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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~
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まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。⑦)


「こんなに美味しいもの王都でもそうそうない代物よ!どうやって考えたの!」


マヨネーズの衝撃な味にこれを考え出したのが自分の娘と相まって大興奮な状態で母リリスは、私の肩を持って詰め寄った。


ちょっ・・・お母様、そんなに揺らされると・・・なんか出ちゃいそうになるぅ。


「おば様、ティリーが限界ですよ。」


アイルの言葉にリリスもハッとして手を引っ込める。

解放された私は息を吐いて自分の母に向き合う。


「ごめんねティリー取り乱して。これはそれだけ衝撃なものだったの・・・、改めて教えてくれる?これだけのものを作れたのは・・・どうして?」


こんな子供が考えるなんてそうそう出来ない、そりゃ母親として驚く。

私も、今の段階で作ろうと思い至るまで正直悩んだ。


両親やお祖父様達なら私が考えたと本当の事を話しても、きっと信じてくれるだろうし理解もしてくれるだろう。

だけど、他の人間は正直信用は出来ない。



小さな子供がこんな商品を大人が考えることが出来なかったものをほいほい作ることが出来れば大人がその子供をどう思うか。



【利益のために子供を利用するか】

【子どもを天才といい畏怖するか】


恐らく私を知りもしない大多数の大人はこう思うだろう。



子供に対して自分より出来ると悟った大人がその子供に対して称賛することが出来るのは、本当の善な人、純粋な人でそんな人達はほんの一握りだ。





勿論私が大人になればそんな憂いもないのだが、それだと遅いのだ。


人は何時死んでしまうのか分からない、というのを私は()()()()()()()()()()


だから私が幼い姿をしていようがなんだろうが私の知っている知識で改善し助けられるのなら私はバンバンそれをしていこうと思っていた。


はっきり言ってしまうと私の我儘、だけどこれは自分でよく考えて決めたことだから変えるつもりはない。


けれど今の状態で【私が考え出した】なんて絶対言わない方が良い。

勿論、私達に利点をもたらすと考えた人が私達にとっても相手にとってもWin-Winであれば問題ない。

だが、公爵家という看板だけで他に強みがないこちらとしては財源の切迫に気づかれてしまえば、悪い商人なんか瞬く間に不利な条件で契約しようと迫ってくるだろう。


それに、発案者が私と分かり私自身に利用価値を見出された場合・・・最悪誘拐といった事件に巻き込まれそうだ。そんなの絶対嫌だし、両親がより心配したら自由にあれこれできなくなるじゃん。


正直一番それが嫌だ、折角自分の足である程度いけるようになったのに外出禁止になったら・・・私拗ねる。


だからこうして私が何かを作った時、親にこの質問を投げかけられたら回避する対策も考えついてる。

そしてその言い訳は、多くの大人が驚くものをつくっても驚かず納得させられる方法だ。



いざ!私の演技力が試される時!!


