これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーを終わらせましょう⑤)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は10/7(金)投稿予定です。
ティリエスの話しを聞くうちに最初はどういう事か理解するために神妙な面持ちで聞いていた2人だったが彼女が行った行動に段々と唖然とした表情になったかと思えば、急にアステリアは俯いたと思えばワナワナと身体を震わせアイルの制止を聞かずまだ話しているティリエスの肩をむんずと掴んだ。
「うぇ、どうしました?」
「ティリエス・・・あんた・・・なんでその事をあっちの時に居た私に話さないのよ!そのせいで話しがこじれることになってたんじゃない!」
「えぇぇぇだってぇ、夢だと思ったんだよぉぉ。」
「そんな夢、奇妙だって普通に思うでしょ!」
アステリアは王女という立場を忘れティリエスに詰め寄り、ティリエスも王女という存在を忘れ前後にガクガク揺さぶされながらも喋る。
「あ、アステリアその辺にしないと。」
戸惑っているアイルの言葉にハッとしティリエスの身体を揺さぶるのを辞めたアステリアは小さく咳ばらいをした後、アステリアは不貞腐れる。
「だってティリエスがその事を言ってくれたら私、不安に思うこともなかったはずだわ。」
「アステリア・・・。」
誰も見ず少し俯きながら悲し気にいう彼女にティリエスもあの時軽く考えても可笑しくなかった状況だったが彼女に対して悪いことをしたとそんな風に思いしょんぼりとした。
「そんなことを思ったら・・・そう思ったらね・・・なんだか私、今まで悩んでたのに悩む必要なかったって事にイラっとしちゃったのよ。」
「「・・・・・・・・・・・・・。」」
アステリアは顔を上げさっきとは打って変わってケロリとそんなことを言うので2人は別の意味で何も言えず黙り込んだ。
・・・そういえば、アステリアはこんな子だったな。
喉が渇いたとグイっとお茶を飲むアステリアの姿と昔の彼女が重なる。
共に社会人として働いていた頃、ただ泣き寝入りをするか弱い女性ではなかった。寧ろ相手に何かされたら冷静に言い返す人間だったとティリエスが思い出していると横から少し遠慮がちに自分を呼ぶ声が聞こえ隣にいるアイルを見やる。
「僕から見て、アステリア少し強い女の子に変わったように思うんだけど、君たちの居た世界ってどんなところだったの?」
「そうですわね・・・・秩序があるなかでここより女性は自由で、自立して女性も強く生きられる世界・・・でしょうか?」
「そっか。」
「お兄様はアステリアが変わってしまったのはお嫌でしたか?」
ティリエスの問いかけにアイルはすぐに首を横に振る。
「ううん、以前の彼女の事も愛しているけど、生き生きとして笑っている彼女の方がいいよ。」
「?何?こちらをみてますけど。まぁそれより、まだ話しの共有は済んでいないわ。2人ともこっちへ来て、ティリエス、続きを話してちょうだい。」
アイルの言葉にティリエスは納得しているとこちらに気づいたアステリアは2人を手招きし、話しを再開した。
「成程、ティリエスはこちらに戻る兆候は元々あって、その時はおじ様やおば様達の出来事を改変していたという事なんだね。それで、僕のお祖父様もお祖母様も死ななかったのか・・・アステリア、これはやはり君の魔法が原因としてみていいのかな?」
「えぇ、眠っている時とはいえ精神体を別の時代、別世界へ飛ばすなんて芸当人間には出来ないことだわ。それこそ女神の力によるものよ。・・・でも知らず知らずのうちとはいえティリエスのしてきたことは凄く大きいことだわ。」
落ち着きと取り戻したアステリアは目を輝かせてティリエスにそう言うと自分の掌のその痕を見て指でなぞる。
「この力を手放した代償以上の価値よ。貴女が生かした人間が今日まで私達を生かした。そして、今回の事件も今度は未遂で終わらせたのだから本当に奇跡に近いことだわ。でも・・・まだ安全な未来とはいえない。」
「確かにそうですわね。」
ティリエスはそう零しながら随分減ったお茶を見つめる。
自分が話し終わった後、今度は2人から聞かされた前回の歴史、そして自分達が死んだ後を聞かされた。
前回の私達は様々な境遇だった。
アイルは帝国の地で冷遇。
アステリアは第2夫人エカテリーナによって両親も兄も殺され王政を滅茶苦茶にされ、自分は喉を潰され話せない状態に。
そして今となっては信じられないが自分は家族の死から父とは疎遠な関係だったらしい。
そんな中で出会った私達、アイルはこの時には帝王の命令でアステリアと婚姻を交わしこの国に来ていたのだが様々な案件を目にしこの国が次第に奪われる危険性を発見した。
もし、このまま事を許せば、この国の民たちは全員死ぬ。それを阻止しないといけない。
