まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。①)
作中にちょっと気持ち悪い表現があります。ご了承お願いします。
6/18 訂正と少し加筆しました。
この星【ラビス】では現在大きく分けて3つの種族がある。
魔人の領域【ハディア】
エルフの領域【ルーンシー】
プラメイト族の領域【レイア】
種族によって統治は異なり更にその中で様々に種族や国が幾つもできている。
領土が一番広大なレイアの領域に当たりティリエスの住む国の名前は聖国アストレイア。
幾つものある国の中で女神の信仰が強く歴史が長い国の一つだ。
そんな歴史あり信仰心が強い国でも、残念ながら闇の部分は少なからず存在する。
聖国アストレイアの最果ての地。
無法地帯通称【ローリス】。
王都の目が届かないここでは、国の法ではなく自分達のルールに則って日々を生きている。
盗みも殺しも怪しげな商売も日常茶飯事。
女は金を得るため男を誘い、男は力と地位を作り広げるために強い者を殺し、他者に力を見せつける。子供は日々食い扶持を探し、力ある者の目を掻い潜り盗みを働く。
大きな負の連鎖の領域として存在するそんな街の中を1人の男が周りの目を気にしながら足を進める。
黒いマントからちらりと見えるここの人間より裕福な服装から此処の出身ではない者ということが解る。
既にその事実に嗅ぎつき、女達の視線はその男を捕らえて離さない。その捕食者の目に男は居心地の悪さを感じながら目的に目を向ける。
男がここまで注目を浴びながら危害を加えられないのは、正攻法でここに来ることを許されているからだ。
正攻法で来た証としてマントを渡され、このマントの存在でここにいる人間は誰も自分に手出しできない。
けれどそれでも油断はできない。ここで何か自分からトラブルを起こしたら最後、ここから出られなくなるだろう。実際に、ここに同じように訪れて帰ってこれなかった人間達もいると情報屋の老人から聞いている。
「最低限・・・もしかしたらそれ以下の保証も危うい、それでもローリスに行くのか?」とも・・・。
大きなリスクが生じるかもしれない。
だが男は歩を止めようとしない、男にはそれ以上に成し遂げたい・・・・大きな憎しみが渦巻いていたからだ。
すべては・・・あの男にこの世の地獄を見せてやる為!
静かにギラギラと憎しみの瞳を宿しながら進んでいくと、男はある建物へと入っていった。
とある扉の前に立ち、手はず通りにノックを3回した後で懐から取り出した鈴を鳴らす。
すると、ひとりでに扉の施錠が音をたてて開き、少しだけ扉が開いた。素早く男は扉から中へ入ると安堵して鈴をまた懐へとしまった。
「おや、時間ぴったりですねぇ?貴族様はもう少し時間にルーズと聞いていたんですが?ああっ!そういえば貴方様は貴族ではありませんでしたねぇ?申し訳ありません。」
出迎えてきたのは見なれない異国の衣装を着た優男だった。この地帯には似つかわしくないゆったりとした優雅な動作でこちらを見つめやってきた。
だが、そんな優雅な動作とは裏腹に会って早々敬いもない小馬鹿にした物言いで相手に微笑む。
既に自分が貴族としての身分がないという事を知られている事に驚きつつ、故に事を荒立ててはこちらが不利というのを理解し、一瞬男は腸が煮えくり返った胸の内を無理やり抑え込む。
くそっ!!俺が弟から爵位を奪い返した後にはお前などっ!
