これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーを終わらせましょう③)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は10/3(月)投稿予定です。
ここから先、暴力表現などを書く予定になります。その都度前書きにお伝えしますがご了承ください。
ではそろそろ題名にもありました、解明編していきます。
アイルの控えめなノックをして数秒沈黙が訪れた後、扉が開く。
中から出てきたのは王女の直属侍女だろうか、厳格な表情を纏った侍女だった。
「王女様に言われましたとおり、北の公女と共に来ました。」
「伺っています、どうぞお入りください。」
そう言って、大きく扉が開きアイルとティリエスは部屋の中へと入っていく。
淡いピンクと白色の部屋で可愛らしい、少女が好みそうな部屋の一番奥にある日差しが差しこむ大きな窓にこの部屋の主である少女が立っていた。
長い金色の髪を靡かせ上等な布で作られた清楚なドレスと纏っている少女のあの時見た同じ後姿にティリエスは思わずジッとその後ろ姿を見つめた。
「王女様、約束の時間にお見えになられました。」
ティリエスから荷物を受け取った侍女がそう伝える。
すると、外を見ていた少女がゆっくりとこちらを振り向くと自分と目が合った。
深い蒼、まるでラピスラズリのようなその瞳にジッと見つめられ、ティリエスは少しだけその瞳に魅入られそうになったが、ハッとしてティリエスは淑女の挨拶をする為腰を折る。
アイルもティリエスに合わせるように首を垂れた。
「イーツ、ここはいいわ。下がりなさい。」
侍女の名前を言い王女は彼女に下がらせるようにそういうと、侍女は特に何も言わず「かしこまりました。」と声を掛け部屋を出ていってしまった。
バタンと静かに扉が閉じたのが聞こえた後、小さく息を吐いたのが聞こえた。
「顔を上げて頂戴。」
そう言われ、ティリエスとアイルはゆっくりと顔を上げる。
少女ながら王族の威厳を持った空気にティリエスもほんの少しだけ緊張が産まれたが、表には出さず微笑んで王女を見つめた。
「今日は急なお願いに来てもらってありがとう。」
座ってと傍のソファへと案内されたので、ティリエスとアイルは言われたままソファへ座る。
王女もまた向かいのソファへ座った。
ふかふかのソファを堪能しつつ、ティリエスは王女に口を開く。
「とんでもございません、王女様。改めて初めまして、ティリエス=フェルザ・D・ルーザッファです。」
ペコリと頭を下げてお辞儀をした後ティリエスは王女の顔を見る。
そして先ほどとは違うその表情を見て首を傾げる。
何かに傷ついたようなその表情にティリエスは「えっ?」と内心驚く。
「やっぱり・・・。」
やっぱり?
王女のつぶやきに何が礼儀作法を間違えたのか不安に思ったティリエスがアイルの方を見ると、アイルは「大丈夫だ。」と声をかけられたが彼もまた何処か悲し気な笑みを浮かべていた。
「いえ。・・・嘆くより今を感謝しませんと。」
2人の態度にティリエスが困惑していると王女がそう何か決意をしたようにそう漏らし彼女は先ほどの表情を消し笑みを浮かべた。
「初めまして、ティリエス嬢。私も改めて自己紹介しなくちゃね・・・アステリアですわ。貴女のことは名で呼び合いたいから私の事は名前で呼んでくれるかしら。」
「えぇ勿論です、アステリア様。今日はお招きありがとうございます。」
「いいえ、本当に急でごめんなさいね。アイル様も今回の騒動の件大きな活躍をされたと聞いています。本当に、本当にありがとう。本当にっ・・・。」
言葉を詰まらせた王女は瞳からポロポロと涙を流す。その涙にティリエスが戸惑っていると隣のアイルが立ち上がり王女の傍へと駆け寄る。
「ごめんなさいっ、覚悟したのに・・・涙が止まらないっ・・・。」
「・・・分かってるよアステリア、大丈夫だ。僕も、今度だってティリエスも君の傍に居るから。」
アイルが自分のハンカチーフでアステリアの涙を拭いながら優しく声をかける様子にティリエスは至極自然にするアイルの行動にティリエスはこの状況が追いつかないでいた。
何故こんなにも彼らは親しげなのか、そしてどうしてそれが私は至極当たり前に感じてしまうのか。
気持ちと状況に追いつかない、どういうことだ?
「分かっているわ、今回、皆のお陰で何も起こらなくてお母様も助かったわ。でも、やっぱり貴女は覚えていない・・・現実を目の当たりにしちゃうと・・・だから今まで会えなかったの、知らない貴女が怖かったから。きっと私貴女の前で泣くと思ったから。」
「あの王女・・・アステリア様、私には何のことなのか・・・あの。」
彼女の口ぶりからして・・・私は何かを忘れている?
何を?お兄様のことといい、私とこの子の間に何があるんだろうか?
王女の言葉にティリエスはアイルに驚いていた目を彼女に向ける。
彼女は濡れた瞳を向け左手の人差し指を右手の親指人差し指の爪で強くつまんでいた。
王女の何かに耐えるようなその仕草にティリエスは目を見開いた。
この癖、知っている。
ティリエスにある記億が甦る。
彼女が悔しい時に、辛くて耐えたい時にやるこの仕草をやっていた。
その度に私は彼女の手に傷薬を塗っていた、彼女は私のーーー。
「本当、悔しいわ。力を使っても所詮私はここまでしかできなかった「・・・きぃちゃん?」・・・え?」
ティリエスの言葉に今度はアステリアが驚く。
そんな訳はないと頭の中で思っていても・・・自分がそうだから。
もしかしてと、ティリエスは期待した目で彼女を見つめていると、涙が止まり濡れた瞳で彼女の口が小さく動いた。
「・・・ナ、ナ?」
その名を聞いた途端、ティリエスの忘れていた以前の名を思い出す。そして確信に代わりティリエスの眼に涙が溢れた。
「きぃちゃん!!」
思わず駆け出してティリエスは王女に抱きつく。ティリエスから涙が溺れ落ち自分の服を濡らすが構わず今ここにいるということを、幻ではないと思う一株の不安を埋めるように彼女にギュッと抱きついた。
「落ちた時に助けられなくて・・・ごめん。あの時言えなかったけど・・・私だって、きぃちゃんが親友で傍に居たから頑張れたんだよ。」
彼女を助けられなかった事への謝罪。そして、あの時彼女に言えなかったことを涙ながらに彼女に伝えたのだった。
いつも読んでいただきありがとうございます。