私は少し考える素振りをして、そして意を決したように母を見つめる。



「お母様、これを作れたのは図書室にあった本を見て覚えたからです。」

「本?本当にそんな本があったの?」

「はい。古の文字の本の中にこれを作る内容が書いてありました。」

「「?!!」」


リリスは驚いた顔をして私を見る、アイル兄様も同じ表情をした。

それはそうだ、私が言った古の文字【アンティクアリィ】は解読不能と言われている文字で賢者と謂われる人達が集まっても難しいと言われている文字だ。


それを私が解読した(読めた)、と言われれば2人が驚く表情になるのは当然だ。

でもこれで3歳児のアイディアより古代の記している本の知識という説明の方が信ぴょう性が付く。

更に言えば、様々なアイデアを生む3歳児より古の文字の文字がちょっとだけ読めた3歳児の方がまだ多くの大人に関心がいかないはずだ。

まぁ、そんな小細工しても普通の3歳児から逸脱する事になるがそこはもう仕方ないので両親には諦めて貰おう。


更に私は言葉を付け加える。

「でも、お母様。読めたというより正直なんとなくといった感覚みたいな感じです。他の書物を読んでみたりしましたが全く分からないものの方が多いです。」


因みにこれは本当だ。

何度か文字を解読できないか挑戦したことがあったが、私の知識を持っても文字の法則性ははっきりしていない。

ただ、挿絵から判断できた本の中にはこういう料理のレシピ本もあったのだ。

そしてその中にもあったのだ、卵の絵と何かを混ぜ合わせて作った様子の絵が。


それがマヨネーズの作り方と酷似しており、更にバターの作り方のようなページもあったので私はこれを利用することを考えたのだ。


じっとお母様を見つめそう言い切った私の口からは何も話すことはない。

後は、お母様がどう思うかだけだ。




「そうなのね・・・。」

ぽつりと母が絞り出すようにそう呟いた。

そして、ブルブルと身体を震わせて私をぎゅっと抱き締めた。


「なんて、なんて私の・・・私達の娘は天才なの?!」


お母様、私の話しを信じてくれた・・・良かった。

リリスは嬉しそうにして私を抱きしめるのを見て、思わず心の中でほっとしつつ私はお母様に放してもらうようにお願いをした。


「ごめんなさいね、まさかそこまで頑張ってお勉強してるなんて思わなかったから、お母様びっくりしちゃったわ。それと、私が考えてしてきたことをこうして活かして美味しいものを作ってくれて・・・ありがとう、ティリエス。」

「・・・えへへっ。」

「アイル君も本当にありがとう。作るの大変だったでしょう?」

「いいえ。お祖父様の鍛錬に比べれば・・・それよりおば様、ティリエスもまだ他のものを食べてみないと。」



そうだった!

アイルの言葉に私は思い出す。バターを食べてもらうなら熱々のあれで食べた方が良いに決まっているからだ。



「お母様これはね暖かいうちに、こちらの馬鈴薯で食べましょう!」

そう言ってバターを適量に塗る。

今度は2人とも率先して食べる準備をし食べ始める。

「「??!!」」



結果は彼らの表情を見れば分かる、私の目論見は完全勝利で終わったのだった。






「こんな美味しいものは久しぶりに食べたわ。」

ひとしきり食事を楽しんだリリスは感嘆の吐息と共にそう口にする。

アイルお兄様も満足した顔で飲み物を飲んでいた。


因みに彼が飲んでいる物はバターと一緒にとれたあの牛乳だ。

その正体はバターミルク。


普通の牛乳よりあっさりとして酸味がある、だが香りはバターの風味が残るのでただのあっさりとした牛乳というより違う飲み物になるのだ。


アイルお兄様、バターミルクも気に入ってくださって良かった。

「本当、こんなに美味しいものが食べられて幸運だったよ。」

「お兄様にも喜んで頂けて、私とても嬉しいですわ。」


天使な少年の微笑み・・・頂きました!

私は心の中でガッツポーズをする。


「ティリーにアイル君、折角だから明後日訓練から戻ってこられる騎士様達にこれらを振る舞いたいのだけれど・・・どうかしら2人とも。」

「是非!おば様、僕はこれを父上に食べてもらいたいです!」

「お母様それはとても良い事です、私も賛成です!」


即決で2人は母に返事をする。

その返事にリリスもにっこりと笑う。

「では、お父様に味見していただいて許可して頂いてからお伺いしましょうか。悪いけれど2人には午後から作り方を教えてもらいましょうか・・・それと、ギリアにも参加してもらってたほうが良いわね。彼には献立を考えてもらいましょうか。」

ウキウキしながら母がそう言うと、マヨネーズの瓶を持って光にかざすように持ち上げてそれを見る。

「でも、こんな風に食べ物で浮足立ったのは初めて・・・まるで神の食べ物だわ・・・きっとこの美味しさを知ってしまったら女神さまだってほっぺたが落ちてしまうわ。」

「そうですね・・・女神さまに供物として献上しても全く問題ないですね。僕もそう思います。」

「お母様もお兄様もそんな大げさですよ。」


でも、供物か・・・・。

供物としてこれを差し上げたら、もしかしたら・・・彼らも成仏してくれるかもしれない。


ティリーはアイルの言葉にあることを思い出していた。




いつも読んでいただきありがとうございます。土曜日に投稿できないと思いますので次回は日曜日に投稿予定です。

裏設定:じつはギリア料理長、2人の使用した道具の後片付けを自ら担当しておりその際付着していたマヨネーズとバターを実は味見しています。(実は何を作っていたのか気になり自ら洗う事にした様子。)勿論この味に衝撃をうけておりお昼には2人に調理法を聞こうと虎視眈々です。(今後彼は2人、特にティリエスに色々振り回されることになります。)

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