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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第5章〜王都生活編〜
324/747

物語の主人公は新たな課題に頭を悩ませる。(さてどこから手をつけるべきか・・・全部か?⑤)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は申し訳ないですが水曜日はお休みで11/11(金)投稿予定です。



ギリアからのお願い事を聞いたティリエスは、この後双子たちの元へ行く予定だったことを思い出して厨房を後にした。





「うーん・・・。」

「だう?」

「あう?」

双子をあやしながらもティリエスはまたもや考える。

シナウスの希望、ラニング達の願い、ギリアの要望―――。


シナウスもラニングも正直どう紹介すれば良いのか・・・後、ギリアのパン作りも・・・オーブンの調節する機能も・・・あ!発酵する為の機械もいる・・・かぁ。密封箱があれば可能なところはあるけど・・・でもそれも後々いるし・・・あぁ!纏まらん!問題が山積みすぎる!


考えれば考える程どうすれば良いのかティリエスは難しい顔をして悩んでいる姉の姿が可笑しいと思ったのか、双子は姉の顔見て首を傾げていた。

どんな風に見られているのかティリエスは知らないまま双子の柔らかい髪の毛が心地よい為頭を撫でながらどうすれば良いのか考える。


独りでできれば対応できれば良いんだけど・・・どうしたもんかなこれ、詰んだか?


「うーん・・・。」

「だーう?」

「あーう?」


遠くで三者三様首を傾げる姿、特に髪を双子に引っ張られていても気にしないほど深く悩んでいるティリエスの様子を見ていた母リリスは苦笑する。

薬の配合内容を書いていた手を止め立ち上がると、リリスは娘たちの元へと向かう。


「ティリー今度は一体何を考えているの~?」

「あ、お母様・・・もしかして私、顔に出ておりました?」


ティリエスはペタリと自分の頬に手を添えながら聞き返すとリリスは微笑みながらティリエスが頬に沿えた手の上に自分の手を重ねた。

「えぇ!こぉんな風に眉間に皺を寄せて、可愛いお顔が台無しよ?」

大袈裟に言う母にティリエスに苦笑いをしていると、リリスは重ねていた手を娘の頭の上に置きゆっくりと優しく撫でた。


「全く、黙ったまま難しい顔してお父様にそっくり。」

「お父様に?」


今ここに居ない父の存在を言われ、ティリエスは首を傾げる。

ティリエスから見て父であるアドルフは冷静沈着で何事にも即座にその時その場所の一番合理的な判断が出来る人であり、今の自分のように悩んでいるところなど見たことはなかった。


ティリエスが不思議そうにしている様子にリリスは頷いた。

「えぇ、お父様はティリーにはそんな姿を見せたことはないけど、少し前まで領地のことについて難しい顔をして考えていたわ。」

「・・・そうなんですね、お父様が。お父様が悩む姿なんて見たことがなかったのでなんだか不思議に思いますわ。」

「えぇ、でもね。ティリーのような顔をして考えているお父様を見て・・・なんだけどね。」


母はその時の父の姿を思い出しながら言葉を続けた。


「その難しい顔をしている時はね、お父様は独りで問題を抱え込んでどうにか自分の力で対処しようと考えている事が多いお顔なの。」


独り。


その言葉にティリエスはドキッと胸の鼓動が早くなる。正しく自分も独りでどうにか事を動かせないかと考えていたからだ。


「でも多分、あの人は色んな人の負担の事を考えていたんだろうけど、そうすればするほどお父様は上手くいかなかったわ。でも、その失敗を経て今のお父様がいるの。」

「・・・・・・・・・・・。」

「独りですることより皆で知恵を出し合って進めていくという事がどれだけ大切か。人との意見で行った事が回り道に思えることもそれが一番の近道なのよ・・・って、これはお父様からの請け売りだけどね。だから、ティリエス。何に悩んでいるのかは聞かないけど、貴女の周りには貴女を助けようと思っている人達はここにたくさんいるわ。もちろん、私もよ。だから何をしたいのか決めたら誰かに頼りなさい。」

「お母様。」

「私でも良いわよ!でも、人には適材適所があるからこればっかりは全部手伝う事は出来ないけど!」

そう自信満々に言い切った母にティリエスは思わずフフフと笑うとこくんと頷いた。


「えぇ、お母様。私もう少し考えてから結論を出してみますわ。何が一番最良か、でも独りでしようとは考えませんわ。」

そう答えながら眉間の皺が完全に無くなったティリエスの顔に母リリスは満足そうに笑った。



いつも読んでいただきありがとうございます。

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