物語の主人公は新たな課題に頭を悩ませる。(パン職人を探せ!そして駆け落ちを阻止せよ!㉜)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は3/22(水)投稿予定です。
兎に角話しをと、その目の前にいた彼ダイナさんが今までの経緯を話してくれた。
元々、ダイナさんも部隊長の席を置くものとして優秀だが平民の出だそうで、まぁ言わずもがな、貴族出の人間達によくないと思われていないため前々から嫌がらせをされていたらしい。
それでも彼は功績を上げ自分と同じ境遇の平民や男爵子爵の地位が低い貴族達の面倒を見てたこともあって今のこの部隊を任されることになったがそれでもやはり貴族達で固まっている部隊には下に見られたりなんなら下働きのようなこともさせられたいた。
「ーーーーでも、そんな時貴女様の領地直属の騎士の皆さんに助けられました。理不尽な事には堂々と物怖じせず私達を同等の騎士として接してくださいましたし、在籍していた数年切磋琢磨できました。・・・領地に戻られてから我々の風当たりは強くなりましたが・・・。そうしていたら今度は公女様がこうして指導をされるということを聞きました。大半の騎士達は興味を示しながらもただの話題作りだろうと思っているみたいでしたが。」
「まぁ、そのような反応を見せてもおかしいとは思いませんわね。実際聞いていた最初の人数も多いと思ったぐらいですから。でも貴方達はどうして武として秀でた話し一つないましてや5歳の子供の元へ?」
「それは・・・正直私も少しだけ思いました・・・でも、手を貸してくれた貴女の騎士の皆さんが言っていたんです。」
ルーザッファ家の人間は己の言葉に責任を持ち実行できる素晴らしい方達だと。
その言葉にティリエスは目を丸くさせダイナを見つめる。
ダイナはそんなティリエスに屈託のない笑顔を見せた。
「だから私達42部隊は希望を出しました。・・・それも見ての通り、ままならない状況で公女様を待たせご不快な思いをさせたのは事実です。どんな処罰も覚悟しております。」
再度頭を下げたダイナを見て部下達全員もまた頭を下げていくのをティリエスはどうしたもんかと考える。
確かにこの様に目上にあたる人間をまたせる状況を作ってしまったことは今回の事もだし普段護る事を生業とする彼らにとってあり得ない失態だ。
私がさらっと不問にしてしまえばいいだけの話しであるが、彼らの態度や表情、何よりあの真摯な眼の彼らが納得するとは思えない。
どうしたもんかな・・・あー・・・もー・・・寝不足のせいかあんまり頭働かないな・・・というか可笑しくないか?
良い考えが纏まらずにいるとティリエスは別の事を考え始める。
彼の言葉を100%鵜呑みにすればただのとばっちりじゃん?その事になんでこんなに考え込まないと行かないの?私がそこまでする必要があるのか?・・・いや、ここで地位が高いのが私だからか・・・なんか。
「面倒な。」
思ったことをそのままポロリと口にした言葉は思いのほか低く出たので、一瞬で周りの緊張を走らせた。
・・・・やべー、今の絶対変な誤解与えたよね?でも撤回出来ない。
周りの状況に一拍置いて理解したティリエスはしまったと真顔のまま前を向く。
しかし、このまま何も話さないのも更に誤解を生んでしまうから・・・よし。
隣に目を向けるとグリップと目が合う。
「グリップ、今ここ王都の主力部隊の出身はどこかわかります?」
「え?そうだな王都だから南が一番多いかな?次に西と東がどっこいどっこい。北はここから遠いし厄災の地を目を光らせる理由もあるからほとんど居ないし稀だな。」
「成程・・・。」
南・・・あのいちゃもんつけてきた人の所か。オーガさんとか南の公爵家に今回のことまで話すことはないが・・・よし、決めた。
「今回のことを不問にする代わりに条件を出しますがよろしいですか?」
「それは・・・どのような?」
緊張している面持ちのダイナに対しティリエスは口を開いた。
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