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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第5章〜王都生活編〜
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物語の主人公は新たな課題に頭を悩ませる。(パン職人を探せ!そして駆け落ちを阻止せよ!㊿と⑦)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は申し訳ありませんが5/28(日)投稿予定です。それにより来週の予定が少しずれ込むことになりますがご了承下さい。



「行ったのか・・・独りで。」

「えぇ、私がそうしないといけないと思ったから。それが私なりのけじめで、何より・・・私はこんなに幸せなんだって彼に言ってやろうとそう思ってね!」


少しチャラけて言う妻に少し面食らったが少し安心して微笑む。イストはそんな父の様子に、今まで父がどんな気持ちで母を守っていたのか理解する。


だからといって彼との結婚を諦めるつもりもないが・・・。そんな事を思ってイストは口を開く。


「それで会いに行ってお母さんはどうしたの?」

その言葉に母は「手紙を。」と答え娘を見つめる。


「その方なら彼の居場所をご存知だと思って、手紙を渡してもらおうと思ったの。その人は既に除隊され騎士を辞めてひっそりとご家族と暮らしていて。急に訪ねて来た私を邪剣せず温かく迎えてくださって歓迎してくださったわ。そして私は訪ねた理由を話して手紙を渡そうとしたけど・・・そしたら、私はその人から言われたの。『それは出来ない。』って。」

「どうして・・・。」

母親は驚いているイストの後ろで静かに控えているエヴァイスを見て確信したように頷いた。

「エヴァイスさんはやはりご存知でしたんですね。」


彼女の言葉に少し迷う仕草を見せたが静かに頷いた。

「はい、自分も騎士でしたから知っています。」

「どういうことなの?」

「イスト、確かに騎士のごく一部にはそういう心変わりの人間も確かにいる・・・だけど大半の騎士は未婚者であるが最愛の恋人、または婚約者がいる場合ある特定の条件を満たされた場合にだけ、君の母上のような事を告げる場合があるんだよ。」

「条件・・・条件ってなんの。」

「戦死した時だよ。」


エヴァイスではなくイストの母親が代わりに答える。


「彼は既に戦死していたの。」

「あいつが死んでたって・・・まさかそんな、そんなわけ・・・。」

イストの父親もこの事実に驚愕し顔を真っ青にさせる。当事者であった彼女は冷静だった。


「昔は、戦死したことを告げていたそうだけど、最愛だった人を亡くしたことで後追う人もいたの。だから騎士の人達は秘密の約束事を立てた。死んだ時、最愛の人に自分の死を伝えるか伝えないでおくか。本人に委ねられる。」

「そんな・・・。」

「・・・あいつはなんでそんな選択を。」

「・・・・彼の方が私のことを良く理解していたわ。」


夫の言葉にポツリとそう漏らす。


「だって、私があの時真実を言われていたら何も考えず後を追っていた。彼が一番望まないことを選択しようとしていたはずだわ。この子にも会えず今までの思い出も作れずに終わるところだった。確かに彼の選択や言葉で私はどん底に落とされた・・・けど、彼の選択と言葉が未来の私を守ってくれていたの。だから、お父さん・・・もう私の事でこの子達のことに反対するのはもう止めてあげて。どうか認めてあげてちょうだい。」


そう言われて父は黙り込み、沈黙する。


エヴァイスもイストもそんな彼の様子を黙って見つめていると、いきなり唸り声を上げた。

そして下を向いていた顔をバッと上げエヴァイスの方を見る。

睨みつけるような顔でじっと見つめた後、彼は頭を思いっきり下げた。


「・・・君と娘の結婚を認めよう。それと今まですまなかった。」

「・・・お義父さんと呼んでも?」

「・・・・それはまだこそばゆいがだんだん馴れるよう努力する。」

「エヴァイス!!」


その言葉にイストは満笑の顔でエヴァイスに抱きつき、彼もまた彼女の身体をしっかりと抱きしめた。

周りの客人は一瞬何事かと思ったが、2人の表情を見て祝福すべきとこと理解し周りから拍手喝采が送られ、近くにいたティリエスもまた拍手を送る。


いやー一時はどうなることかと思ったけど纏まってよかったわー・・・。


今までずっと黙っていたティリエスは肩の荷が降りたことにホッとしたのだった。




いつも読んでいただきありがとうございます。

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