これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(目覚めたのなら、さぁ、素敵な毎日を迎えましょう②)
いつも読んでいただきありがとうございます。昨日身内の不幸があり明日の投稿は難しいと判断し今回予告していた10/24ではなく本日投稿させていただいてます。次回は10/28(金)投稿予定です。
本当ならここまでの区切りについてのあとがきやらネタバレなどしようかと思っていましたが少々時間かないので年末最期の日にでも書けたらと思います。
次回から新しい章になりますのでよろしくお願いいたします。
「はぁ・・・今日は楽しかったな。」
ティリエスは己のベッドに寝ころびながら一言そう言うと、久しぶりに見る部屋の天井をジッと見つめた。
領地へも無事戻り、待っていたのは母の抱擁という出迎えだった。
どうやら、先に早馬によって王城で起こった出来事はこの遠い領地も知らされていたらしく、母は戻るまで気が気でなかったのだと抱擁されながら執事にそう言われたので、一度戻ってきてよかったとティリエスはそう思った。
それから少しして久しぶりに両親と弟達と過ごしたティリエスはアドルフと一緒に王城で何があったのかを説明した。
顔を顰めて聞いていた母だったが、とりあえず皆に怪我はないことと脅威が去ったことに胸を撫でおろした。そして、最期、私はまた1か月後準備が出来たら王城へ戻るの事を告げると、リリスは驚愕しどうしても行かなくてはいけないのかと食い下がったが、アドルフに諭されてリリスは渋々頷いてくれた。
申しわけないと思いつつ、ここに居て欲しいという母の言葉にティリエスは内心密かに喜びつつ夜も更け―――。こうして自分はベッドに横になって思い出し、一つ息を吐いた。
楽しいいつもの日々を想像すると同時にこの先の暗躍する影の存在についても考える。
自分達の死と・・・そして戦争か。
「。今のこの生活が無くなってしまうかもしれないのか・・・それは防がないと。」
ティリエスはそう言ってそっと己の中に宿った書物の存在を確認するように胸の服をギュッと握りしめた。
目立ちたいとは今も思っていないが、この生活を、家族の未来をむざむざと壊されはしない。
その為には・・・私は領地だけじゃない、もっと広く動いていかないと。
「ご先祖様が託してくれたこの書物には、抗う術を記していおいたと書かれていたけど・・・まだ全てを解読できていませんし、とにかく出来る範囲の事をしなくては・・・あとは。」
そう言ってティリエスはむくりと起き上がりある場所を見つめる。
暗闇の何もない壁があるそこから、ちょうど『コンコン』とノック音が聞こえ、ティリエスはいつものように口を開いた。
「【どうぞ、開いてますよ。】」
「・・・・お久しぶりです、姉様。」
そう言うとそこから扉が現れ、独りでに扉が開くとそこから現れたのはシナウスだった。
今日は一人で来たらしく何時ものように私に挨拶をすると、人懐っこい笑みをうかべているシナウスにティリエスもまた笑って挨拶をした。
「久しぶりですシナウス、皆さん変わりありませんでしたか?」
「はい、今はこちらも夏の季節なので作物の収穫に忙しいですが皆元気ですよ。」
「そう、・・・あのね、シナウス。」
ティリエスはシナウスに向き直り改めて声をかける。
今回の騒動である事にひっかかっていた。
私とアステリアは女神の力を使い別の世界で生きて来た。ここへ再び戻ってくるときに備えて私達は力と知識を培う為にだ。
そもそも女神の力に導かれたことなら、その力も知識も女神の意向によって私達は培ったことになる。
それがどんなものでも、そう、例えば、彼らのようなゲームという箱庭で生きて来た存在に出会ったことも・・・・。
「シナウス、聞きたいことがあるの・・・貴方達はもしかして、この世界の4番目の種族ではないのでしょうか?」
その言葉にシナウスは目を見開きティリエスの問いかけに暫く黙る。
シナウスは顔を上げてこちらを見つめる。
そこには穏やかに笑っていた姿はなく真剣な顔つきでこちらを見つめた。
その真剣な瞳でやはりそうだったのだと理解する。
「・・・・そうだったんですね。シナウス達はアポストルの人間なんですね。」
「一体いつからご存じだったんですか?僕達がこの世界の住人だったこと。」
「最近、貴方達の事に触れることがあったのよ。・・・そのことから、私と貴方達の出会いもまた必然だったとそう思ったの。私と王女の出会いもそうだったから。」
「・・・そうですか・・・姉様。」
改まって言うシナウスに何かを問うと、姿勢を正し私の前で膝まづく彼に私は驚いた。
「全てを話します、そして姉様がいう必然が私達との縁をつくったのだとしたら・・・僕達の助けも必要となりましょう。勿論、僕達は助けます、貴女は恩人であるから。だけど、一つだけ条件を出させてください。」
「条件?」
「僕を、貴女の従者の1人として傍においてください。」
「・・・え?」
その申し出にティリエスは驚いたのだった。
いつも読んでいただきありがとうございます。