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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~
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まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。⑥)



「さて、お兄様。それでは用意も出来ましたしうまくいったか実食してみましょう。」

用意してもらった皿にコップ、そして卓上の塩とコショウそしてフォークがあるのを確認して私はお兄様の手を引っ張って座るように彼を促す。

彼は私にされるがまま隣に座ると、出来上がった3つの品をそれぞれ見つめる。


「調味料て聞いていたからどんなものが出来るのか何となくな想像をしていたけど、僕が予想していたものとは全く違うものが出来たね。卵や牛乳が全くの別物だし・・・あ、そういえば生卵そのままってあまり良くないって聞いていたけど大丈夫なの?」

「・・・そう・・・いえば、他の地域の卵は基本加熱でしたね。」


彼の指摘に私はしまった!と内心深く後悔する。



【サルモネラ菌。】


彼の言っている疑問の答えをすぐに私は思い当たる。

卵の殻にはその菌が付着していることがあり、過熱を施せば死滅して何の影響もないのだが生のままだと繁殖してしまうので食べた後食中毒にかかってしまうケースがある。


そうだったよ・・・海外はそれがあって加熱した卵を食べる。だけど私の前世は食材を生で食べる・・・その筆頭でもある生卵文化だったから盲点だった。


生卵でなんの心配なく食べることができる文化であったことが、こんなにありがたい事だったとは・・・・今感謝とそして後悔しかない。折角作るの手伝ってもらったのに食べれないなんて!

それに私さっき味見しちゃったよ・・・どうしよ、お腹の調子が悪くなったら絶対これが原因だ。


「アイル様、そのことですが問題ありません。」

「っ!ギリア料理長?」


自分のお腹事情の危機感と手伝ってくれた彼に謝らないといけない気持ちでいっぱいいっぱいになっていたその時、後ろから食材を提供してくれたギリア料理長がやってきた。

「それはどういうこと?」

「はい、ここの卵は他の領地で飼育する鶏から採れた卵とは違い腹下しの虫がいないのです。」


彼が言うには、この領地で採れる卵は他と同じく鶏の糞がかかっていたり土まみれで汚れていたりする。勿論そこに腹下しを起こす目に見えない虫が存在するのは確かで、数年前まで必ず加熱処理をして食していたそうだ。


けれど、そんな危険性を知ってか知らずか生卵のまま食している人間がいたのだ。


今現在訓練にあたっている騎士達である。


彼らは訓練の後、たんぱく源をとるためゆで卵を食べるらしいが喉に(つか)えてしまうから食べにくい、味がない。何より殻を取り除くのが面倒ということでいつしかコップに割ってすぐ飲める生卵習慣が定着していったのだ。


勿論、腹を下す騎士もいたのだが近くには必ず薬学に詳しい医師も治癒師もいた為大事には至らなかった。だが、この領地で訓練にやってきた騎士達が私の母リリスの目の前で生卵を食べようとした瞬間―――。


とても温厚な母がその時は烈火の如く怒りを露わにしたのだという。


母の実家は男爵という地位ではあるが治癒師の家系であり薬学にも詳しい一族だ。

そのため母は幼い頃から医術、療法、治癒薬の書物に囲まれて育っており、医療系の事ならこの領地一番の物知りでベテランだ。そんな彼女の知識の中には勿論症例の段階原因そして最悪のケースの事も熟知している。


なので自ら危険なリスクを冒す騎士に怒ったのだという。


「そして、奥様のお説教の後奥様は騎士達から事情を聴きだしそれならと腹下しの虫を殺す薬草・・・この地域では乾燥して飲むお茶の葉がここには生育しているので採れたあと水で泥などを落とした後、その薬草を煮出して作った水でもう一度洗うように考え出したのです。それで念のため国にある医療機関に食物の鑑定に依頼しましたら奥様の読み通り虫がいないという結果になっていたのです。それ以来ここの卵はこうして洗浄してから使用しているので生で食されても問題ありません。」



