まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(今はただ気持ちの整理をさせてください。②)
いつかサイドストーリーというものが書けたらなぁ・・・なんて夢見ながら今日もせっせとパチポチしてます。
このままいけば必ず恐怖でピークを迎え気絶するのだか、最近は慣れてしまったのか初めに比べ早々に気絶できなくなっていた。といっても時間でいえば5分後に気絶できたのが8分後の時間に延びた程度だ。
だがそのたった僅かな時間が残念ながら恐怖がピークに達している私には30分にも1時間にも感じられるのだ。
そんなの絶対無理だっ!耐えられないっ!心がっ!そう心がそう叫んでいるんだっ!
自分にとって過酷な環境にNEVER GIVE UP!!という人もいるけど私は早々にGIVE UPする!
生憎と私はシンデレラ精神はこれっぽっちもないのだ。
とにかくこの状況をどうにかしたい!
そんな思いから恐怖を少しでも忘れるように私は何か気を紛らわせることが出来ないかと思い考えたこと。
それは自分の内側に集中して自分の魔力を視ることだった。
どういうことかというと以前オジ様の魔力を通して体の内側を調べたあの方法を自分でも出来ないかやってみたのだ。
すると、意外とこれが出来たのだ。しかも結構暇つぶしもできるということも発見できたのだ。
よしっ!今日もそれをして早く眠りにつこう、それが良い。
私は心の中で大きく賛成し、いつものようにゆっくりゆっくり自分の中を覗くように奥へ奥へと意識を向ける。と、少しずつ自分の中から光がぽつぽつ弾け飛ぶのが見え始めた。
それが最初の兆候だ。
これが上手くいけばほぼ成功したといっても良い。
手ごたえを感じつつ更に集中していくと光の飛ぶ様が徐々に多くなり回数も増えだしてくる。
けれど途中で行き詰る部分がある。
その場所に行きつくと薄いガラスのような壁を感じる。
私はそのガラスの壁を壊すのではなく鍵穴を探す。
毎回鍵穴の場所が違いそして形も違うそれを探し当て自分の内に魔力の形を変えて鍵を開けまた更に奥へ続く先へ集中する。
何度かその行為を行っていると最後の一枚にぶち当たる。
自分の中にある隔たりを最後私自身が手を触れると、途端隔たりがなくなり辺りが開けて目の前には運河のような光景に私は出会う事ができるのだ。
オジ様の時は主に金色の運河の光景だったが、私の場合色が変わる。
運河の色がオジ様と同じ金色の場合だったり、日によっては深紅、紫、白銀、緑、蒼、漆黒という事もある。
たまに色が様々にあって虹色のような光景を見ることもあった。
最近は色を意識するとその色が濃く見えるようになったりと自分の意思で色を変えることも出来るようになった。
意外とこれが楽しかったりする。
よしっ、今日はこの中の色で何か形を作ってみよう!
側で光っていた青い光に集中してある程度1ヶ所に集めると、光1つ1つを紐の様につなげていく。
それで今度は丸を描いて、よし今度は星にして・・・・。
複雑な形を次々していくとだんだんと私は意識が散漫になってきたことを感じ取る。
この倦怠感が感じればもうほぼ私の希望が叶うのだ。
ただ、何気なしにやっていたこの暇つぶし・・・・恐らくこの魔力を視る行為、結構しんどい事なんだと思う。
だって・・・すぐに・・・・あ、駄目、寝る。
私は球体を作ったのを最後にずんっと意識が遠のいていった。
これが今の私の赤ん坊生活のすべてだ。
夜中に急に意識が浮上し、謎の幽霊かもしれない人々に囲まれ、恐怖と背中合わせに自分の魔力を視ながら魔力操作を暇潰しと恐怖を紛らわせる為に練習する。
だがこの魔力操作、突然電池切れの様に意識がフェードアウトする感じからして何かしらやっちゃいけないのかも・・・なんて思うけれど1人で歩くこともままならない私にはこれしか気を紛らわせる方法がないので仕方ないということにする。
ずっとこのままだったらどうしようか・・・なんて不安になった夜もあったが、私の心配とは逆に成長する度に私の意識は身体に馴染んでいくように、我に返る回数が徐々に増えていった。
だんだんと昼間でも我に返ることが増えていき、気が付くと必ず周りに自分の世話をしてくれる人がいるという事実が自分の中で認識し始めると、次第に私も気持ちを落ち着かせることが出来た。
まぁ、相変わらず幽霊は夜な夜な現れるが・・・・・・それはまぁ例の紛らわせる方法でどうにかするしかない。
徐々に多くの人と接し始めたのだが、相変わらず両親は忙しいみたいで、昼間でも会ったことがない。
よくメイドが両親の話しを子守唄の様に伝えてくれるので私は両親が何をしているのか知ることが出来た。
父は領地の視察に、今後の予算についての相談や会議、更には兵士の訓練他様々なところに向かう多忙なスケジュールをこなしているので帰ってくるのも夜なんだそうだ。
母は母で、おばあ様と一緒に夫人会のお茶会に参加したり色々作法を教えてもらったり領民の為に薬草を栽培しているとかで多忙だそうだ。