私達は同志を募り、事を防ごうとありとあらゆることをした。
けれど相手の方が一枚も上手で、計画は失敗しそれ所か全ての不正や悪事を私達がしたように仕立て上げ民衆に吹き込んでいった。
そしてそれを信じた民衆は怒り革命を起こされ、結果私達は抵抗むなしく捕縛され処刑された。
「・・・僕達が死んだ後も酷いものだったよ。」
アイルはあの時を思い出しながら喉が渇いたのかお茶を一口飲んで喉を潤すと重々しく口を開く。
「アステリアの言う通りだったよ、僕達が死んだ途端有る事無い事を言って寝返った帝国は民衆を順々に残虐に殺していった。」
憎々し気に吐き捨てるように言ったアイルの眼には怒りの色が見えた。
そう、この国を侵略するための長い策略を練ったのは同盟国の間柄であった帝国だった。
同盟の証としてアイル自身を送り込んだこの行為も油断させるものの一つだったと死んだ後アイルは理解したのだという。
「僕たちが死んだ後も抗ったけど、多勢に無勢だった。何より国の戦力も帝国が介入していたんだ。戦争というよりは最早蹂躙だった・・・あれは地獄だ。そればかりか周りの小国も魔人やエルフの領土も巻き込んで帝国は武力を行使した。・・・僕は見ているだけだった、そんな世界を。」
「お兄様・・・。」
「ティリエス、君が死んでから疎遠だったアドルフおじ様は後悔していたようだった。憑きものが落ちたようになって、君がしようとしたことを最後の公爵として民を守るまで最後まで戦っていたよ。」
「そうですか・・・お父様もそんな世界に。」
父がどんな思いで最後まで戦ったのか、それだけで胸が締め付けられる。
ティリエスの握りしめている手にいつの間にか誰かの手が重なる。
アステリアだった。
「大丈夫よティリエス。そうならないようにする為の策を考えましょう。」
「・・・アステリア。」
「それにさっきも言ったけど今回のこの世界は貴女の行動のおかげで味方が居る、私の両親、王も王妃も健在だわ。だから、最悪な未来にならなように・・・また、一緒に頑張ってくれる?」
不安げにいうアステリアをじっと見つめる。
彼女も不安なのだ、この先どうなるのか、同じ未来を辿ってしまうのか。
ティリエスは握りしめていた手を緩めた後逆に今度はアステリアの手を握り返す。
驚くアステリアにティリエスはにっこりと笑う。
「勿論よ!帝国の目論見が頓挫するように、私の大切な人達が傷つかないようにやるわ!」
「うん・・・ありがとう、ティリエス。」
「・・・さて、それじゃあ今後のことを話していかないと。」
「そうね、向こうの味方になった人物を探さないと。」
アイルの言葉にアステリアは賛同して話しを進める。
「私達の敵になった方々、というわけですね。」
「えぇ、その存在は今年の冬に生まれてくる少女。その存在も探さないとだけど、それよりももっと重要人物を2人見つけないと。」
神妙な様子にそんなに恐ろしい人物なのかとティリエスもまたごくりと喉を鳴らす。
「彼らもまだ僕たちと同じ子供だ、まだ危険人物ではないけど探して味方にするべきか、少なくとも帝国関係者に接触させないようにしないと。」
「その2人の名前ってご存知なんですか?」
「えぇ、覚えているわ。」
アステリアはこくりと頷く。
「1人は女性、圧倒的な魔法の使い手でありエルフの血を引いていながら男を誘惑し堕落を愛したと言われる。もう1人は魔剣士の男性、彼は女子供も笑って殺すような残忍な人間だったわ。特に女性が嫌いだったのか酷い殺し方だったそうよ。その2人が大部隊を仕切っていたわ。。」
「それは・・・なんていうか敵って感じな人達ですわね。」
一体どんな人生送ってそんな人間になったのか、でもそんな人をこちらの味方にできるのか不安だな。
でもやると言ったからには頑張らねばとティリエスが意気込む。
「わかりましたわ、ではその方達のお名前は?オーガさんにも頼めば何か居場所がわかるかもしれませんし。」
「そうね、アメジストは他国でも取引してるっていうし・・・悪くないわね。その2人の名前は、女性はティキ、男性は確かギーラという名前だったわね。」
「そうなのね、名前はティキとギーラ・・・・ティキとギーラ?!!」
思わず大きな声を上げたティリエスに2人はびくついたが、驚いているティリエスの様子といい先ほどのこともあってすぐにアステリアはもしかしてとティリエスに声をかけた。
「貴女・・・もしかして知っているのその2人。」
「ティキさんもギーラさんも・・・私の友達ですわ。」
「な・・・。」
思わずアステリアは絶句する。
そして、肩に重みを感じたティリエスは思わずまたアイルの方を見た・・・満笑だった。
「ちょっと・・・もう少し話してくれるかな?ティリエス。」
「・・・・ヒャい。」
彼女達とのはじまりをここでもティリエスは何があったのか洗いざらい話したのだった。
いつも読んでいただきありがとうございます。




