戦と聞けば武器であるが女の戦と聞けば戦闘服である(友達100人とは言わないがお友達欲しいとは思う㊿と5)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は10/25(水)投稿予定です。
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「ーーーでは、これで報告は全てということか?」
「えぇ、勿論。」
彼女達がそんなことを話していた一方、レイはというと彼女の言っていた通り、父の前に立っていた。
不敵に笑うレイを一瞥した後、アドルフはレイが作って持って来た分厚い報告書にもう一度目を通す。
そこには、彼がここに来るまでの自分の娘の行動内容を記した記録が事細かく記されていた。
その日の娘の服装から出会った人の人数や名前、食べた物や娘の健康状態くしゃみや髪の毛が何本抜けたなど・・・他にも記されているのを暫く見てもう一度全く表情を崩さない目の前の男を見つめた。
「・・・・・・・・・・・・・。」
娘をこの男の傍に置いて大丈夫だろうか?
改めてこの報告書を見てこの男の異常さを確認したアドルフが本気でこの男を娘から引き離したほうが良いのではと考え始めているとは、本人は思っていないだろう。
レイは難しい顔をしてこちらを見るアドルフに対し首を傾げる。
「何か報告書におかしな点でも?」
おかしいのはお前だと言えるわけがなく、アドルフはレイの質問に首を横に振る。
「いや、視点は違うが娘と同じ内容だ。不審点は無い。」
「それはそうでしょうねぇ、何せ私が一番お嬢様を見ていますから。」
彼の言葉に思わず何かを言いかけそうになったアドルフだったがすんでの所で押し止まる。
大きく咳払いしているアドルフを見ていたレイだったが、そういえばと何かを思い出したようにレイは口を開く。
「ここ数週間前から貴族の出入りが増えて来た頃でしょうかねぇ、何かとこちらを・・・というよりはお嬢様を観察する方がちらほらいましたねぇ。」
「何だと?」
「えぇ、ただ別にこちらに危害を加えることもなく接触しようともしない。本当にただ観察していたようでしたので放っておきました。」
寧ろその事を報告書に書くべきだろうと思ったアドルフだったが、何を言った所でこの男が改めるとは思えないので言うのを止め、アドルフは先ほどの事について考え込む。
帝国の密偵?・・・いや、彼らは今勘付かれたくないと思っている・・・ならーーー。
「可能性があるとすれば、近隣小国の人間か・・・いや、それなら最初から娘に近づく事はない。とすれば・・・エルフと魔人か?」
アドルフの予想した言葉にレイもまた考える。
「あの2種族が?エルフはまぁ接点がありますから可能性はゼロではありませんが、それなら魔人も何故お嬢様を?」
「・・・分からない。ただあそこは特殊な人種だ、何か娘に対し感じるものがあって独自の密偵を使った可能性は捨てきれない。自国でも牽制し隠しているというのに多種族にまで興味を待たせたくはないのだが。」
「確信を持つために1人捕まえて吐かせましょうか?」
造作もないとレイはそう提案したがアドルフが首を横に振る。
「今国がまとまりかけている時に不穏な事を見せるのは避けたい、それに騎士も警戒してるだろう。このまま何もしなければ様子を見るだけにしておけ。」
「・・・かしこまりました。」
少々不服なレイは小さくため息を吐いていると、アドルフに声をかけられる。
「何ですかぁ?まだ何か?」
「あぁ、娘に王女と随分親しげにしていると聞いているがそれも事実か?」
「そうですねぇ。ここにいる間、時間が合えばよく雑談を楽しんでおられましたが?」
「・・・そうか。」
・・・・もしや、2人の接点に何か気が付いたのか?
回帰前に既に彼女達は親友だったという話しを聞いていたレイは、アドルフの言葉に思わずスッと目が細くなる。
「何かこれも違和感が?」
「いや、そうじゃない。」
そう言うと彼は少し間を空けて口を開く。
「娘に友人らしい友人がいなかったからな。何だかその話しを聞いてホッとしたんだ。」
アドルフの言葉にレイは虚を突かれた顔をした。
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