領民の事を考え進んで事に当たる姿に敬愛しているが同時にもっと2人には自身の身体の事に加え私の事があるから休んで頂きたいとそのメイド達は心配そうに話しをする。
確かにこれだけ休みなしに働き続け、その娘は忙しさで両親に目をかけられない状態が続けば誰もが心配する。
けれど私は知っている。
私が寝静まった頃、私を起こさないように私の頭を優しく撫でる父の手を。
私の頬に触れて私の体調が大丈夫か気遣う母の手を。
初めは自分に余裕がなくて2人の顔をきちんと見たことはない、ちゃんと会って話したこともない。
けれど・・・私はこの2人が好きだ。
何度も何度も繰り返し私に沁み込むその想いは私の不安を徐々に徐々に取り除いていってくれた。だから私は、もう何も不安を感じることはなくなっていた。
そして徐々に私はこの生活と静かに向き合い、季節は一巡りし・・・。
いつの間にか私がここに生をうけて早くも1年が経とうとしていた。
「よく、お似合いですぞ。お嬢様。」
私はちょこんと座り、前のリボンをせっせと結んでくれるメイド長であるアンが褒めてくれた。
今日はなぜこんなに忙しそうにしているのかというと、今日は私の誕生日会で同時に親族のお披露目会でもあるからだ。
この国には1歳になるまで子供は親族であろうと一緒に暮らす家族以外は、誰とも合わせないようにするという習わしがあるそうで、こうして1歳の誕生日会はとても盛大なものになるのだそう。
そして私にとって多忙な両親にきちんと会うのも今日が初めてになる。
というか・・・いつもゆったりしている動作なのに今日はなんて機敏な動きをしている、アンさん半端ねぇ~。
正直もう引退してもおかしくない年齢のアンは普段年齢通りのゆっくりした動きだというに、今は残像が見えるぐらい俊敏な動きである。
「さて、これでよろしいでしょう。」
1人納得したアンが一息ついたその時、ちょうどノックが聞こえる。
「アン、娘の支度は出来たか?」
ドア越しなのでくぐもった声が聞こえたがいった言葉は理解できた。
今、娘って言った・・・ということは、私の・・・。
私はやってきた人が誰が分かり緊張で心臓が大きく音を立てた。
「はい、旦那様、お嬢様の準備は整いましてございます。」
アンの言葉に私はじっとドアを見つめる。
今、私のお父さんがいる!
ようやく父に会えるという期待とどんな顔で迎えたら良いのか分からない緊張でどうにかなりそうになりながら、ゆっくりと開いたドアから差し込んだ光で一瞬目がくらみ目を閉じた。
うえぇぇ、眩しい!!
まさかの後光が差す光・・・もとい、太陽の日差しがもろに目を刺激し私は固く目を閉じ両手で顔を覆った。
ひーん・・・子供って刺激に敏感だから滅茶苦茶目が沁みる~。
「ああ、すまないティリエス。この時間はちょうど光が差し込むから眩しかったな。」
苦悶している私を気遣う声と同時に私を抱き上げる。
私は目を擦りながらその声を聞く。
「忙しくて遅くなってしまったが、ようやく、お前の寝顔じゃない可愛い顔を見ることができる。お父様に見せてくれないか?」
少し時間がかかったが眩しさが引いてきて私は声のする方に顔を向け目をゆっくりと目を開ける。
私はその人物を見て目をぱちくりする。
「ああ、やっと私を見てくれたね。初めまして、君のお父様だよ。」
そう言って私を宝物のように目を細めて嬉しそうに笑う父に私は逆に驚いて固まっていた。
私と同じ黒い髪。
そして私の紫の右眼と同じ眼の色。
じゃぁ・・・・私のお母さんって。
「あなた、お待たせしました。」
そういって入ってきた人物に目をやる。
水色の髪をシニヨンの髪型で綺麗に結び整えられ、青い綺麗なドレスを着て現れた女性。
私の緑の左眼と同じ色の瞳。
「あぁ、ティリエス。寂しい思いをさせてごめんね。よく顔を見せて。」
そういってそっと私の頬に両手を添える。
その感触はよく知っている・・・・私のお母さんの手だ。
確かにここ最近の私は摩訶不思議な事が実際に何度が起こっていた。
けれどまさか、こんなことが起こり得るのだろうか・・・?
そこにはかつて私が手助けをした――――。
驚いて固まっている私の目の前にはあの日よりより大人になったアドルフとリリスがそこにいたのだった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
裏設定:約1年ほとんど両親に会えなかったという認識の主人公ですが、自分の意識がない時には日中でもほんの僅かの時間ですが両親と一緒にいました。けど多忙なスケジュールなのは本当でゆっくりできたとしても主人公が既に就寝している頃のみ。娘を起こさないように気を配っていたアドルフですが、本当は偶然でも良いから目を覚ましてくれないかなぁ~と彼女のベッドに1、2時間は張り付いていたそう。それを見ていたリリスさんは苦笑していたが、それ以上に幸せで、幸せな気持ちで一緒になって娘を見ていたそう。なのでなんだかんだ2人は寝不足気味だったとか。(主人公気を使ってたのにね。)