上手くいった後の想像をし、少し気持ちを冷静にさせると男は目の前の男に目を向ける。
面白いものを見るように男はニヤニヤしていた。
・・・・相手にしてはいけない、俺には目的がある。
「お前の主人と話しがしたい。取り次いでもらえるか?」
「主でございますかぁ?・・・・・ふむ。」
ゆったりとした動作で優男は考え込む、だが直ぐににっこりと笑った。
「ええ、では。こちらへどうぞ?ああ、申し遅れました、私はオーガと申します以後お見知りおきを。」
オーガはそう言って男を中へと案内する。
薄暗く窓のない廊下に息苦しさを感じながら進んでいくと1つの扉が現れた。
オーガはノックして扉を開けると思わず男はうっと顔を歪めた。
中には無残にも倒れ泡を吹く男達が幾人も転がっており、その血塗れの部屋の中央に人が立っていた。
18、19ぐらいの青年だろうか、三つ編み一つに結った長い銀の髪を揺らしながらこちらを見る群青の瞳の中にある獣を感じて思わず男は身体をびくついた。
あの情報は本当だったのか・・・。
法さえないこの地ローリスに何時頃からか不明だが、ここを統治する者が出来た。
その者は多くの部下を従え、ここでの法を犯せはどんな奴でも報復させる。
ここを牛耳る男の特徴は、銀の髪に群青の瞳の男。
確かに、ここに入る前に情報屋の老人に聞いてはいたが・・・こんなに若いとは思っていなかった。
もしや、代替わりをしたのか?
だとしたら・・・このごろつきの頭を上手く信頼させれば事はうまく運ぶかもしれないっ!
「・・・誰だぁ?そいつ?」
「主と話しがしたいそうです。」
なので連れてきましたとオーガはこの光景を見ても飄々とした態度を変えずその青年に言う。
男を一瞥して、興味ないように血で汚れた服を脱ぎ捨てる。鍛えられたしなやかな筋肉、白い陶器のような肌に右肩から臍下にかけて施された黒い刺青が良く生える。
高級なソファや椅子に座るわけでもなく、開いていた窓の窓際へドカッと座ると、側に置いてあるキセルをとり火をつけ煙草を吸う。
青年の口から吐き出された紫煙が辺りを包み込んだ。
「で。要件は?」
「・・・・貴方の実力を買って、依頼をお願いしたい。」
男は青年の前に大きめの袋を前に出す、袋の中からお金特有の音が聞こえる。
「ある屋敷の令嬢を誘拐してほしい。」
青年は一瞬鋭い目を向けたが、すぐにオーガをみる。
「私も初めて依頼内容を伺いました。」
詫びれもなくそう言うオーガに青年はすぐに興味なさそうに男を見る。
そんな2人のやり取りに気が付かない男は話しを進める。
「情報屋から聞いてます。貴方に依頼をした事は必ずこなしてくれると、これは前金です。成功すればこれの2倍の報酬をお渡しします。」
「・・・・・・・・金ねぇ。」
金に食いつくと予想していたのに反しため息を吐き興味なさそうな声で言う彼に男は焦る。
「た、ただの貴族の令嬢ではありません。殿公爵家の令嬢です。」
「・・・・・。」
「へぇ。あの難攻不落と言われる屋敷を持つ公爵家のご令嬢ですかぁ?これはまた大物ですねぇ?それで、貴方はご令嬢を誘拐してどうなさるおつもりで?」
「・・・・あの男に復讐してやるんですよ。あの時、あの男が俺の人生を駄目にしたっ!だから、あいつにも絶望を与えてやりたいっ!!娘が大人の男に嬲られ汚された姿を見てどんな絶望な顔を見れるのかっ!!ひっひひひ!!」
そのように想像して笑っているのか、とオーガは男を気持ち悪い目で見つつも笑顔を張り付ける。
さて、この部屋の主はどうするつもりなのだろうか?
