物語の主人公は新たな課題に頭を悩ませる。(パン職人を探せ!そして駆け落ちを阻止せよ!㉚)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は3/17(金)投稿予定です。
険悪なグリップにその周りにいた人間達は注目した。
周りの表情に驚きながらこちらを様子見るものや静観そして荒くれもいるのかヤジを飛ばす者もちらほら見えた。
周辺の注意が集まる中目の前の騎士はニヤニヤと笑っていたが今度は大袈裟にため息を吐いた。
「これだから田舎のメドイト家は。田舎の騎士達はともかく我々は忙しいんですよ?それなのにわざわざおままごとに付き合う我らのことも考えてくださいよ。」
「はぁ?!」
おっとーなんだか険悪だなー。というかこの人誰??
「お嬢様。この方ドライ家の方です、ほら南の領地の伯爵家の。」
そんなことを思っているとコソッとティキが耳打ちをした。
名前を聞いて、いつもより鈍い頭でもピンと来る。
北はメドイト伯爵。
南はドライ伯爵。
それぞれ主力の騎士でありそれぞれ公爵家の下についているお家で有事には彼らが率先した戦力となる。
そういえばここにいないアイルお兄様も言ってましたわね・・・ーーーー。
『向こうの騎士も粒揃いでなかなかうちといい勝負になるんだけど。如何せん、あっちって何故かライバル視が強いというか目の敵にしているというか・・・うん、兎に角面倒臭いんだ。あっちも僕と同い年の子が居るんだけど・・・うん、兎に角面倒臭い。』
ーーーーーー確かに、今のこの時も思いますわお兄様。こうつっかかってこられると・・・うん、面倒くさい。
アイルの言葉を思い出しているとパチリと黄土色の瞳と自分の目が合う。
「公女様にはわざわざお越しいただいて大変恐縮なんですけどねぇ。ここは遊び場ではありませんのでこちらの都合で申し訳ありませんが先ほどもうしました第11訓練場へ赴いていただきたいのですが・・・難しいですかねぇ?なにせ子供の足ではなかなかの距離ですから、いや私達もね一応は相談したんですよ?でもねどうしてもそこしか空いてなくて本当申し訳ありません。」
「お前!「グリップそこまでですわ。」!!でもティリエスちゃん!こいつの言っていることは侮辱行為だよ!・・・もし許可をしてもらえるんならここで粛清してやる。」
今にも持っている剣を抜きそうなグリップの背中にティリエスは彼に声をかける。
「グリップ、お止めくださいって私は言いましたよ。」
「・・・・・・・・・・・。」
強めに言われグリップの背中は納得していないとデカデカと物語っていたが、それでも私の言葉を尊重し剣は納めてくれた。
それを見た彼は面白くなさそうな顔をした。
「フンっ!お前が大人しいのは気持ち悪いが・・・お前の今の主人はきちんと物分かりが良さそうですねぇ。・・・では。」
皮肉げに言い、彼は踵を返し去っていくのを見てグリップは「二度と顔見せんなバーカ!」と捨て台詞を吐いてた。
三流並みの発言をするほど相当頭にきてたんだろうなと1人納得しているとやや困惑気味の表情のティキと目が合う。
「あの人は一体なにをしに来たんでしょうか?」
「嫌がらせだよ。」
間入れずグリップが答える。
「あいつ、俺の同期でよく突っかかってくるんだよ。しまったな、あいつだと思っていたら任せてなかったのにごめんなティリエスちゃん。」
「私は別に構いませんわ、あちらがお願いしていることですし私はただあちらに合わせるだけですから。」
「そのようにお優しいから相手がつけあがるんですよお嬢様。」
「そうだよ!本当ならあいつ厳罰問題だからな!でも、変だな?あいつ確かに嫌味なやつだけど分別はついている奴だったのに・・・あいつらしくないなぁ?」
ふーん、知り合いのグリップさんが言うならそういうことなんだろうけど・・・まぁいっか名前も名乗らない人なんて覚えることないだろうし。
「それよりもいきましょうかグリップ。その第11訓練場まで遠いのでしょう?一体どんなところですかしら?」
そう言うとグリップはグッと渋い顔をした。
え?何?その顔??
「・・・・ここから歩いて30分ぐらいで、まぁ趣きのある建物ですね。」
「趣き・・・。」
趣とは一体??
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「成程、確かに趣きがありますね〜。」
着いて早々ティリエスは呟く。
・・・・崩れたりしないかな?この建物。
至る所の建物の石材がひび割れ欠けている様を見てティリエスは心配になった。
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