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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第5章〜王都生活編〜
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物語の主人公は新たな課題に頭を悩ませる。(さてどこから手をつけるべきか・・・全部か?⑥)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は11/14(月)投稿予定です。




私の周りには私の事を助けてくれる人がいる・・・か。


母の話しから翌日の朝、ティリエスは昨日の母の言葉を思い出しながら己の机に座り一枚の羊皮紙に目を向ける。

そこには今何をすべきか、その内容が記されているそれをじっと見つめながら、もう一枚何も書かれていない同じ紙を見やる。


赤ん坊の頃から自我があり過去の記憶を持って生まれた私には母の言葉がとても新鮮に思えた。


いや・・・違うな。


その言葉にティリエスは直ぐに否定した。

過去の別の世界に居たあの頃も、私は必要以上に人に頼ろうとしなかった。

先生は居たけど他の子達の世話もあったし、逆に自分は自分の事をせねばと思って何でもしようとした。親の居ない子供が歩んできた人生の記憶、それは他の人から見れば息の詰まる生き方に見えたに違いない。

でもそんな私にも気の置ける親友、今でいうアステリアという存在であの世界でも楽しく過ごせるようになっていったが・・・。


そのせいか、正直他の人に頼むというのはまだ気が引けてしまう気持ちもある・・・けど。



「お母様の言う通り、ただ1人の人間が出来る事なんてたかが知れている。」

人間の権威の象徴である王であっても1人で出来る事なんてたかが知れているのだから、なら私がすべき行動は一つだ。


ティリエスは己の羽ペンを取り出すと、何も書かれていない紙の方に何かを書き出す。

暫く黙ったまま一心不乱に書いた後ペンをゆっくりと置き、その紙を持ちあげ一字一句確認した後納得した顔をして1人その場で頷いた。


「・・・うん、じゃぁこれでいこう。後は、皆手伝ってくれるかだけど・・・あと、これは独断できないね。」

ある箇所に書かれたある人物の名前に難色を示す。

「・・・・これは2人に手紙を書いて聞いてみないと・・・ね。よし、それじゃあちゃっちゃと始めるか!」


やる気になったティリエスは書いた紙を誰にも見せないように魔法で塵にした後、同じように過去の記憶を持つアステリアとアイルに手紙を書いたのだった。










さて、早馬の人に手紙を託したし・・・最初にやるべき事は。

ティリエスは早速行動に移し、向かった先は自分で植物を植えた畑であるパースニップの木へと向かった。

行けば案の定今日もルル村の元村長が飽きもせず今日も木の成長様子を見に来ていた。

元村長もティリエスに気が付き、陽気に手を振って挨拶をした。

「おぉ!弟子よ、今日も手伝いに来たんか~・・・関心関心じゃの~。」

そんな元村長にティリエスはにっこりと笑い優雅にお辞儀をした。


「御機嫌よう、お師匠様。今日も御日柄よく良かったですわ。」

「そうじゃの~今日も植物日和じゃのぉ・・・はて?今日は儂ご飯食べて来たけんの?」

相変わらずの物忘れにいつもならティリエスは言葉を濁し畑仕事の話しをし始めるが、今日はティリエスが何も言わないで元村長を見つめる。

そんなティリエスに元村長はん?と首を傾げていると何かを決意したティリエスは彼の元へ近づいた。


「お師匠様、実は今回折り入ってお願いしたいことがありますの。」

「ん〜?」

「今調べているこの巨木になる木の実をこちらのように育て上げて欲しいんですの。」

そう言って彼の目の前に差し出したのはパースニップの実だった。

その存在に目の前の老人は目を見開き驚く。

そこにある実は他の物とは違うと直ぐに理解出来るほど、実の瑞々しさ何より上等なシルクのように真っ白、それでいて光に当てると淡く虹色を帯びる代物だったからだ。


「こりゃあ・・・ええ実じゃ。」

文句のつけようもないそれに、頷く彼にティリエスは口を開いた。

「他ではない、これが必要な方がいるんです。どうにか出来ますでしょうか?」

「そうじゃのぉ・・・。」

考える彼にティリエスは固唾を呑んで返事を待つ。

返事は思ったより早く返ってきた。

「出来るぞぃ。」

老人はにっこりと笑った。



いつも読んでいただきありがとうございます。

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