ギリアから話しを聞き終わり、私はもう一度自分達が作ったマヨネーズを見つめる。

「・・・アイルお兄様あの・・・。」


私が言う前にアイルは出来たはかりのバターの皿を手に持つ。

彼は微笑んでいた。


「ティリーわかってるよ。リリスおば様のところに行こう、これはおば様なしでは作れなかったものだ。だから一緒に食べよう。」

「・・・・っはい!」

私の言おうとしていた気持ちを汲んでくれたことに嬉しく思いながら私はマヨネーズの瓶をしっかりと持ち立ち上がった。


「それでは他のものは私が運びましょう。今のお時間奥様は丁度薬草管理部屋でしたね、隣の談話室に用意しておきます。」











「?はい、どうぞ。・・・あらティリー、それにアイル君どうしたの?」

扉のノックの音に気が付いたリリスが入るように言うとやってきた2人に、リリスは薬草の在庫を確認していた手を止め、彼らに近づく。


「あのね、お母様。私とお兄様で作ったので一緒に食べてほしくて来ました。」

「おば様、隣に用意しているので一緒に行きましょう。」

「あら?何かしら?」

リリスはよく分からずそういって2人についていく。

隣の部屋に入れば、テーブルの上にカップやティーポットそれに深く大きい更にほくほくとした温野菜が見える。

「昼食・・・にしては少し早いような気もするけれど、どうしたの?」

「お母様、まずは座ってくださいな。」


ティリーは母がソファに座ったのをみて、手に持っていた瓶を母に見せる。

きょとんとした目で母はその物体を見つめた。


「あら?なあにこれ?」

「これね卵を使って作った調味料なんです。」

「卵で?・・・初めて見るものだわ。」

「お兄様にたくさん混ぜてもらいましたの。」

「生卵を使う方法だから安全に食べられるようにしてくれたおば様と一緒に食べたくて持ってきました。」


そういわれて彼女も2人が何を言おうとしてくれているのかようやく意味が解り、微笑んで2人を抱きしめた。


「ありがとう2人とも、とても嬉しいわ。」

「へへっ・・・・じゃぁお母様、それにお兄様。まずはこちらから食べてみましょうか。」

ぎゅぅっと抱きしめた彼女はまたソファに座り直すと私は早速瓶の蓋をあけようとする。


・・・・・硬いっ!


思った以上に瓶の蓋が硬く開けられない事実にティリエスは慌てる。

と、そっとアイルが私から瓶を持ち上げ蓋を持ちまわす。



・・・簡単に開いた・・・嘘だ。確かに私3歳児だけどあんなに簡単に開けられる感じじゃ・・・・あ、そういえば蓋をしめたのアイルお兄様だ・・・・やだ、本当彼規格外。


ここまで来て彼の規格外な様子にまた驚きつつ自分も彼もソファに座る。


「初めて見る調味料ね・・・・油みたいに艶やかで・・・でも黄色がかった白いもったりとして・・・これは本当にあの卵から作ったの?」

「はい!こうやって好きな野菜の上にこのぐらいかけて、あとは食べるだけです。」

カリフラワーの上にスプーンでマヨネーズをかけるさまを2人にみせると、2人ともそれぞれ野菜をお皿に取りマヨネーズをかけた。


「こう・・・やってそのまま食べたら良いのね?」

「はい、それじゃぁ実食しましょう!」


と、言ってはみたが、2人はなかなか食べようとしないでいた。

そうだよね~小さい子に言われて作ったものだし得体のしれないものを口に入れるのってちょっと恐怖だよね~、ここは私が!いざっ!!


初めてみるものに2人は少し躊躇しているようなので私が最初に食べる。


うん!正真正銘マヨネーズ!うまぁっ!!


美味しそうに食べる彼女を見て2人もゆっくりと口へ運び一口食べる。


「「っ??!!」」


と、2人の表情が一瞬に変わったのをみて、私は内心にやりと笑った。

2人とももぐもぐと無言で食べ、小さい一口だった母が先に咀嚼を終える。

途端、彼女は私の手を握った。


「ティ、ティリエス!!これって何?どういうことなの??!」



興奮した母は私の手を掴みながらそう尋ねてきた。




いつも読んでいただきありがとうございます。


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