まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(気持ちの整理は出来ましたが、どうやら色々問題ありそうです。)
作中にばっちぃ話しが出てきます、お話しを読んで不快になられた方申し訳ありません。
赤ん坊の時は身体の基礎中の基礎をつくる段階。なので勿論私も例外なく私の身体の機能は不完全であり、視力も遠くのものはまだまだぼんやり見える程度ではあるがそこに子供がいると理解できる。
「・・・・・・・・・・。」
扉をあけてその場に突っ立ったままのその男の子は、微動だにせず私をじっと見つめたままだった。
なんでこんな夜明け前にここに?
屋敷の中で幼い子供といえば、この家の娘である私と・・・先ほどまで考えていた子供ぐらいしかいない。
ということは、この子は例のハーティスさんの孫。
年は背格好でいえば4、5歳ぐらいだろうか、その彼は先ほどからじっとこちらを見るだけで何も言わない。
一体全体なんだなんだ?
・・・・もしかしてお手洗い?ここは見ての通り私の部屋だからトイレはないよ~?
私の言葉は相変わらずのイントネーションのみなので言っていることは全く伝わることはないが、それでも彼に伝えてみる。
「・・・・・・・。」
だがしかし、何の反応もみせずその子はそのままだ。
やだ、無反応って困る。ふむ・・・どうしたら良いものか・・・・。
恐らくグリップさんの嫌いっていってたのはこういう態度なのかも。見た目あの人ってこういうタイプ好きじゃなさそうだし。
と、彼が脈絡もなく動き出した。
このまま出ていくのかと思えば、なんと私へ向かって足を進めてきた。
お、なんぞ?少年・・・ってうっへー・・・綺麗な顔立ち。
スタスタとこちらへ近づいてくる彼は、私のいるベッドに上ってきて私の目の前にやって来る。
だんだんと彼の顔立ちが見えてくる。
彼の髪の色は昨夜見た父親のラディンさんと同じの金の髪で彼の眼は母親譲りなのか祖母であるカーラさんの瞳みたくオーロラの瞳で不思議な光を放っていた。
目が神秘的な色合いに顔も整った男の子。絶対将来有望になるな。
そんな絵画から出てきたような顔立ちの少年は未だなぜここに来たのか理由を話さない。
「・・・・・どうして生まれてきたの?」
しゃべった?!
だんまりなままかと思っていたら彼が表情を変えずに話しかけてきたので私はびっくりする。
・・・ん?でも赤ん坊に対して変な質問を投げかけてきたな・・・今。
ここに誕生して1年程度しか生きてない赤ん坊に対してなぜ生まれてきたのと問いかける彼。
一体どうしてそのような質問を投げかけたのか?
どんよりとした瞳を宿し無表情で見つめるその子は私に対して、まるで哀れに接しているように感じ取る。
・・・なんだ?こいつ?
私は真一文字に口を結んだまま彼を睨む。
理由は分からないがなぜ、私が哀れに見られなければいけないのか。
とても、とても不愉快だ。
「いくら、立場が変わっても・・・変わらない。・・・・駄目なんだ。」
薄い口から零れ出る言葉は絶望の想いを吐き出して、彼の顔をだんだん歪ませていく。
とても苦しそうに言う彼は何かに操られるようにふらふらと私に近づいて、そして私の首に手をそっと添える。
「このまま・・・。」
彼は浅い呼吸を吐き出しながら次の言葉を言う。
「このまま知らずに君はいなくなった方が良い・・・君の為だ。」
よく分からない状況で手を震わして私の顔を見ずに言う少年に私は・・・・・ぷっつんした。
くらへっ!生ぬるい聖なる滝!!
閉じていた口を私はパッカン思いっきり開くと、今まで溜めに溜めた聖なるとは程遠いばっちぃ唾液の塊をお見舞いする。
びちゃりと彼の白い手にもろにかかり、彼は目を大きく見開き思わず手を引っ込ませた。
彼が怯んだ拍子に私はその綺麗な頬を思いっきり抓る。抓っても痛くないだろうがそれでも今の私のありったけな力を込めて彼の左頬を抓ってやった。
理由もよく分からないまま、いなくなった方がいいだぁ?
黙れ小僧!
私は彼に怒りを露わにして睨みつける。
悪いけど、こちとら昨日前世に別れを告げてここで生き直すって決めたばっかなの!
それなのに決めた途端になんつーこと言うんだ!
