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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~
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まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。④)



「アイルも疲れただろう?私もこれから村々を 周り → 回り or 廻り or 巡り 何か不具合が起きていないか少し見てくるからゆっくりと休んでいなさい。」

「はい、アドルフおじ様ありがとうございます。」

「ティリー、私は薬草のお部屋にいるから何かあったら呼んでね。アイル君、申し訳ないけどティリーの事をお願いね。」

「はい、お母様。アイルのお兄様と一緒に居ますわ。」

「わかりましたリリスおば様、ティリーが危ないことしないようにちゃんと見ておきますから安心してください。」



両親も部屋から出ていき談話室には私とアイルお兄様の2人だけとなる。

一瞬静寂が生まれるが、すぐにその静寂を崩したのはアイルだった。


「おじ様もおば様もいつも忙しそうだね・・・。ティリー大丈夫?寂しくないか?」

「全然・・・といえば嘘になりますが、でもそれ以上に私もお兄様みたいにお父様とお母様のしていること、尊敬してますもの。」

「それは、僕もそうだから・・・なんか解るよ。」


しみじみと2人で共感していて、私はふとあることを思いついた。


「そうだお兄様。私達も何か開発、というのをしてみませんか?」

「開発?」

突然の提案にアイルは目を丸くするが私は話しをそのまま続けていく。

「私のお母様がより良く効能が浸透してなるべく飲みやすいお薬の開発しているのを見て、私は調味料を作ってみたいと思ったのです。」

「調味料・・・なるほど確かに、ここは山奥だから長期保存のために酢漬け(ピクルス)や肉の塩漬け加工、物の劣化に気を付けないといけないから多めにいれる胡椒で胡椒辛いね。でも、大体他の貴族の料理でもこんな味付けだけど・・・ティリー、もしかして甘いものが欲しいの?」


甘いもの?


そう言われてティリーは首を捻る。

確かに甘いものがあれば料理、特に今まで以上のお菓子というジャンルのレパートリーが増えるし、両親が好きだから欲しいとは思うが。

自分がその味にありつきたいかどうかと問われれば、否、である。


私、甘いものが元々好きではなく所謂辛党なのだ。

そして私がもしこの場で用意出来るというのなら・・・・。




明太子

イカの塩辛



この2つを所望したい。ちみちみと食べながら日本酒を少しだけ嗜む・・・これが一番の贅沢、いかん返事をせねば。



「甘いものが特別欲しいというわけではありませんが、甘いものの調味料も考えてます。でもどうしてそう思われたのですか?」

「あぁ・・・いや、大した意味じゃなかったんだけど。甘いものを欲する人は他の人より魔力の量が多いらしくてもしかして・・・と思ったんだ。」


言葉を濁しながら質問の理由を言うアイルに私は成程と納得しつつ、彼が何かを隠していることに感づく。


時折彼はこのように私や他の人を答え合わせするように聞いてくることがある。自然な会話の中に織り交ぜているので私以外の人間は違和感を感じないが、私にとって彼の質問してくる内容は、前世の記憶をもっている人間として時々ピンポイントで聞かれるので違和感を感じるのだ。


ただの思い過ごしかもしれないけど、でもなー最初が意味深だったからなー思い過ごしじゃないんだろなー。


首元まで答えが出かかっているが、私は敢えてそれを自分から言おうとは思っていない。

何故かって?



だって、私が大人まで生きていたことがバレたらさ。(よだれ)たらりんしたことどう弁解するのよ?

