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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第5章〜王都生活編〜
395/747

物語の主人公は新たな課題に頭を悩ませる。(パン職人を探せ探せ!そして駆け落ちを阻止せよ!㊿)

やはり連休中は変に忙しくて投稿は無理でした、本当にすみません。

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は5/10(水)投稿予定です。



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ーーーー




「・・・・・・・・・・・・・・・。」


ぴちょんぴちょんとどこかで水滴の落ちる音を聞きながらゾルはずっと黙ったまま、カビ臭くじめつく反省小屋という名の独房の中にいた。

この組織で規律を乱した者の罪は軽くなく、ゾルとそしてその部下たちはここへ連れて来られ3日はここで過ごす事になっていた。


一切の人との接触を遮断し、己の行いを顧みることが目的であるがここへやってきたゾルはただ無気力に決して座り心地の良いものではない硬いベッドへ座ったまま何時間もそうしていた。


と、誰かの足音が聞こえぴくりとゾルの耳がかすかに動く。

ここへ来るのは限られた人のみだ、一体誰が来たのだろうかと他人事のように思っていると足音は自分の部屋の前で足音は止み、人の気配を感じた。


「えっと、ゾル卿の部屋はここであっていますか?」

思っていた人物たちとは違う思わぬ来客にゾルは一瞬自分の耳を疑い自分の部屋の扉へと顔を向ける。

それとほぼ同時に鉄格子がついている小さな窓が開くとそこにはやはり数時間前に会った公女の顔がそこに会った。

窓から見えるのは彼女の顔だけであったが他の気配もあるので恐らく彼女の従者がいるのだろうと彼女の顔を見ながらゾルが推測する。


「なぜ、貴女がこちらへ?もう私とは関係ないのでは?もしかして暇で私を嘲笑いにきたので?随分とまぁお暇なようですね。」

ゾルは一番の疑問を口にしたが、その口からは彼女を卑下するような言葉が出てくる。が、彼女は特に気にすることなく首を傾げる。


「ん〜、申し訳ありませんが私これでも忙しい身なのでそのようなことをする時間は設けておりませんわ。」

なんてことはないように返事をするとティリエスは何やらゴソゴソと動く。どうやら立つことが辛いようでその場に椅子を用意し座ったようだった。先ほどよりも顔がよく見える。


「では、何をしに?ご覧の通りここは貴女のような方がおいでになる場所ではありませんが?」

「少しだけ話しをしたくなりまして。」

「ですから「貴方がどうして彼らにつらく当たったのか偶然理由を聞きましたわ。」・・・・・。」


自分の言葉を遮り言った彼女の言葉にゾルは思わず口を閉じる。


「お母様が8年前に殉職・・・いえ、無惨に殺されてからですわね貴方がそのような態度をとるようになったのは。」

彼女の口からその言葉を聞きゾルは目を逸らした後目を閉じ、ティリエスはそれが肯定だとみなし話しを続ける。


「貴方方南の公爵領の騎士達やその家族は当主の命で第二夫人だったエスカリーナを客人としてもてなすことになった。でも気性の荒い彼女は何か勘に触ることでもひどく処罰する人間だった。特に反発のある人間なら尚更許さなかったと聞いています。」

「・・・そうだ、母は私よりも騎士の鑑だった。」


ゾルは目を開け、ティリエスではなく地面へと視線をやりながら話し始めた。


「だから母がエスカリーナの従者として任務に就くことが決まった時、私と父は反対した。何をされるか分からないから辞退して欲しいと。でも、母はそれなら他の人にやらせるわけにはいかない自分がやれば誰かの救うことになるとそう言って私達を説得した。」


必ず家に戻ると言って私達を置いて出ていった母と交わした言葉が母の最期だった。

母は彼女の怒りを買った他のメイドを庇い、反発した母を快く思わなかったエスカリーナの手で殺されたのだ。


「戻ってきた母の亡骸をみてどんな風に殺されたのか、父は母の亡骸をずっと抱え嘆く姿は今でも忘れられない。

・・・初めはただ守るためにしていたんだ。」


もう、あんな風に母を亡くし急に老いた父の遺された家族の姿を自分は見たくなくて、彼女が特に癪に障ると感じた部隊を自分達で牽制した。彼らの生まれ出は位が低くとも騎士に誇りを持ち騎士として行動が出来るような人間達がそこに居た。それが42番隊だった。


任務を横取りし、騎士として惨めな雑用を押し付け時には彼女の代わりに痛めつけることもした。


そうする事で犠牲は最小限になるとそう信じて。


結果として私たちが彼女の意志を尊重ししていったお陰か騎士の方には彼女は目を向くことなく騎士に介入することはなかった。




「最初はそう思ってそんなことをした。それが唯一エスカリーナを欺く一番の方法だと信じて疑わなかった。でもいざ彼女の存在がなくなった後・・・私は、辞めようにも辞められなかったんだ。」


彼の懺悔の声にティリエスは静かに耳を傾け続けた。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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