戦と聞けば武器であるが女の戦と聞けば戦闘服である(本当にこれが貴族の私として初めての戦闘服になるとは思わなかった。②)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は11/2(木)投稿予定です。
「わぁ・・・ここが会場ですのね。アイルお兄様。」
アイルお兄様、そしてアステリアの兄であるゼイウスと合流して少し言葉を交わした後、王女と王太子である2人は別行動となりティリエスとアイルは目的地であった会場へと足を踏み入れる。
そこはまさに豪華絢爛という言葉が似合うほど、煌びやかでここだけ別世界の空間を作り出していた。
正に王城の敷地にある会場といったところである。
呆気に捉われているティリエスを見てアイルが口を開く。
「凄いよね、流石瑠璃宮殿の舞踏会場だ。」
「お兄様は一度ここに来たことが?」
「ううん。ここには僕も初めてだよ。昔は大きなお祝い事やデビュタントに使用されていたけど、内政がごたついてから長い間封鎖されていたんだよ。それに・・・前の世界でもここは開かれたことはなかった。」
その言葉にティリエスが不思議そうにすると、アイルは思い出すように口を開く。
「王妃様と王太子である彼女の兄上が亡くなってから、ここは二度と開かれることは無かったんだ。だから、ここが見れて僕は今とても嬉しいよ。」
「・・・そうですか。」
アイルの言葉に頷いていると自分達を呼ぶ声が聞こえたので振り向くと自分の父親であるアドルフが正装でこちらへやって来ていた。
「すまない2人とも。少々話しが長引いてしまってな。」
遅れた理由を2人に話す父親を見て、ティリエスは自分の眼がキラキラ輝いたのがわかった。
お父様のスラリとした脚の長さを生かしたズボンに正装な装いながらも見事な筋肉質をいやらしくなくさりげない主張してより凛々しく魅せているスーツ、そしてこれまた精巧な刺繍そして色合い。
お父様・・・マジスッゲェ格好良い!!!
アステリアが存分に父の魅力を引き立たせる服装を考えているからと言っていたけど、納得のいく物だった。
アステリアマジ神である。
真顔であるが内心興奮し過ぎで鼻血が出ないか心配していると、父に声をかけられティリエスが見上げると、父は笑みを浮かべていた。
「うん、ティリー凄く可愛いよ。」
「ありがとうございます!お父様!お父様もとっても格好良いですわ!」
「最初は王女が手掛けたものと聞いて困惑してしまったが、実際着てみると、今までの服よりも着やすく動きやすい。彼女にこのような才能があるとは王も王妃も驚いていたな。」
そりゃあたった6歳の子供があっちで磨かれた服に関しての知識見せたら驚くのは当たり前だよね。
ティリエスはちらりとアイルの方を見やる。
実は今回、アイルお兄様にも服は準備していたがその正装は着なかった。
理由は伯爵家の出の彼とアステリアの仲を勘ぐる者が出ると動けないこともある為、今回は王家、公爵家、そして魔塔や騎士本部の上のメンバーに着てもらう事になっている。
本当ならアステリアの服を着たかったはずですのに・・・お兄様、もう少しの辛抱ですわ!
等と思いながらアイルを励ましていると父の感嘆な声を耳にし会場を見渡している父の方を見上げた。
「懐かしいな・・・ティリエスには今まで話した事は無かったんだが、この会場で私とリリスは初めて出会ったんだよ。」
「此処ですか?」
そう聞き返してティリエスもそう言われて周りを見て漸く気がつく。
ここ・・・初めて夢としてみた景色と同じだ!
「あの頃とあまり変わりないというは、何だか嬉しく感じるな。」
「お母様も来れれば良かったですね。」
「いや、リリスと出会えたことは良い思い出だが、ここでちょっとした事件もあったからね・・・彼女にはそのことは思い出させたくはないな。」
父が何のことを言っているのかすぐに理解したティリエスは一度口を閉ざしかけたがまた口を開く。
「でも、お母様はきっとお父様と一緒なら思い出しても過去のことだと思うだけできっと微笑んでくださいますわ。」
「ティリエスはそう思うかい?」
「はい!だってお父様の隣で笑うお母様、一番綺麗ですもの!」
そう言うとアドルフはそうかとどこか納得した顔をした後、前を向く。
「王が来るようだ・・・ティリエス。」
「はい?」
「今度はティリーのデビュタントの時だ。その時はリリスと一緒に行こう。」
その言葉に頷いたと同時に大きな拍手と共に王達が登場し、ティリエスも皆同様に大きな拍手をして彼らを迎えた。
いつも読んでいただきありがとうございます。