絶対引かれる、嫌だよ大好きなお兄様に嫌われるの。


それにあっちだって鼻水押し付けてきたこと覚えてるって分かったら、絶対気まずくなるに違いない。


私は涎 

貴方は鼻水


これは互いに忘れた方が良いのだ。

だから、絶対に言わないもんね~私の保身のために。


まぁ、話しを戻そう。


「じゃぁ、シロップの甘露水が王宮魔術師団に優先して出荷しているのはその特性があったからですのね。」

「そういうこと。僕も他の人より魔力が多い方になるからあの甘露水を飲むと体調悪い時すぐに良くなるし、まぁ1番はやっぱり他の味より甘い味が好きだからね。」



ふ~ん、という事は甘味は絶対に開発した方が良いのかぁ。良いこと聞いたな。

心の中でニヤリと笑う。


「で、ティリー。どうやってその開発というのをするの?何かあてはある?」


「はいお兄様、勿論です。私は2つの調味料を今考えているのです。」



アイルの言葉に私はにっこりと笑った。


なかなか閉鎖的な私の領地の基本は自給自足だ。

他領地で買って送ってもらう事になるとかなりの出費になる。

なので必要な油や酢その他嗜好品等これは商人に頼んでいるがこれ以外はなるべく領民達で行っている。




穀物なら主食の小麦と家畜用の大麦

野菜は年中なら馬鈴薯・玉ねぎ・人参そして四季折々の野菜を作り。

果物が主に秋~冬頃はリンゴ 冬はなんとミカン!前世より断然酸っぱいが風味が一緒なので気に入っている。あとレモンも冬に収穫している。

そして、家畜は牛と鶏だ。どちらも食肉というより牛乳と卵の収穫で育てられている。




村の人達に若者が少ないので栽培や飼育の拡大は望めないが、なんとか食糧確保や残ったもの特に果物は貴重なので王都に売り出してもらい・・・と尽力してもらっている。なので他貴族より正直金銭面で蓄えの余裕はないが、こうして賄えるところで節約と蓄えておき、凶作に陥った時の為にお金を貯めておくので今までこうして民の人が飢えで苦しんだりということにならないように考えてきたのだ。



それを私よりより感じているのは領民達だ。

だから彼らはいくらこの地が栄えることが難しいと分かっていても、けっして他領地へ行かずこの地で生活をしてくれている。


その人たちの為にも、自分の領地で採れるもので作らなければ意味がない。




「1つは卵を使った調味料でもう1つは牛乳を使った調味料です。」


昔からどんなに苦境に立たされていても先代公爵はこの2つの家畜運営はやめなかった。


先代様、大正解です。


やめなかった理由はわからないが、ここの貴重なたんぱく源を残すことに成功したのは我々の宝だ。

そして子供の私達でも出来る調味料それは!


転生小説あるあるおなじみマヨネーズとバターだ。


この2つはよく混ぜるという工程だけで成功しやすく今の料理にぐんとコクが深まり美味しくになるのは間違いない。



それに、ここで甘味を作ろうにも・・・ねぇ?


ここでは馬鈴薯と大根も採れるのでそれらを使って水あめを作ることは実は可能であるという風に考えたことはある。

馬鈴薯のでん粉と大根のアミラーゼという酵素を混ぜて加熱してブドウ糖を作り出す、それが水あめとなる。


身近なもので例えるとご飯をよくよく噛んでいると甘みが増す現象と同じである。あれも唾液に含まれているアミラーゼの酵素とご飯のでん粉が反応したからだ。


まぁ正直この食材で作ると量もそんなにないわ、甘いけどイモ臭さと大根の青臭さが残るのでお勧めはしない。



本当なら需要の高い甘味料を考えるべきなのだろうが先ずは初歩の初歩から。焦らずにした方が良い。

まだ始めよう!という段階だからねー。お兄様にこれは子供の遊びではなく利点があるという事をアピールせねば!


「へぇ、卵と牛乳だね。貴族は料理しないけど考えたことがない材料でちょっと面白そうだね、いいよ、じゃぁその調味料を作ってみようか。」


よっしゃー!力仕事が楽になるぜ!


「では、お兄様。早速厨房に行って材料と器を頂きに行きましょう!」


心の中でガッツポーズをしつつ、私はウキウキしながら厨房へと足を進めたのだった。


あ、勿論この部屋を出るとき暖炉の火はすぐに消しました、勿体ないもんねー。





いつも読んでいただきありがとうございます。

裏設定:卵と牛乳の家畜が盛んなのは実は始祖アルベルタが代々当主へ充てた約束をしたためた内容の中にこの2つは途絶えさせないようにという内容も書かれていた為です。そしてそれらをきちんと歴代当主たちはその約束を守り今に至ってます。そして試行錯誤の末、ほぼ年中供給できるようになっています。

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