど人差し指に鍵のマークを見せるとレイラも自分の人差しを見る。
「成程・・・これを作った奴は相当高度な物を作れる人間、ということか。」
「・・・そういう事になりますね?」
そういえばこれガチャアイテムだから誰が作ったのか知らないや・・・そういえば本当、誰がこんなすごい物作ったんだろう?・・・あれ?
ティリエスは彼の言葉でその事実に気がつきそして、その事について全く考えていない事にも気がついて固まる。
一方、そんな彼女のあっさりしすぎている返事にレイラはピクリと眉間に皺を寄せる。
「お嬢様、もしかしてですが・・・これを作った人間を知らない、なんて事はないだろうなぁ?」
「・・・え?」
数秒の間の後に返事をしたティリエスを見た瞬間何かを悟り、初めてここでレイラは怖い顔をしてティリエスを睨む。
「・・・まさか、これを作った経緯を知らないのに使っているのか?普通に危険だろうが。」
「うっ!まさに正論!」
最もな言葉にティリエスは思わず胸を手で抑える。
そんな彼女にレイラははぁ・・・とため息を吐いてもう一度辺りを隈なく見た後少なからずショックを受けているティリエスの頭をポンと優しくのせる。
「もう一度確認したが危険なものはないようだ。だが、いくら自分の所有物だからといってあまり信用するな。特に直接自分が頼んだものじゃないならな。」
「わ、分かりましたわ。」
そうなると、殆どこれは危険なものかもしれないという事になるがそれは黙っておいた。
没収されても困るし・・・でも、他人からみれば確かにそう疑ってもおかしくない。こんな代物持っているのは私ぐらいだろうし・・・。
今の今までどうしてそんな事を考えなかったのか・・・課金アイテムだからか?お金を払えば自分の物だという錯覚を起こすのか?・・・いや、お金払っていたらそれは私の物じゃない?
などと脱線していく思考を頭上の音で引き戻され頭上に目を向ければ、ちょうどそこにポテンと何か柔らかいものが乗る。
「なんの話ししてんのお嬢はん?」
「鶏・・・貴様がなんでここに?」
忌々しいといわんばかりの声色に、ホルアクティは別段怖がる事なくレイラの方を見やる。
「うわぁ!レイの兄ちゃん!めっさ綺麗なお姉はんになっとるやないの!」
「そんな事を聞いていない、なんでここにお前がいるんだ?」
「喜んでくれてもええやないの〜いけず〜。」
プリプリと黄色いお尻を振る姿にレイラが舌打ちをしたのでティリエスが代わりに答える。
「ホルアクティにはここにいてもらっていたんです。私とこの子は繋がっているので座標を定着しやすい。それにホルアクティが居ると相手も警戒しますから。」
「成程・・・なんだ2人きりじゃないのか・・・チッ、色々しようと考えていたのに・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
うん・・・突っ込んだら面倒になりそうだから聞かないでおこう。
ポツリと漏らした声をティリエスは聞かなかった事にした。
いつも読んでいただきありがとうございます。