暗殺を主に退屈しのぎに依頼を受けている彼が、到底ままごとのような依頼を受けるとは思えない内容だが・・・・。
オーガはどうするのか言葉を待っていると、主は煙草を思いきり吸って吐き出すとその男に近づく。男は笑うのをやめ、近づいてきた青年に今度は若干恐怖を滲ませて凝視した。
「いいぞぉ、引き受けてやる。但し、他の依頼が片付いてからだ。」
おや、珍しい。
このような余興に興味を示すとは・・・今日はいつもより多くの血が降るかもしれませんね。
にやりと笑っていう青年にオーガは、不吉なことを想いながら今後のスケジュールの確認に急いだのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――
――――――――――――
―――――――
不穏な空気で会談をしている場所とは変わり、彼女の家のルーザッファ領地では―――。
屋敷にある図書室でティリエスは自分より大きな本を広げ難しい顔をしていた。
現在彼女は3歳。あと数ヶ月この冬を越せば無事4歳を迎えることになる。
そんな彼女が難しい顔をして読んでいるのはこの国の歴史、そして自分の家の歴史についてだった。
聖国アストレイア。
前世と同じく四季があり1年を通して温暖な気候で。本の付属にあるこの国の地図を見れば我が領地は首都からだいぶ離れており父が首都に行くのも遠い道のりから年に数えれば数回程度しか赴くことが難しいとされる位置にある。
今広げて閲覧しているこの古い書物には一体何故、自分の家がそのような辺境の地の領土を任されているのか、その経緯が細かく記されていた。
それは今は誰も知らない書物だけの知識。
この国が出来る遥か昔に遡る。
この世界には魔人の領域【ハディア】
エルフの領域【ルーンシー】
プラメイト族の領域【レイア】
そして今は誰も呼ばない4番目の種族がいた。
神の力に近く獣の血を引いていた彼らは他の種族より秀で、神の使徒と謂われるほど知識も技術も持ち合わせていたという。
彼らが他種族に魔法を使えるように教えたとも言われている。
私達が使う魔法の基盤となった古の文字、正式には【アンティクアリィ】を創ったのも彼らだという。
このまま彼らの知識と技術が発展し世界がより発展していくだろうと誰もが思った。
だがある日、この世界に天変地異が起きた。
空から禍々しい瘴気の塊が落ちてきたのだ。
その禍々しいモノから多くの人を守るため、魔法に長けた種族の代表、そして主に魔力も力も秀でていた彼らが主体となりその瘴気を迎え撃つことにした。
彼らが考えたのは瘴気を留める為古の技術と魔法を駆使し自分達の国に封鎖し。
降りてきた瘴気を留まらせその権化である根元を叩き、瘴気を浄化するという計画だった。
万全を期して挑む計画・・・だが、万が一失敗しそれらが世界に漏れ出てしまえば誰もが助からない。
彼らは自分達の国にそれを押し込むことを条件にあることを頼んだ。
それは、もし計画が失敗したら自分達の国の領に留めた瘴気が漏れ出ないように、監視してくれる者。
後の管理者を頼んだのだ。
決死の覚悟をしていた彼らとは他所に、その話しを聞いて他の種族は誰もがこの役を担いたくなかった。
なぜならこの瘴気に触れれば生き物は死を。
作物は枯れ、水は立ちどころに毒水に濁り、地は草木も生えない土壌と化すという事が分かっていたからだ。
もしその役を担い、彼らの施した結界が壊れもし万が一漏れ出てしまえば真っ先に自分達が犠牲になる。
そうして暫く多種族の押し付け合いが続く中、ある時やってきた見知らぬ1人の青年が名乗りを上げた。
その若者は各種族の高い地位にいる若者ではなく市民という地位でありその種族と深く交流をもった者。
若者は彼らの友人だった。
若者は本来なら供に彼らと戦いに赴きたかった。
だが、自分にはその瘴気を引き寄せる魔力も、戦う術も持ち合わせていなかったのだ。
ひ弱な自分を恨み嘆き―――――。
それでも、せめて彼らの願いを守りたいとの思いで名乗り出たのだ。
若者は、瘴気を決して漏れ出さないように殿を務めるとその者らに約束をし。
だが同時にまた会える日を約束をし管理者となった。
それが、始祖アルベルタ=フェルザ・D・ルーザッファ。
そして、私の家が公爵家という地位を拝命したその後他の者達から、別名【殿公爵家】と言われるようになったのだ。
いつも読んでいただきありがとうございます。
後に誤字脱字ちょこちょこ訂正すると思います。ご了承ください。