私の生き死に!
人生を!
勝手に決めんなっ!
頬をぎりぎり引っ張りながら睨む。
無表情な少年と睨み続ける赤ん坊はどちらも微動だにしないまま暫く互いの間に沈黙が流れる。
誰かがここに入るまでこのまま続かに見えたが、意外に早く先に変化があった。
先に変化をみせたのは少年の方だった。
私の言ったことも分からないはずなのに急に何かを思い立ったように驚愕の顔を浮かべそして何かに戸惑い、そしてなぜが呆然とした顔のまま一筋の涙を流した。
いきなり泣かれたので今度は私がぎょっとして手を引っ掻込める。
ご、ごめんっ。もしかして痛かった?そ、そんなに泣かれるとは思わなくて・・・。
ボロボロ泣かれて罪悪感が湧き、私は抓るのをすぐさま辞めの頬を擦る。
一瞬彼の身体がびくりと震えたが、彼は私は私の手をぎゅっと握りしめ、くしゃりと顔を歪めた。
そして私にぎゅっと抱き着いてきた。
「・・・ティリ・・・っエス。」
彼は私を名を呼んで、より強く抱き締める。
「ティリエス・・・、やっぱり君はっ・・・ティリエスだっ。」
そう言って、彼は顔を埋めて声をあげて泣き始めた。
私はそんな彼に、何もできずただただ彼のされるがままだ。
彼の泣く理由、恐れの理由は全く分からない。
けど私はある確信に似た今後を予測する。
前々から思っていて目を背けていたかったが、彼の様子から察するに私はきっと・・・そう。
面倒事、厄介事に巻き込まれるに違いないという事。
だってどう考えてもこの子、何か隠してるじゃん。
しかも私見て意味深な言葉吐いて号泣なんて・・・絶対陰謀とかに関わりそうなフラグ立った。希望してないのに勝手にそのフラグ立てたよ絶対。
正直に言うと私、細々と普通に過ごしたいけど・・・・絶対無理そう。
目の前の家族の為に頑張りたいだけなのに、ここに産まれる前から色々あったし・・・・マジかー勘弁してほしいなぁ。
少年に気づかれないように小さく息を吐く。私は天井を見つつ様々な可能性についてどうするのか考えを巡らす。
兎に角自分が出来る範囲で・・・・・色々、対抗策考えよう、だがしかし。
正直今は無理だ、別の時にきちんと計画を立てながら・・・考えよう。
気にしないでおこうとしてきたけどもう・・・本当・・・今は無理だっ!
私はとうとうあることに我慢が出来ず、そして気にすればするほど徐々に自分でも分かるほどさぁーっと顔を青ざめていった。
思考がままならない状態で私は先ほどから感じているあることに身体を震わせた。
それは・・・。
幾ら綺麗な男の子でも鼻水つけられたまま抱き締められるなんて・・・・無理。
先程からびちゃびちゃになる自分の寝間着の感触と鼻水を啜り、時には服に鼻水が出たまま顔を擦り付けられる様の音を聞いて、私は遠くの虚空を見つめ青ざめながら体を震わせたのだった。
誰だよ・・・イケメンだったら鼻水でも涎でもかけられても問題ないとかいうファンタジー言ってたの。
全然っ!!無理じゃんっ!!汚いものは汚いわっ!!
私は潔癖症ではないがもう、限界だった。
拒絶の反動でとうとう私も彼とは違う理由で一緒に大泣きをした。
その後どうなったか言うと・・・。
2人してギャン泣きしていたのを聞きつけ慌てて駆け付けた大人達。
元々大人しい2人のギャン泣きにそれはそれは大変な騒ぎになったそうだ。
そして誰もが心配する中、父だけは少年が私を遠慮なしに抱き締めている光景を見て密かにその少年に殺意を抱いていたという事実は、この不快な状況をどうにかしてもらいたくて大泣きしていた私の知らない話しである。
いつも読んでいただきありがとうございます。今回第2章は3部構成にしています。これで1部の話しはおしまいです。
次は2部に突入します。2部と3部は恐らく長くなると思います。次回から話しが長くなるのでなるべく多くお話しを投稿出来たらいいなと考えています。可能であれば週2話投稿出来たら理想ですが・・・文才ないのでタラレバになるかもしれません。すみません。もし週2で出来るなら曜日は土曜日・水曜日になると思います。これからもよろしくお願いします。