物語の主人公は新たな課題に頭を悩ませる。(パン職人は探せた!だがまだまだ主人公の課題は終わらない!?①)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は5/30(火)投稿予定です。
「エヴァイス!」
「兄さん!」
そこへエヴァイスの兄であるエルアルの姿が見える。こちらへゆっくりとだが歩いてくる彼に何故か支えている付き添いでいるレッドとブルーの2人の姿もあった。
あれ?
なんであの2人もいるんだろう??そもそもあの2人と面識なんてあったっけエルアル卿。
そうこう思っている間に彼らがやってきてそれぞれ挨拶をしている。
エルアルはエヴァイスと隣にいるイストの様子をみて、嬉しげに笑った。
「お前がそうやって嬉しそうにしているということは、上手くいったんだな。おめでとうエヴァイス。それと・・・初めましてイストさん。弟がいつもお世話になってます・・・それと、弟を人生のパートナーとして選んでくれて本当にありがとう。」
深々と頭を下げる彼に慌てるイストを他所にいつの間にか彼女の父親と母親も歩み寄っていた。
「それをいうのはこちらの方だ。こんなじゃじゃ馬跳ねっ返りの娘を選んでくれたことに感謝だ。」
「ちょっと!お父さん!!やめてよエヴァイスのお兄さんに変なことを吹き込むの!!」
「本当のことだろう、まぁ、んなことよりもどうしてこんなにパンの彩も焼き加減も完璧なパンが作れたかそろそろ教えてもらってもいいか?」
「実践経験を積みはしましたが、一番は僕の目が他と人と同じように見えるようになったのが大きいです。」
そう言ってエヴァイスはエルアルの方をじっと見てそのまま言葉を続ける。
「実は僕の目でも色の認識ができるように魔塔に勤めている兄が道具を発明してくれたんです。」
「え・・・エヴァイス、それは本当?本当なの?!あぁ、女神様!今日は私にとって最愛の一日です!」
彼の目の回復にイストはとうとう嬉し涙を流す。
そんなエヴァイスはそっと彼女の涙を拭った。
「驚かせてごめん。」
「・・・いいの!嬉しいわ!・・・でも、私の顔もよく分かるようになったんでしょ?そばかすもあるし釜の仕事もしているから色白じゃない・・・他の子の方が美人だってことが分かっちゃうわね。」
「そんなことないよ。」
エヴァイスはイストの顔をそっと上に向かせて、溜まった涙を指で拭う。
「色がわかったことで君の顔も髪も瞳の色も良くわかるようになってより可愛いと思ったよ。それに僕もパン職人になれば君とお揃いの肌の色になるんだね。とても素敵なことだよ。」
「〜〜エヴァイスのたらし!色男!」
恥ずかしそうに彼に向かってそう言い放ち彼に抱きつく。
まさかの間近でラブコメが見れるとは・・・いいぞ、もっとやれ!
ティリエスが表情を崩さないでそんなことを思いながらふと隣に立っているレイの様子を見てギョッとする。
「・・・・レイ、なんでそんな顔ですの?」
真顔で凝視している彼にティリエスはちょっと引いているとレイの独り言が聞こえてくる。
「・・・なるほど、このように息を吐くように女性の容姿を表現する・・・フフ、彼もなかなかやりますねぇ・・・私も見習わないと。今度秘訣を伝授して・・・あぁ今度彼のことは先輩と呼ばせていただきましょうかねぇ・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
見なかったことにしたティリエスはそういえばと近くにいるレッドとブルーを見やる。
「そういえば、貴女達はどうしてここに?お祖母様と庭園でお食事を召し上がっていたでしょう?」
「え〜なんでマスターの孫に言わなきゃいけないの?ねぇブルー。」
「そうだよねレッド。なんでマスターの孫に言わないといけないの?」
心底嫌そうにいう2人にティリエスはまたかと思いつつも口を開く。
「・・・どうしようかな。お祖母様にこのこと言おうかしら?」
「仕方ないから教えてあげる私達は優しいから!ねぇレッド!」
「そうねブルー!仕方ないから教えてあげようね!」
この子らちょろいな本当。
ぽそっと呟いた言葉に反応して態度をころっと変えた2人は話しを続ける。
「実はへんな感じがして来たの、ねぇレッド。」
「変な感じ?・・・・もしかして前に言っていたことですか?」
聞き返すと2人はこくりと頷く。そして2人の目はエヴァイスの方へ向けた。
「うん、それで分かったの。へんな感じがするのはこの人のせいだって。」
「なんですって?」
ティリエスもまたその言葉に眉を顰めた。
いつも読んでいただきありがとうございます。